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聖戦旅行記1
レコンキスタ旅行……のはずが?
レコンキスタ。それは、再び征服するという意味である。(イスラーム国に支配されたスペインをキリスト教国が取り戻す運動)
奪い、奪い合い。そうやって私たちは、自分のものと相手のものとの間に境界線をひくのだ。
と、いうわけで、そんなスペインのレコンキスタをもっと知りた〜い!
スペインへ旅行に行くことにしました。(以下世界史Bの知識がないと意味わからない話なので読み飛ばしてOK!)
西ゴート王国の都であるトレド(侵入してきたイスラーム王朝のウマイヤ朝に支配された)、後ウマイヤ朝の都であるコルドバ、そしてスペイン最後のイスラーム王朝の都であるグラナダを中心に観光をしたい!これらの街は順番にイスラーム化して、その後のレコンキスタでキリスト教国に戻って行った街。でもそこに住んでいたムスリムの人と融和的にキリスト教国化したから複雑な文化が残っていて面白いはず!
そもそも、どうしてスペインに興味があるのかというと、私の愛すべき男、アリストテレスが大いに関係している。
ここからちょっと長くなるが、この旅行にとって大事なことなので記しておきたい。なお、アリストテレスの銅像に会った旅行記はここから読める。
アリストテレスは古から偉大な哲学者だけれど、アリストテレスの本が書かれた当時からずっと読み続けられているわけではない。キリスト教が興隆した時に、アリストテレスなどの思想はキリスト教には合わないので、読まれなくなってしまった。(禁止された部分も大きい)
しかし、禁止されていなかったイスラーム教圏では、アリストテレスをはじめとした古代ギリシアの賢者たちは研究の対象だった。特に、イスラーム王朝時代のバグダッド(元イラクの首都で多くのギリシア語がそこで翻訳された)で、アリストテレスらの古代ギリシア語の書物がアラビア語に翻訳された。
そして、十字軍やレコンキスタでキリスト教徒がイスラーム教徒をやっつけようとした際に、そのアラビア語で書かれたものをラテン語に翻訳して、古代ギリシアの文献をヨーロッパが数世紀ぶりに逆輸入したという歴史がある。
そう。これでもうお分かりだろう。
アリストテレスとレコンキスタは切ってもきれない熱い関係があるのだ。
というわけで、レコンキスタが起きた順序、つまり北から南へと旅行することにした。
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……ら、アリストテレスよりも好きな男からラインが来て「聖戦旅行たのむ」と言われたので、一瞬でレコンキスタ旅行じゃなくなった。朝の7時にジハードをたのんでくるなんて正気じゃない。そんなところが好きである(もう何度も振られてる)。
さて、聖戦とはイスラーム側の戦いのことで、非イスラム教徒と戦う時の言葉だ。世界史でも正統カリフ時代にササン朝ペルシャを倒した戦いなどが有名。
スペインへの支配は、聖戦という言葉のイメージほど血生臭いものではなかったと(本から)聞いているがどう、まあとりあえずこの旅行記を聖戦旅行記と題し、記録を綴りたい。語感もいいしね。
(現代における聖戦は社会問題の話になるので、ここでは歴史的な聖戦のことだけを意味してます。誰かを傷つけたり、非難したりする意図はないです)(聖戦という言葉自体はどの宗教に対しても使える言葉だよん。レコンキスタ自体も一種の聖戦だし)
旅行中に慌ただしく書いてるので表記揺れ誤字がありますがお許しください!後で直します!見つけたら教えてもらえると嬉しいです!
いざ出発!色々心配!
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出発はまさかの「羽田」空港!
