
公務員という仕事
公務員という仕事について皆さんはどんなイメージをお持ちだろうか。
公務員の人気は低迷が続いている。かつては東大から財務省がエリートコースの代表格だった時代もあったようだが、それも今や昔。公務員、特に国の中枢で働く官僚といえば、いまや薄給、激務、ハラスメント、やりがい搾取といった負のイメージが纏わりつく。
筆者も概ね上記のイメージに依存はない。確かに、日頃官僚とやりとりする仕事をしている身としては(永田町のシンクタンクのようなところで働いています。)、僅かながら変化の兆し、例えばテレワークの活用などなど、を感じ取ってはいるものの、省庁出身の人に聞く限りでは黒い噂が絶えない。
おまけに世間での評判も散々なものである。いまや財務省、厚労省と言えば我々庶民から少しでも多くの金を搾り取ろうとする悪の親玉であり、世の中には財務官僚、厚労官僚をブチ◯せば世の中早くなると信じている人も少なくない。
他方で、国の舵取りにとって公務員が欠かせないのも事実であり、いくら政治主導が叫ばれようとも、膨大なタスクをこなせる優秀な公務員の存在無くしてこの国は回らない。
特に最近の政治状況が拍車をかけている。よく言われる話だが、悪名高い与党の事前審査制は、国会の審議の形骸化と日程闘争を招くとされる一方で、官僚からするとここさえ通りさえすれば、数の力で事実上国会は通せる、その一大関門だったといえよう。
ところが今や、事前審査はゴールではなく入り口になっている。
少数与党のものとでは、与党の事前審査を経るだけでは国会を通すことはできない。野党からの協力が不可欠となってくる。
もちろん、官僚と野党は常に没交渉だったかと言われればそんなことはない。官僚いじめと揶揄される国対ヒアリングを主導してきた立憲民主党でさえ、官僚とのつながりはある。しかし、幾多の議員立法を見てくれれば分かるとおり、野党の議員立法は時として、あるいはほとんどが夢物語を描いている。財源問題をわざわざ挙げなくても、そんなものが(理論上はともかく)実現できるわけがないという法案ばかりが並んでおり、中にはどうせ通らないからと、投げ槍のような形で作られたものも多い(余談だが議員立法の中でも成立が見込まれるものは事前に省庁とすり合わせを行なっており、そこではいつも議員の夢と現実の狭間で法制局なら組織が汗をかいている。)。大抵は審議もされずたなざらしにされて終わる(これも誤解されているが、国会に提出された野党法案のうち、そもそも審議されるものが実際にはほとんどない。文字通りの提出して終わるのである。)
ところが少数与党に転じてしまい、かつては夢のままだったはずの野党の議員立法に成立のありえない2文字が浮かぶようになってしまった。
ときに先国会では、野党立憲民主党が主導した政策活動費の廃止法案がなんと成立してしまい、恐らく稀に見る成立する野党議員立法として名を残すこととなった。
このような状況下で、予算も人質に取れるとなれば、野党からすれば絶好のチャンスであり、官僚からすれば悪魔の到来である。いかにして自分たちの法案を傷物にせず(修正されずに)通すか、日夜頭を痛めていることだろう。また、野党の法案が万が一にも成立してはしまわないかと、気が気ではなかろう。心中お察しする。
そんな中で、実は官僚と同じく悲鳴をあげている組織がもう一つある。一つは悪名高い議員立法の立案補佐を担当する衆議院法制局である。
衆議院法制局の立ち位置については、法律上明らかにされてないところもあるが、現状、国会に提出される全ての議員主導の法案、修正案は衆議院法制局が立案補佐を担当している。前回の政治改革しかり、野党は今こそ攻め時と言わんばかりに議員立法を、それと成立をあわよくば狙って出してくる。定員数80数名の組織からすれば大変だろう。
ところがこの法制局、実は非常に人が少ない。定員一杯までちゃんと使い切ってるのかと思いきや、実は生え抜きのプロパー職員はわずかであり、大半を地方公共団体の出向や裁判官、弁護士といった余所者で埋め合わせている。法制局は近年採用に力を入れているものの、人は集まらない。そもそも存在を知るものすらいない。そして要求される能力の割には(実際は大した能力は必要ないのだが)おちんぎんが少ない。人が集まるはずもない。
ここから先は
¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?