【小説】醜いあひるの子 匠馬編
~茂みの中の欲望⑥~
意外だった。
智風の母親が両親の恩師とは。
彼女自身、自分の事を積極的に話す子では無いし、だからと言って無理に聞こうとも思わない。
一生の付き合いにさせる予定(決定事項)なので、これから知っていけばいいのだ。
もう一つ意外だったのが、智風の事を気にしていた母が彼女の事を一切調べていないという事。
1年あったのだ。調べようと思えばいくらでも調べられたはずなのに。
本人日く、『要らぬ先入観を持ちたくなかったの。それに、匠馬の恋愛に茶々を入れたくなかったし