ここ最近は成田しか使ってなかったので、シンプルに間違ってちょっと早く着いたので、色々見ようと第1ターミナルで降りてしまったが、第3はターミナルまではバスを使わないと行けない(成田は第1ターミナルから歩いて第3にいける)。
なので羽田第3ターミナルに行くところから旅行スタート。
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今回の旅行は、同級生の相棒と行く。海外初らしくこのためにパスポートを取ってくれた。オーガナイズがほぼ私で、もはや私に拉致されたと言ってもいいような旅行だ。
今年神学校を卒業するので、春からは牧師見習いになるらしい。キリスト教の知識が豊富なので期待できる!!!この相棒に、カメラマンとしてたくさん写真を撮ってもらっている。ごめんな、写真大好きインスタ女子で……。
スペインには直行便がないので、今回は北京を経由して向かう。中国航空は友達のお墨付きがあったので利用した。が、予約時に何を思ったかベジミールにしていて地獄だった。(ベジタリアン向け食事)
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味がないおかゆが2回も出てきた……。
そもそも食べづらい。飛行機で出てくる浅いスプーンでおじやは無理だ。
でもその一方ヘルシーで、長距離フライトだけどニキビできなかった。嬉しい。
北京は、Wi-Fiが使えなかった。というか空港のWi-Fiがあるし登録できるのに、当局(?)の規制がかかってて、ラインもTwitterも使えない。唯一開けたのはブラウザ上のマッチングアプリだけで、特に何もできず数時間過ごした。
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出発のゲートが途中変わったり、深夜でみんな寝てるのに子どもたちが信じられないくらいうるさくて、寝る私たちのまわりを駆け巡ったり、ストレッサーの多いトランジットだった。
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あと、パスポートのデータを取られているから、空港内の案内掲示板でカメラの前の立つだけでフライト番号と搭乗ゲート示されて、ナチュラル管理社会すぎてびっくりした。便利だが、あまりにも筒抜けすぎて怖い。中国恐るべし。
今まで、中国人に対して偏見とかなかったけれど、今回フライトで色々接して、文化的に合わないかもと感じた。割と平気で前の座席蹴るし(2回のフライトともにガンガン蹴られてた。共に乗った友人は後ろの席の子どもに蹴られてた)、トイレとかで譲って話しかけても、「ハン?」(この発音はまじでわからないけど、聞き返す時に使う言葉なのかもしれない)たいな大きめの声で煽られたりした。たった10数時間だったけど、中国には旅行行けないかも……て思わされることがいっぱいあって、かなり驚いた。隣に座ってた女性がいきなりスーツケースの上に足をドンってあげて、私の顔の真隣に足が来た時には、これはどういうこと……?!ってわけわからんかった。
国民性ってやつで片付けていい言葉なのか……?仲良い人にはすごく親切そうに見えるから、不思議だった。
スペイン上陸
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そんなこんなで到着。
バルセロナ空港からバルセロナサンツ駅に移動し、そこから高速鉄道でマドリードに移動することになっている。
バルセロナ空港からR2Nordという地上の電車に向かう。案内板結構少なくてドキドキ。
バルセロナサンツ駅からマドリードAtochaまでの高速鉄道のチケット(iryo社)を改札にかざしたら、空港の改札が通れた。これはなぜなのか全然わからなかったが、空港からバルセロナサンツ駅までのチケットは不要だった(本来なら5ユーロくらいかかるはずなのに)。仕組みはわからないんだけど、その辺にいる黄色いスタッフに聞いたら丁寧に教えてくれるので、迷ったらすぐに聞くのが良さそう。
ちなみにユーロは、手数料込みで大体162円くらい。とにかく円安が辛い。
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電車の車体綺麗なの日本だけだよね
電車が30分くらい遅れて、ハラハラした。無事に来てよかった。来なかったらメトロに変えようかなとか、Uberでタクシー値段探してたら電車が来たのでホッとした。私がチケットの時間とか全部決めて予約してるから予定狂ったら予定だけでなく私も発狂しちゃう。
無事に高速鉄道出発駅に到着。おじやだけしか食べてなかったので、バゲットサンドイッチを購入。駅内価格ですごく高い。7ユーロくらい。でも美味しかった。
鉄道は、30分前には来てねってチケットに書いてあり、割とみんな30分前には列に並んでいた。日本の新幹線は数分前に行けばOkだけど、この高速鉄道は荷物チェックなどもあり、ギリギリで乗り込むのは大変そう。改札は2分前に閉まるらしい。多分2分がギリギリ乗れる時間なのかも。
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充電もできるし、座席も広くて最高の時間を過ごす。距離が思いの外長くて、ガッツリ寝た。電車で移動販売とかあったんだけど、眠くて意識が飛んでいた。
チケットは大型荷物持ち込みますよ〜っていうチケットをオンラインで予約していたのだけど、手荷物をチェックされることはなかった。もしかしたら車内ではなく荷物検査のところで荷物を確認してるのかな?
