ブローバイガスを考察する
エピソード44
令和6年7月
ブローバイガスはノーマル状態では吸気系へ還元させてますが、これは大気汚染を防ぐ為の物で有って、エンジンの出力を出す事においては良いはずが有りません
ですからチューニングをする上では絶対に吸気系に還元しません
サーキットではオイルキャッチタンクで受けてから大気解放です
エンジンがブローしてブローバイからのオイルや水でコースを汚さないようにする為です私は無も付けずに大気解放です
ホースの出口はなるべくタイヤから離しています。ブローして自分のオイルや水で転倒は怖いですから
エンジンをチューンして行くとクランクケース内の圧力が高まって行きます
その抜けが悪いと空気の抵抗により高回転の最後の最後で回らなくなります
310のA型やKPのK型で経験しました
どうするかと言うとブローバイの増設です
当時、4AGが世に出て1万1千回転回すエンジンを組んだ時ももちろん最初から増設しました
今回はブローバイの取り出し口の口径を広げました
8mmから12mmです
最初はタペットカバーに増設を考えましたが、オイルの吹き出しをセパレーターで受けて返すのも面倒くさいので、口径を広げる事にし、内蔵のセパレーターにも少し細工しました
12mmの穴と8mmの穴の表面積の差が62.8㎠有ったので、4mmの穴を5つ、手前の部屋に開けてもらいました
ホールプレスの合うサイズが無かったので無理矢理やってもらいましたが、穴の位置が少しズレてるのは私が酔ってやったのではありません(笑)
これで高回転でのふん詰まりが無くなって抵抗が取れ綺麗に回ってくれる事でしょう
ちなみに私は内圧コントロールバルブの効果はあまりないと思ってます
ZRX680とは関係ありませんし、私の主観で長々と書きますので飛ばして下さって結構です
4サイクル4気筒だとピストンの1,4番が下がると2,3番は上がっているので、ピストンの動きによる圧力変化は相殺されます。爆発時のピストンリングの合口からの漏れと圧縮時の合口からの漏れにより脈動は有りますがクランクケース内は正圧です。これを負圧にすることによりピストンが下がる時には効果が有りますが、ピストンが上がる時には逆効果です。
そして、負圧にした事による効果が有ったとして、どれだけクランクケース内を減圧できているのでしょうか?内圧コントロールバルブを販売している各メーカーの説明文を見てみると、大手2輪メーカーも採用と有りますが、4輪では複雑な機構でPCVバルブと言う名前で、今はほぼ全車にワンウェイバルブが付いてます。環境保護の目的でブローバイガスを還元するように法律で決まっているからです。これは内圧コントロールバルブがうたっているのとは別の目的です。大手2輪メーカー採用の物はPCVバルブではないのか?
また、Moto GPでも採用されていると書いてますが、その物がそのままの機構で付いていると私は思えません。付いているならもっと複雑な機構で付いているのではないのか?内圧コントロールバルブには単純なワンウェイバルブでは無く、吸気や排気で負圧を発生させて強制的に排出するタイプがハイグレードの物で有りますが、正に4輪に付いてるPCVバルブではないのか?
昔は直通でブローバイガスを還元していましたが、進化してPCVバルブで環境を保護しながらオイルの劣化を少し抑える事や、他の微細な副産物が有りますがそれと同じではないのか?
まとめ
クランクケース内を減圧する事によりピストンが下がるのを助ける効果とピストンが上がる逆効果の相互関係ですが、逆に考えると正圧になっていてもピストンの上下運動で相殺されるからブローバイの口径を広げる必要ないんじゃねーの?
と思うかも分かりませんが、高回転になれば合口からの排圧が高くなって行く事に加え、シリンダー同士の空気の移動が追いつかず、ある時期から抵抗になると思っています
ですから私はクランクケース内は脈動に合わせて自由に行き来できる大気圧がベストと思っています
これだけ"うんちく"を垂れながら明日には私のバイクにも内圧コントロールバルブが付いているかもわかりません(笑)
納得できて良い物なら直ぐに取り入れたいと思っています
実は比較的安価な物と有名メーカーの物を試しに使った事が有りますが、残念ながら効果は実感できませんでした
シャーシダイナモに載せて比べて見れば違いが分かるかもしれませんが...
製品開発には目的が大きく分けて2種類あると思います
1つは純粋に性能アップの目的、もう1つは利益目的だと思います
両方を兼ねている場合ももちろん有ると思います
今、開発され出回っている内圧コントロールバルブが利益目的だけの物ばかりでない事を祈ります