醜態
ただ高いだけの醜いプライドを抱えて生きている。
私は他の人を見下しがちな人間である。他人より優れている部分を見つけては優越感に浸る。自分は何も出来ないクズだというのに。
無論、友人知人にはその様に振る舞わないよう気を付けているが、本当のところ他人からどう見えているかなんてわからない。
ただただ怖い。
私という外面を1枚剥いだその下に、醜いぶよぶよとした怪物が蠢いている。
昔は己を正当化するかのように勉強に打ち込み他人より優秀であろうとしていた。実際に良い成績も残したりもした。でも、勉強は私に何も残さなかった。当たり前だ。勉強が好きなのではなく他人より優れている自分が好きだったのだから。残ったのは詰め込んだ知識の抜けた空っぽの脳味噌。
負けず嫌いだなんて可愛い言葉でよく誤魔化したものだ。中身は反吐の出るような下劣な欲望そのままだったのに。目を背け続けた結果が今の私だ。
自分を知るということは自らが怪物であるということを自覚しなければならない。
薄皮1枚の下をふと覗く瞬間。悟るとでも言うのだろうか。いやそんな高尚なものではない。ふ、と自分が自分を見つめているような感覚。それもなんだか適切な表現ではない気がする。感情全てが砂時計のように落ちきったとき、事実だけが残るような。そんな感覚。
人間は皆、皮膚の下にこんな怪物を飼って生きているのだろうか。だとしたら、どうやって飼い慣らしているのか教えて欲しい。首輪に説明書もつけて教えて欲しい。でないと私は、この怪物ごと身体を引きちぎって仕舞いたくてたまらなくなる。