マドリードに到着。すでに移動時間は30時間を超えているがなんとか地下鉄でSol駅に。
マドリードは、PASMOみたいなカードを作ってそれに課金して使うシステム。複数人で使えるので、私がピッて改札抜けた後に友達に手渡して、次の友達が通って使った。
10回乗れるチケットが、今は半額らしく6ユーロくらいになっていた。カード発行費込みで8.5ユーロくらいかかった。
このカード、残りがまだ残っている時には10旅ずつしか追加できない。(オフィスでわざわざ聞いて判明した)
でも0になれば1旅ずつの追加が可能になる。10旅を入れれば、有効期限が長い(多分一年とか)んだけど、1旅ずつの追加の時はその日限定だった。
マドリードの主要な駅であるAtocha駅は、renfeの改札が二つあって、一つはローカルな普通列車用、もう一つは高速列車用の改札があるから注意。ネットで予約する時も違う方の駅の名前を入れると列車が見つからないことがある。またメトロはrenfeと違う入り口だから注意してほしい。大抵のことは黄色いジャケットを来たスタッフに聞けば一発。
スリに気をつけてメトロに乗ったが、治安はそんなに悪くなさそうだった。単に乗った時間が混んでなかったからかも
スペインの最初の夜
昼過ぎに無事にホテルにつき仮眠。夜はプラド美術館に行こうとしていたが、全く起きられなかった。(プラド美術館は18:00-20:00は無料で入れる!)
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夜でもOKなサンミゲル市場へ。
全て美味しそうに見える。ここで飲んだら絶対楽しい……って思ってたが、なんだか商品が乾いてるやつある……。映えだけかも?
食べる元気もないのに、キラキラ食事をするメンタルがなかったので、スーパーでサラダパスタとビールを買って、帰りに教会を見てから帰宅。教会は平日20時からミサをやっているようで、次の日に行こうかなと考えながら晩酌。
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買ったビールはかなり軽めで、度数も感じずあんまりお酒って感じじゃなかった。美味しい。マドリードではこのビールを掲げている中お店をいくつも見たし、人気のビール。
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この謎のサラダが健康的な雰囲気出しててそれもよかった。美味しい。このサラダが美味しくて、この後も夜に何度も食べてしまった。
一緒に旅行をしている海外初の友達が「日本にも外国人いっぱいいるからあんまり違和感なかった」って感想言ってて面白かった。確かに渋谷とか海外からの観光客しかいないしね。
トレド陥落!
