本物の3歳児 ―― 真面目な頑張り屋さん
少し前に話はさかのぼる。
犯罪者すれすれで普段は気が強い次男であるが、以前幼稚園のお迎えのタイミングで、お母さんの姿が見えなかったことがあり、そこから様子がおかしくなり・・・とうとう、
「幼稚園に行きたくない!」
と言うようになった。
ある日幼稚園の担任先生が、すごく真面目で苦しそうにしている次男の顔に気づき、「我慢しなくていいんだよ」と言ったら大泣きしたそう。
幼稚園では誰にも迷惑をかけないよう、真面目に頑張らなければ、と思っていたらしい。
それを聞いて次男に、「いつもみたいに、お兄ちゃんとかお父さんと遊んでるみたいに自由に話したり遊んだらいいんだよ」と伝えた。
すると、
「そんなことしたら先生に、この子変な子、って思われそうやから…」
と。
いやいや、3歳児はそんなこと気にせず、やりたいことをやりたいようにやればいいんだよ!
そして今朝。
今日は私が次男を幼稚園に連れて行った。
足取りの重い次男。
同じ幼稚園に向かう他の子たちにどんどん抜かれていく。
「幼稚園行きたくない・・・」
そう呟きながら歩く次男。
「何がそんなに嫌な気持ちにさせるの?」と聞くと、
「お母さんが迎えに来ないかも知れないから」という。
まだ前のことで傷ついているのだろうか、それとも何となく嫌だということの言い訳だろうか。
そこでもう一つ聞いてみた。
「本当に一番嫌なことはなあに?」
しばらく言いよどんで、そして、
「同じクラスのXX君が悪いねん…叩いてきたり嫌やねん…一人で椅子に立ち上がって、それで飛び降りてこけて泣いて…悪い子やねん」
あぁそうなんだ、クラスに気にくわない子がいるんだ。
真面目な次男は、授業を妨げるような行為に対しても憤りを感じているんだ。
それも結局「嫌」というための屁理屈かも知れないが、そうなんだ。
「じゃぁ幼稚園に着いたら、お父さんが先生にそのこと言うね。だから安心して行こう」
それでもどうしても納得しないまま、帰りたい帰りたいと言いながら幼稚園へ到着。
次男は靴箱の前で「帰る!嫌だ!」と泣き出した。
先生に話を伝えたら、理解を示してくれて、そして、「このままお子さん預かりますね。お父さんがいたら気持ちが切り替えられないから、お父さんはさっと離れて下さい」と言って息子を抱えて連れて行ってくれた。
少し後ろ髪惹かれる気持ちがありながらも、後ろを振り向かず離れた。
今日は給食無しの早返りの日。
嫁が迎えに行ってくれた。
そして今、外で次男の明るく元気な声が聞こえる。
どうやら楽しい日を過ごしてくれたようだ。
ほっ、良かった。
3歳児には3歳児なりの悩みや葛藤、自分との闘いがあるのだな、と気付かされたここ最近であった。