ベンチャー留学で期待できる効果 #2/”異文化を取り込んで化学変化を起こす”/組織開発の話(JA全農 安田専務のインタビュー)
こんにちは。ベンチャー留学「Next Stage」事務局です。
今回は、Next Stageを導入している全国農業協同組合連合会(https://www.zennoh.or.jp/・以下、JA全農)の安田専務に話をお伺いしました。今年で創立52年を迎えたJA全農が、なぜこのタイミングでスタートアップへ職員を留学させるという決断をしたのか、そしてその先に期待されることについて詳しく聞きました。
Next Stageの導入効果の一つである「組織開発」にも絡めて、スタートアップ留学を導入することで変革する組織について考えたいと思います。
会社の風土や文化の変革、組織を変えようとしている皆さん、ぜひご覧ください。
Next Stageで期待できる効果
あらためて「Next Stage」の事業内容については以前こちらのnoteでご紹介させていただきました。
人材育成や組織開発を進めるうえで、これまでの研修やセミナーとは違う、新しいアプローチでイノベーション人材を育成するのがNext Stageです。Next Stageを導入することで、主にこちらの効果が期待できると私たちは考えています。
JA全農 安田専務のインタビュー
所属場所を客観的に見る経験は財産
早速ですが、Next Stageへ参加する社員を1年間の出向というスタイルで導入していただいたJA全農。そのJA全農でNext Stageに当初からご理解いただき導入実現へ繋いでいただきました安田専務に話しをお伺いしました。
事務局:(職員がスタートアップへ留学するというNext Stageについて、導入するきっかけや当初の想いなどがあればお聞かせください。)
安田専務:
「私自身、出向した経験があり、その時にいつもと違った環境でストレスはあるものの反面、ワクワク感がとてもあったことを覚えています。そういった経験を職員にもしてほしいという想いがありました。もう一つは、今の時代『変わらないことのリスク』はとても大きいと感じており、当社に変革を起こす手段として、異文化を取り込んで化学変化を起こすことが効果的だと期待してNext Stageを導入しました。」
事務局:(現在(2024年10月)JA全農から3名の方がスタートアップで活動されていますが、留学期間が終わった後にJA全農へ戻ってきて期待することはありますか?)
安田専務:
「まずは臆せず、自分の経験を発揮してほしいということ。もうひとつは、所属する職場に戻った時に『今の全農やJAグループは、外からこう見えている』という視点を活かし業務に取り組み、意見を発信くれることを期待しています。角度を変えるとモノって違って見えることがあると思いますが、それはとても大事なことですよね。外から全農あるいはJAグループという自分が所属する場所を客観的に見る経験はとても貴重なことだと思います。
今回の経験は、スタートアップへ留学した人たちにとって、長い財産になるのではないかと思っています。きっと経験した人は、全農に戻った時に前とは違った考え、意見が言えるようになっているのではないかと思いますし、そういったことは職場の周りの人に対しても影響するのではと思います。」
事務局:(同僚や周りの職員が「あの人、変わったな」と感じるということでしょうか。)
安田専務:
「そうですね。留学から戻ってきた人と接することで、職場の同僚や同じ部署の人などが、Next Stageに参加したあの人、以前と変わったなと感じ、さらに『自分も(彼や彼女のように)そうやって変わっていい』と思える空気感が職場で作れることは、とても良いことだと私は思っています。」
組織を越えることに抵抗のないネットワークに期待
事務局:(今後、Next StageがJAグループへさらに広がっていくと、どのような事が期待できるとお考えでしょうか。)
安田専務:
「Next Stageが今後JAグループヘ広がっていくと、農業を核とした社会課題を解決しようとする、さまざまな業種や業態(スタートアップ)を経験した人たち(留学生)が集まって留学経験者同志のネットワークができると思います。それは私たちの想像を超える何かが起きるのではないかと、期待できますよね。
組織を越えることに抵抗のないネットワークというのは、なにかこれまでにない変化や変革が起きるのではと思っています。そういったネットワークを作っていってほしいですね。
人の変化というのは、すぐには表に現れないと思っています。5年から10年くらいかかるのではと。そういった意味ではこれからNext Stageについてさまざまな意見や評価があると思います。ただ、こういったプログラムは短い期間で見るのではなく、一定期間続けて参加した留学生を追っていくことで、その変化や改革に期待したいと思っています。さらに、留学経験者の変化や効果をみて、Next Stageも違ったアプローチや内容へ変化していくことも必要ではないかと思います。」
「種火」の連鎖で変わる組織
安田専務の話にもあったように、Next Stageの導入効果は個人の成長だけでなく、会社や組織の変革(組織開発)にも繋がります。
昨年開催された日経ビジネスLIVE 2023 Winter「経営」ステアリングコミッティでOfficeコクリエ代表の貴志俊法氏は、変化が激しくて先行きが見えない現在の組織に必要なのは、「知の探索」へ向けた施策と「良質な議論の場」が生まれるような組織文化の醸成、その2つだと述べています。
※組織進化とイノベーション創出に向けた人材戦略に挑む | Human Capital Online(ヒューマンキャピタル・オンライン) (nikkeibp.co.jp)
私たちは、その「知の探索」への施策、「良質な議論の場」の醸成、どちらもNext Stageで実現できると考えています。Next Stageは、外の世界を知ることで客観的に自分の所属しているコミュニティを見ることから始まります。所属元企業へ戻ったメンバーは、今まで想像もしていなかった角度から会社の価値やサービスを提案し、周囲を巻き込みながら企画を進めたり、あるいは、以前は特に疑問もなく行っていた会議や業務に違和感を提議し、それに対して周りのメンバーも参加することでより効果的な業務の進め方や有意義な会議ができるようになったりするかもしれません。留学経験者の行動に、周囲のメンバーは最初、違和感を抱くかもしれませんが、少しずつ変わっていく変化の波を感じ、「そういえば、自分もあの人と同じ疑問を持っていた」と感じるようになってきます。
私たちはそのような留学生が所属元企業へ戻った際の変化を「種火」と呼んでいます。その「種火」が周囲の人へ燃え移り、その炎が少しずつ大きくなり組織、あるいは会社全体が変わっていく。そういった組織を変える流れのスタート地点「種火」になれるメンバーをNext Stageで育成することができます。
最後に
組織の開発や変革は、言葉だけ見ればその箱(組織や会社)を変えるように見えますが、元をたどると人が重要であり、組織を変える人の「種火」を生み出すことが大切だと考えています。お話を伺ったJA全農の安田専務の言葉をおかりすると“異文化を取り込んで化学変化を起こす”こと。化学変化の大きさはきっといろいろあると思いますが、多様な化学変化が多くの場所で起きることで、次第に組織の変化、会社の変化が現れると今後期待できるのではないでしょうか。
また、その変化が見えてくるのは長い期間で続けていく必要があります。変化や流れを感じ、私たちNext Stage自体もアップデートを忘れないように、とあらためて感じることができました。
今回も読んでいただき、ありがとうございます。次回は、Next Stageで期待できる効果3つ目の最後「人材育成」についてお話します。
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