到着翌日、スペインに一日だけ旅行するならトレドに行け!と言われるくらい有名なトレドに行くことに。正直マドリードには全く興味がなく、トレドのために来たという感じ。
トレド行きのチケットは、本当はあらかじめ予約したほうがいいんだけど、クレカが不調で(ワンタイムパスワードが日本の番号に送られてしまうVS日本の番号を海外で使うと高額だから使いたくない問題)予約できず。朝からrenfeという鉄道会社のオフィスに向かった。
メトロから行くと道が結構わかりにくかったんだけど、上から見るとすぐにわかる。
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オフィスに入って待合番号を取って、すぐにパネルに番号が表示されて呼ばれた。行くと帰りを予約。往復で予約すると少し安くて、22ユーロ(3500円くらい)ほど。バスだと往復10ユーロ(1600円くらい)なんだけど、マドリードの中心からトレド行きのバス停まで地味に遠いし、トレドまで1時間45分くらいかかるから、鉄道にした。時間が勿体無いのと、トレドを歩くのめちゃくちゃ疲れそうだという予想で。
今更だけど、この旅行記はこれから同じような旅行に行く人の役に立てばと思って書いているので、バスの情報とかチケットの買い方など行かない人には瑣末だけど行く人にとっては超重要な情報をまめに書いていきます。
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列車で早速トレドへ。短距離でも高速列車なのでコントロール(手荷物検査)を通る。
renfeの鉄道、ちょっと古かった。
今更だけど、高速鉄道は、大手のrenfeっていう国鉄みたいなやつの他に、iryoっていう自由化によってできたらしい会社(?)があった。renfeが本数は圧倒的に多いんだけど、iryoの方が安いことが多いみたい。でもまあ、大抵どんな列車も早く取れば安い。
renfeのトレドチケットは往復で朝買ったけど、もし時間を前後させたければ、席が残っている場合なら交換OKと言われた。他の行き先に対しては無理だと思うけど、トレド行きは定価で変わらないからチェンジOKなのかも。ただ帰りの時間もいい時間はすぐに埋まってしまうので、最初から本命の時間をバチっと予約するのが良さそう。
たった34分の乗車でトレド駅に着いたら、橋に向かって歩き出す。ヨーロッパの古い都市あるあるで、街が壁に囲まれてて、門と橋で中に入れる。
アルカンタラ門から中へ。
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思ったよりも狭い橋で横幅5メートル前後くらいだった。馬車一台がギリギリそう。建て替えはなされているだろうけれど、テンションが上がる。
この橋はローマ時代からあるものが幾度もの再建を経てこうなったもの。ローマの頃にもここを歩いた人たちがいると思うとなんだかワクワクする。
この橋、日本でいう擬宝珠があった!
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京都の大橋とほとんど同じだった。擬宝珠はスペインにもあったか……。
ちなみに薄着をしているように見えるが、実際に暑いからカーディガン。2月の中頃なんだけど、昼には20℃を簡単に超えるから、ジャケットは朝夜のお出かけ以外では不要だった。そうとは知らずに荷造りミスっちゃって、分厚いヒートテックとニットが使われずにスーツケースに眠ってる。
スペインにおいては、写真手前のように橋の途中で窪んでいるのは、かつて休憩用に造られて、他の人に道を譲る目的だったみたい。
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この塔、結構凝った作りだった。バロック様式の洒落た感じがいい。
内部は(以前のギリシャ・トルコ旅行で見たようなレンガより)複雑な積み方がなされている。
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ドームの中に支えるようにX字のレンガが積んである。これは、リブヴォールドというもので、こうやって積むことで、力のバランスを取ってる。(はず)
橋を越えて門に入る。トレドを囲んでいる壁には、180°以上の角度の特徴的な馬蹄形アーチが見える。これがアルカンタラ門だ。
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イスラーム建築に多いと思われがちだけど、発想自体は紀元前からあって、流行したのがイスラーム文化だったみたい。イスラーム建築は、木材が乏しいから、レンガでどうにかアーチを組むことに必死だった模様。馬蹄型は、初めて見た時は鍵穴かと思ったけれど、見慣れると結構いい感じ。
馬蹄形アーチはよくよく見ると上の部分だけが放射状に積まれている。全体が放射状に積んであると思いきやそうじゃなくて面白い。当たり前だけどこっちの方が積みやすそう。
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壁には登れて、見張り用のスペースがあった。立ち入り禁止ではないもののかなり危険。でも戦いに来た雰囲気が味わえる。私がトレドを防衛する時はここから熱した油をぶっかける。
さて壁を抜けて、これでトレドは私のもの!
