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「価値」 とはなにか

先日、公開した「組織の価値観」についての記事を書く上で、そもそも「価値」とはなんぞやと混乱し、沼にハマっておりました。

価値ってなんだ、と色々と頭をぐるぐる巡らせる中で、
価値が「対象物そのものに宿るもの」なのか「それを見る個人の目にあるもの」なのか、それとも「複数の目にあるもの」なのか、という点が整理できていなかったことに気づきました。

多くの人は「価値は人それぞれ」と言い、私も自然に受け入れることができます。しかし、現実には、他人が価値あると感じるものを私たちが理解できない時もあるわけです。こうしたときに、「価値は個人の主観に完全に依存するわけではないかもしれない」という疑問が湧きます。

例えば、スマートウォッチの価値は、健康やフィットネスに関心の高い人々にとってはその機能が価値を持ちますが、ファッションやテクノロジーのステータスシンボルとして社会的に認知されているため、そのような趣向を持たない人々にとってもある程度の価値が認められる場合があります。これは、個人の主観だけでなく、社会的な視点からの価値の認識を示しています。

これらの例を通して「価値は完全に個人の主観に依存するわけではない」ということがわかります。価値はさまざまな視点から考えられるものである、と。

このようなことをぐるぐる考えていたところ、社会学者である見田宗介氏の価値の定義に助けられました。見田氏は、価値を「主体の欲求を満たす客体の性能」と定義しています。

価値が客体そのものではなく、それに対する人々の主観的な評価や意味付けによって形成されるものだと教えているのです。

そして「必ずしも、個々の行為における個々の主体によってではなく、多くの場合、価値判断の主体としての社会集団によって、歴史的に付与されている」と補足しています。

つまり、価値とは人々の欲求に基づいた主観的な属性であり、個人の評価によってその価値が決定されます。しかし、価値は個々人の感じ方から始まるものの、実際には社会全体の見解や歴史的な文脈によっても形成される、と。

この理解を踏まえると、組織の価値観を深く理解するためには、まずは組織が標榜する理念について把握し理解をした上で、組織のリーダーが標榜している理念にどのような意味を付けているのか、また、業務を遂行する上でどのようなこだわりや好みを持っているのか、何に価値を見出しているのか、この辺を探索することが、非常に重要です。

さらに、その価値観を基に、周囲のメンバーがどのように感じ、どのような対応や取り扱いをしているかを分かち合うなど、お互いの見解を交換するプロセスも不可欠であることがわかります。

このような対話を繰り返し行うことで、組織全体で価値観が同期され、アップデートされ、組織として一貫性のある行動が取れるサイクルが回るようになるんだな、と実感しました。

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