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結局、発達障害とは何なのか?

《この記事は約8分で読めます》

Ahneでは、おうちでできる療育のご提案や、講義型の学習サービス、発達・療育についての個別相談などを行っています。

皆さんこんにちは、療育作業療法士のかいとです!

今回は「発達障害とは何か?」というテーマでお話していきます。


皆さんは、発達障害とはどんなものだと捉えているでしょうか?

人とのコミュニケーションが苦手なこと?
注意力や集中力が足りないこと?
得意と不得意の差が大きいこと?


実はAhneでは、発達障害についてちょっと変わった捉え方をしています。

Ahneは、発達障害の原因は個人にあるわけでも環境にあるわけでもない
「障害は、個と環境の不一致によって発生する」と考えています。

詳しくお話していきますので、ぜひ最後までご覧ください!



障害とは何か?

そもそも、「障害」とは何でしょうか?

辞書を引くと、以下のように書かれていました。

精神や身体の器官がなんらかの原因でその機能を果たさないこと。また、その状態。

精選版 日本国語大辞典

こころや身体が何らかの原因で上手く働かないことや、その状態のことを「障害」とする、と書かれています。


もう一つの辞書には、以下のように書かれています。

個人的な原因や、社会的な環境により、心や身体上の機能が十分に働かず、活動に制限があること。「胃腸—」「言語—」

デジタル大辞泉

こころや身体が、個人的・社会的な環境が原因となって上手く働かない状態であること。さらにそれによって、活動に制限があるという内容も入っていますね。

「障害」は、一般的には、身体やこころのどこかが上手く働かないため、不便なことや困ることがずっと続いている状態、と言われているようです。


発達障害は「個」と「環境」の不一致によって発生する

記事のはじめでもお話したように、Ahneでは発達障害の原因は、個人にあるわけでも、環境にあるわけでもないと考えています。先ほどの辞書とは、かなり違う解釈ですね。

Ahneでは、発達障害を「『個』と『環境』の不一致によって発生するもの」と考えています。

つまり、「個」と「環境」の適合率が高ければ高いほど、障害は発生しにくくなるのではないかと考えているのです。

このままだとイメージしにくいかと思いますので、具体例をいくつか出してみますね。


具体例① 魚釣りが好きで、山の中に住むAくんの場合

Aくんは、コミュニケーションは苦手ですが、魚釣りが得意でした。そしてAくんは、山の中の村で野菜を育てて生活をしていました。

このときAくんは、どんな状態に置かれるでしょう?

きっとそれなりに生活は出来るのかもしれませんが、上手に野菜を育てたり、村人と上手くコミュニケーションをとったりすることは難しいかもしれません。

この場合Aくんは、どんな気持ちになるでしょうか。

きっとAくんは、自分が魚釣りが得意なことも気づかずに、「僕は出来ない子なんだ…」と感じてしまうことでしょう。

また周囲からは「あの子は何もできない……」といった目で見られることもあるかもしれません。

このときAくんの周りでは、「コミュニケーションは苦手ですが、魚釣りが得意なAくん」という「個」と、「山の中の村で野菜を育てる生活」という「環境」の不一致が起きてしまっているのです。


具体例② 魚釣りが好きで、港の集落に住むBくんの場合

ここで少し設定を変えて考えてみましょう。

Aくんと同じように、コミュニケーションは苦手ですが、魚釣りが得意なBくんが居たとします。

ですがBくんはAくんと違って、人があまり多くない港の集落で過ごしてていました。魚や貝といった魚介類が主な食料となる生活です。

魚釣りが得意なBくんは、コミュニケーションは苦手ではありましたが、「魚譲ります」と看板を立てて、釣った魚を人に譲ることにしました。そのため、集落の人からも感謝されることが増えていきました。

Bくんはどんな気持ちになるでしょうか?

自分が得意なことで他者から必要とされて、「僕は必要とされている」「魚釣りが楽しい」と感じられるのではないでしょうか。

また、周囲の人からは「優しくてありがたい存在」と思われることが多いのではないでしょうか。

Bくんの周りでは、「コミュニケーションは苦手ですが、魚釣りが得意なBくん」という「個」と、「人の少ない港の集落での生活」という「環境」がうまく一致していますね。


大事なのは「個」が「環境」をデザインしていく力

AくんとBくんの例を見ていただいて、個と環境の不一致とはどんな状態なのかは分かっていただけたでしょうか。

ところで、さきほどのAくんとBくんの例では、山から海へ「環境」が変わったことに目が行きやすかったかと思います。

ですが、ここで大事になってくるのは、「環境」だけでなく「個」の方にも障害が無いことです。


たとえばAくんが、山の近くの川で魚を釣って、野菜を育てて暮らしている村人に配っていたら、本人の気持ちや周りの評価はどうなるでしょう?

逆にBくんが、コミュニケーションが苦手であるために、他人にうまく魚を分けることができず、魚を独り占めしていたら。本人の気持ちや周りの評価はどう変化するでしょうか?


どちらの例でも、最初に読んだときとは印象が大きく変わったかと思います。

山で生活しているにしろ、海で生活しているにしろ、個が環境にどれだけアプローチをかけることができるかという点が、本人の気持ちや周りの評価に影響します。


発達障害のお話に戻りますが、「個」の特性や「環境」そのものの問題よりも、「個」が「環境」をデザインしていく力が大切なのです!

子どもたちの「環境を創造する力」を養うことを、Ahneでは一番の目標としています!

↓ 関連記事:Ahneの目標が書かれた記事です!


発達障害は「治らない」の?

よく聞かれるのが「障害は治らない」という言葉です。

確かに、発達障害として扱われる生まれ持った特性そのものは、変えることが難しいものがあります。

しかし、その特性によって発生する「症状」や「困り」は、軽減することが可能です。

たとえば、早期からの療育や、リハビリテーション、心理療法によって、発生する症状を軽減したり、困りを解決するための代替手段を学習したりすることができます。

Ahneは、本人にも周りの人にも過ごしやすい環境を、発達障害を持った方が創り出していける力を養いたいと考えています。

そういった過程で、本人も周りの人も暮らしやすく、自分らしい豊かな人生を歩む方法を見つけていくことができるのです。


さいごに

今回は、そもそも発達障害とは何なのかという、根本的なテーマでお話してきました!

この記事が、発達障害に対する理解の向上や、発達障害を持つ方、またその周りの方々にとって何か希望となる内容となっていれば嬉しいです!

Ahneでは、専門知識のある療育作業療法士による個別相談や、発達障害や療育についての講義型学習、今日からできるおうち療育のご提案なども行っております。

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最後までご覧いただきありがとうございました!



【この記事を監修した人】
かいと

Ahne代表。療育作業療法士。
こころの問題についての知識も豊富で、「心理×作業療法」の組み合わせで心身の両面を支援できることが強み。様々な療育現場での支援経験アリ。


【この記事を編集した人】
リル

Ahneライター。元書籍編集者。
note記事のほか、Ahneオリジナルの教科書を鋭意制作中。






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