大量の階段を登って、早速観光スタート。
最初はアルカサル!現軍事博物館で、西ゴート王国時代には王宮として使われていた場所。軍事博物館とだけあって、軍人が中を歩いていたのが印象的だった(ちょっとドキドキした)。軍事に関する歴史など遺跡が見られる場所。
……なんだけど現在リノベーション中でほとんど見るところがない。
もうほんとまじであんまり見るところがなかった。一応写真もとったんだけど、本当によくわからない古代遺跡のあとで、現地で見てもイマイチだったから、写真でみても当たり前によくわからない。
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この上の写真のところは、古代の水汲み場などがあったらしいが、ほとんど岩があるだけの更地。
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内部の展示の様子(西ゴート王国へのことはほぼ扱われず、大航海時代後の展示)。
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アルカサルの展示の中でも見れたのはおそらく企画展で、いかにアンダルシアの人たちが戦い好きなのかが示されていた。
……んだけど、本当に英語表記が全くなくて、全然わからんくて困っちゃった。
スペイン内戦で壊れた場所などが生々しく残っているとか聞いていたから、ドラマチックな建物の様子が味わえるかと思っていたが、リノベーションだから仕方ない。無念に思いつつ、チャカチャカ次の場所へいく。リノベーションが終わるまでは行くのをお勧めできない。スペイン語ができたり内容に興味があれば話はべつだけど!
夢のテーマパーク、カテドラル
さて気を取り直して。
アルカサルの次にトレドの大聖堂に来たんだけど、これがすごかった。トレド公会議という言葉が有名なように、トレドは公会議が行われるほど重要な場所だった。もちろん行われたのはこの大聖堂。ドキドキする!
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この向かって右側に入り口があって、チケットはその向かいのお土産ショップで購入。スタッフが結構いるし優しいから気楽に行って大丈夫。12ユーロかかる。
中には、どうやって作ったの?!っていうくらいすごい装飾がたくさんあった。
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ここ、教会の中心に位置にあった祭壇なんだけど、あまりに豪華すぎて写真撮ってもよくわからないや。目がギラギラするっていうか、豪華絢爛て極めすぎるとカオスだなっていうか。3Dで見るから自然に見えるけど写真撮ってみる奇妙になっちゃう。
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聖歌隊席もすっごく豪華!ここでミサをやったらどんな音が響くんだろう?
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こんなに大きなパイプオルガン見たことない。これを弾く人大変そう。
こんなに煌びやかで、人の想像を超える建物だと、無宗教者でも神様のこと信じちゃうよ……。雰囲気だけでキリスト教信じれちゃうもん。もちろんこの教会できるまでざっと300年くらいかかってるけど、それにしてもすごい。
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祭壇(さっきのめちゃくちゃ派手なやつ)の裏にあるのがこれ。トランスパレンテっていうんだけれど、これもすごく豪華。(この豪華な装飾にある穴が裏の祭壇に光を届けるから透明っていう意味のトランスパレンテって呼ばれているらしいが、全然透明ではない主張のつよい装飾で、穴どころの話じゃない)
大きすぎて上手く写真撮れてないんだけど、細かな装飾が天井まで続いてる。
左右にはなんでそこ?っていう聖書の箇所がモチーフが。
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これ、ダビデがアヒメレクから剣をもらった後に、城門をかきむしっているシーン……?
旧約聖書ってもともとだいぶ意味わからんけど、このシーンをモチーフにするのもだいぶ意味不明だった。
一応反対側も写真撮っておいた。
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ここ、ナバルとアビガイルのシーンなんだけど、うーんマジでよくわからん。どうしてそこ……?
