愛すべき東京都府中市 2024年5月【1】
4月14日
夜8時40分頃、国分寺駅前で自転車を借り、府中駅に向かう。
距離は3kmちょっと。国分寺駅の南には国分寺崖線(がいせん)という崖(がけ)がある。府中駅に向かう際には下り坂になる。
私がいつも利用している自転車は「ハローサイクリング」。電動アシスト自転車なので、起伏は苦にならない。
夜9時過ぎ、府中駅前に到着。25分ぐらいかかった(途中で迷ったり休んだりした)。
多くの商業施設は既に閉店している。買い物をしに来たわけではないので構わない。ケヤキ並木を歩く。大國魂神社を抜けて、JR府中本町駅に到着。
JR南武線に乗って一駅、分倍河原駅で下車。改札を出ると歩道橋のような通路がある。古くて薄暗い。側面に貼り付けられた半透明の板が、ツギハギで安っぽい。直すお金もないのだろうか。
階段を下る。何か墓場に続く道のような気がした。実に独特な雰囲気がある。
ここには、馬に乗った武士の像がある。鎌倉攻めの英雄・新田義貞(1301-1338)の像だ。以前から見たかった。ついに会えた。
1333年、上野国(現在の群馬県)で倒幕の兵を挙げ、一路鎌倉へ。途中、何度か幕府軍と戦う。その舞台のひとつがここ、分倍河原なのだ。
ロータリーの真ん中に設置されている。グルッと360度、正面、側面、背面と、じっくり鑑賞。躍動感があり、観ていてワクワクする。
そして再び通路に戻る。英雄の立派な像を観た後の、バラック小屋のような通路。先程よりも更にみすぼらしく見えた。なんと錆びているのだろう。
私はこの雰囲気が嫌いではない。歩いているとノスタルジックな気分になる。90年代のミュージックビデオの中にいるような感じ。開発から取り残され、平成初期で時が止まっている感じ。
画像の先に見えるのは改札口なのだが、今でも有人改札なのではないかという気がしてくる。カチカチとハサミを鳴らす駅員がいるのではないか(もちろんそんなことはない)。
歩いていると何だか切ない。その切なさが癖になる。今風に言うならば「エモい」。だいぶ老朽化しているので、そう遠くないうちに、生まれ変わるだろう。そうなる前に訪れてほしい。
***
今度は京王線に乗り、一駅先の府中駅で下車。先程までいたところだ。改札を出て、すぐにまた入場した。再び分倍河原駅に向かう。これまでの行程をまとめるとこうなる。
府中駅→(徒歩10分)→府中本町駅
府中本町駅→(JR南武線・1駅)→分倍河原駅
分倍河原駅→(京王線・1駅)→府中駅
府中駅→(京王線・1駅)→分倍河原駅
府中駅、府中本町駅、分倍河原駅の間を行ったり来たり。私はいったい何をしているのか。一言で言えば「乗り鉄」だ。単純に京王線に乗りたかったのだ。普段乗らないので、このピンクの色使いが新鮮でワクワクする。
かわいいポップな色使いの、明るくてきれいな駅。それが府中駅。隣は古くて薄暗くてお金のなさそうな、物悲しい分倍河原駅。でも、どちらも府中市内の駅なのだ。私には、どちらも愛おしい。
4月29日
また府中へ。今度は昼間。夜と違って、いろいろな物がよく見える。JR府中本町駅で下車。
駅前に何やら整備された空間がある。妙な柱が無数に建てられている。「国司館と家康御殿史跡広場」だそうだ。
事務所でスコープやタブレットを借り、VR映像を楽しむ場所のようだ。しかし私は面倒だったのでパス。広々とした空間を楽しんだ。ゴールデンウィークだというのに、すいていた。
大國魂神社を通り抜けると、ケヤキ並木が始まる。大型商業施設を含む、にぎやかな商店街になっている。3~4分歩くと府中駅に着く。この街並みは素晴らしい。だからこそ短期間で2度も訪れた。
私は自宅の位置の都合で府中本町駅から歩いているが、できれば府中駅から歩いたほうがいい。駅を出るとケヤキ並木があり、その道が大國魂神社へとつながっている。気持ちのいい散歩道だ。
商業施設、並木、神社。そのすべてがバランスよく溶け合っている。商業施設というものは、便利で楽しいものである一方、街を軽薄にする。しかしこの街には落ち着きがある。歴史あるケヤキ並木と神社のおかげだ。
京王線・府中駅から新宿駅まで20~30分、高尾山口駅にも同じぐらいで行ける。運賃は共に314円(IC)と安い。
私はこれまで、西武線沿い、JR中央線沿い、都心と、あちこち歩いてきた。府中は特にいい街だ。
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著者は1985年生まれの男性。 不登校、社会不適応、人付き合いが苦手。 内向型人間。HSP。エニアグラムタイプ4。 宗教・哲学(生き方)…
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