誰かわかったら教えてほしい。
変だなあと思いつつ、他の部屋に。
礼拝堂以外にもいろんな部屋があってすごく楽しい。テーマパークみたい。
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聖具室なるものに、エルグレコの有名な絵が飾られてた。ちょうど赤い服着てたのでちゃっかり同じポーズしたけど、いやイエスがこんな呑気なわけないだろと思った。いざ十字架にかけられる前に優雅すぎる。
カトリックにかかると、全ての聖書のシーンが綺麗になって面白い。
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金でできた聖遺物入れが宝物庫にあったのでパシャリ。これも3メートルくらいある金ピカの装飾物で、天使を意味している部分や聖霊を意味する部分など色々あった。盗み聞きしたガイドによると、この部品を取り外すと何百にもわかれるから掃除する時はとても大変だとのこと。
コロンブスが持ち帰った金も含まれているらしい。
ところで聖遺物とはなんなのか。
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聖遺物とは聖人の遺体のことで(イエスにまつわるアイテムやマリアにまつわるアイテムも含まれる)、カトリックの聖餐台には聖遺物が必要だった。(8世紀ごろには成立していた文化)
だから教会を建てるのには聖人の遺体が必要で、聖遺物を奪ったり買ったりしていた人も多くいた。聖遺物を奪うのは不敬だが、略奪が成功するとそれは聖人がそうさせたってことになってOKになる。つまり略奪が正当化される。なんともイカれたアイデアだと思うが、コレをめぐって色々な歴史が動いたので笑えない。
カトリックの教会がやけに人名の教会が多いと思っていたが、聖遺物ありきで教会が成立するのだとわかったら合点がいった。やけに教会に人の墓が多いなと思ってたのも納得。
他にも色々な展示があって、コレは最近の第二バチカン公会議で教皇が使ってたアイテム。この公会議を経て、教会はエキュメニカルになったのだと同行者の相棒が言っていた。
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いざ実食、マザパン!
次にサントメ教会に向かいがてら、トレド名物のマザパンを食べに行く。
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トレドでは、戦などで貧しかった時期に作られた伝統的なお菓子「マザパン」(マルチパン、マジパン)がある。早速実食。
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食べてみると、甘くて美味しい!でも1個でいいかも!みたいな味だった。おもたい。
口の中ですこしざらついて、コーヒーが飲みたくなる!
砂糖とアーモンドを練って作られたものらしい。日持ちしそうだった。一人で何個も食べれるものではないので買いすぎ注意。
続いてサントメ教会に。
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この教会はエルグレコの絵が見られます!てことを推してる教会で、その絵に人がたくさん集まってた。人が多すぎてその絵は撮ってないんだけど、死んだ伯爵を聖人が天から降りてきて天国に連れてってあげる〜ていう絵。
でこれが教会内部。
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絵画に人が集まりすぎて礼拝堂はほぼ無人。なんてこった。
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この赤いライトが灯っているのが、どうやら聖遺物がありますよという印らしい。知らなかった〜!
思えば今までの教会にもあったのだろうが、全く気づかなかった。次の教会では気をつけて見ていきたい。
隠れ名所エル・グレコの家美術館
街の西側へと歩いていく。トレドは旧市街中央が高いところにあって壁に向かって低くなっていく。次に訪れたエル・グレコの家は街の西側の低いところに位置していた。
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トレドはエル・グレコで有名な街でもある。彼がいっぱい絵を描いた家を、保存のために美術館化しちゃおう!となったらしくそれを見学しにいった。コンバインチケットで、どこかと一緒に安くなるものだったはず。近くの教会だったかな。
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いかんせん古く、家が壊れかけていて、かなり恐怖だった。写真からわかるように、床が歪んじゃってて、いつ落ちてもおかしくない危うさ。奥は立ち入り禁止になってた。映え写真を撮るつもりが顔はこわばってただの度胸試し写真が撮れてしまった。度胸アピールにおすすめスポット。
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イエスの弟子たちがいっぱい描かれていた。ここは英語の解説があるから、色々わかってかなり楽しい。ただ宗教の知識と歴史の知識がないとなかなかわからないことが多かった。
わたしはここで最初、apostleって言葉を知らなくて、説明文から察するに弟子たちが持っているアトリビュートのことを出すのかと思ったけど違った。apostleが弟子って意味だった。
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なお、アトリビュートっていうのはその弟子が誰かを示すもので、例えばペテロはいつも鍵と一緒に描かれる。
(アトリビュートは12弟子だけじゃなくて美術一般に使われる言葉)
これはペテロがイエスから天の国の鍵をもらって権威を与えられたことによる。(このことからペテロは最初の教皇と言われて以後の司教はそれを継承しているらしい)(ここら辺は同行者の相棒が教えてくれた。ありがとう相棒!相棒は春から牧師になります!)
私はもともとペテロが大好きなので(鶏が鳴いた後にイエスを知らないと言ってしまうシーンがすごく好き)、とりあえず鍵を買った。
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いろんな写真で鍵を持ってるのは、ペテロ担だと示すためである。この鍵で色々な都の門を開き征服したいという思いを込めている。
話を戻して、ペテロのアトリビュートは鍵だったり元は漁師だから魚が描かれたりする。他にもパウロなら本と剣を持っているし、アンドレはXの十字架を持っている。(パウロは12使徒ていわないかも)
アトリビュートがわかると、誰が何かがすぐに判別できて面白い。
この美術館で絵を見てて、アンドレがわかって、私が「アンドレだ!アンドレ!」と喜んでいたら、スタッフのおじさんから「アンドレはフランス語読み。アンデレといいなさい!ほら、アンデレ!」と正された。
トランシト教会
エル・グレコの家のすぐそばにあるのがこのトランシト教会。
スペインからユダヤ人たちが解放されて作ったシナゴーグで、15世紀のもの。スペインでこの時代から残るのシナゴーグは、こことあと2か所くらいしかない。シナゴーグとはユダヤ人たちの礼拝用の場所のこと。
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とても広い礼拝堂だった。ムデハル様式で、ユダヤ人教会なのかイスラームの教会なのかよくわからなかった。今更ながらムデハル様式とは、イベリア半島に見られるキリスト教会の建築様式にイスラーム文化は混じったもので、トレドの大聖堂も含めてこのnoteで紹介するものは大抵ムデハル様式である。だからいちいちムデハル様式だ!とか言っててもしょうがない。具体的には幾何学模様の壁や天井、植物モチーフや。最初に見た馬蹄形アーチなどのことを指す。
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教会の中はちょっとした博物館になっていて、ユダヤ人の文化のことが深掘りされていた。展示によるとここで教育や儀式が行われていたっぽい。(ここには英語の開設が一応あった!各部屋にラミネートで設置されていた!)
街の中に暗号?
トレドのこの教会あたりはユダヤ人街であって、教会側(中央や東側)とは違う独特の雰囲気が感じられるのだった。そういう違いも味わいあって楽しい。
そういえばユダヤ人街には不思議なマークがいっぱいあった。無秩序にブルーのタイルが埋め込まれている。
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コレらの意味をお土産屋さん女性に聞いたところ「祈るためにある」といい、観光客案内の人に聞いたら、何が書いてあるかの説明をされて、またなんか違うことを言われた。
なんなんだろう?と思いつつ、次の目的地に向かう。
もう一方の方、サン・マルティン橋
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トレド西の入り口のサン・マルティン橋。15世紀頃に作られたが、当時でも相当長い橋だったらしい。
実際に歩いたが、たしかにちょっと長かった。
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最初に紹介したアルカンタラ橋は、アーチが馬蹄形ではなくて、バロック式の橋だったけど、こっちは時代が下ったせいかムデハル様式の橋だった。
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この橋と同じ距離をケーブルで繋いでブランコ(?)みたいに空中遊泳できるやつが、12ユーロであった。
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近くを歩いてたら女の子たちがみんなやってて人気っぽかった。度胸がないので丁重にお断りして最後の目的地へ。
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道が細いところが多くて、同じところは二度と通れなさそう。攻めるの大変そうな街だなあ。
穴場サン・ロマン教会
この教会は、西ゴート王国時代の遺跡などが展示されていた。一応博物館の役割を担った教会で、礼拝には使われていなそうだった。英語の解説はゼロなのでスペイン語を推測するしかない。
ここにはかつて西ゴート時代のバシリカがあったらしく、その痕跡がみえて面白かった。
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フレスコ画などもあって、見応えがあった。解説がなくても結構見応えあっておすすめ。
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やっぱり建物はイスラームを感じられる。面白いなあ。
ここまで観光するともうクタクタで(8時間くらいトレドにいた)、東側に戻り壁を出て駅へと向かう。
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来た時は橋付近から階段で街まで登ったんだけど帰りは疲れててエスカレーターに甘えた。アルカンタラ橋ではなく、新たに建てられた車両用の橋を渡って戻った。
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疲れた足を癒すのに34分しか電車の時間がないのは厳しすぎる!帰りの電車はみんなが寝てて、各々がそれぞれでトレドを楽しんだなとわかった。
私も相棒とトレド楽しかったねと言いながらマドリードへ帰還。
めちゃくちゃくたびれていたが、癒されるために近所の教会でミサに預かる。私たちはカトリックではないので聖体拝領はNG(私たちはプロテスタントなのだけど、カトリックからしたらプロテスタントはいまだに異端らしい)。
でも礼拝は全ての人に開かれているので、ひっそり参加。右側に座ったら男性ばっかり右側に座って左に女性がいっぱい座ったから空気読み違えたぽくて気まずかった。
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献金をしてもしなくてもいい感じがよかった。うちの教会はみんな献金する雰囲気あるんだけど、ここは手を伸ばした人のところに献金回収の人が来てくれるシステム。
25分くらいでミサは終わって、ようやく1日の全ての予定が終わった。
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じゃーん!夜はソーシーソンを買ってたべた。フランスで初めて食べてから大好きなやつ。相棒が調べて曰く、白いのはカビらしい。カビ食ってたのか……。食べる時ちょっと臭いけど、味は本当に美味しいのでおすすめ。ソーシーソンはフランス名でスペイン語名は不明。
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スーパーのサラダが美味しくてまた食べちゃった。スナックは相棒チョイスで、ちょっと野菜っぽい味が美味しかった。買った赤ワインを空けつつ疲れた身体を癒す。これが主の血……!(聖体拝領ジョーク)
どうやら今日は22000歩、15km歩いたらしかった。そりゃあクタクタになるわ。
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でもトレドは最高に楽しかった!行ってよかった!
さらばマドリード!
マドリードに行ったのは、トレドへのアクセスが良かったからで、実はマドリードにはさらさら興味がなかったんだけど、一応
次の街に行く前に、マドリードでの観光をした。
Sol広場というところにはスペインの0キロ地点(日本でいう日本橋)があって見に行った。
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朝早かったから誰もいなくてラッキー。サクサク写真を撮って、プラド美術館へ向かう。
結構駅から歩いたので驚いた。前日のトレドのせいで足にガタが来ている。
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この写真左手側にチケット売り場と受付があった。一般入場確か15ユーロ。25歳以下学生は割引があるので身分証わすれずに!
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内部は完全に写真NGでなにも取れなかった。けれど、気になっていた絵とか、ここにあったの?みたいな絵がたくさんあって面白かった!
特に、私はゴヤの、神話のサトゥルヌスが子供を食べる絵が見れて超大満足。ここにあったのね!
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絵葉書をいくつか購入。受胎告知は初めて見たけれど、色使いがかなり特徴的だった。青の色は明るい夜空みたいに澄んでいて、それでいて元気な色で不思議だったし。ピンクの天使の衣もかなり派手。小さい写真で見るから違和感ないけど、かなり派手な絵だった。
好きな絵がいくつもあって、旅が終わったらもう一度公式サイトで見直そうと思っているところ。
プラド美術館後、お腹が空いていたのでマックへ。
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なんでわざわざマドリードでマックなの?というご指摘は最もだが、友達がハッピーセットのおもちゃが欲しいとのことで私もトライ。ハッピーセットは5ユーロもしないのに、結構なボリュームがあった。ついてきたオレンジジュースが美味しい。
残念ながら念願のおもちゃが来なかったので、また今度食べることにする。
そういうわけでトレド・マドリード編終了!