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歴代朝ドラレビュー(4) 2023年10月【10】
(3)はこちら。
カムカムエヴリバディ(2021年度後期)
100年間の物語。主人公は祖母、娘、孫娘の3人。それぞれ1925年生まれ、1944年生まれ、1960年生まれ。話が3つのパートに分かれている。NHKラジオの英語講座が作品のキー。
祖母(安子)パートの出来がとても良い。というか、私はここ以外評価していない。番組公式は「3人の傍らにはラジオ英語講座があった」と書いているが、実際にこれに該当するのは安子だけだ。
稔(松村北斗)との出会い、恋、結婚、死別。そしてロバートとのアメリカ行き。ドラマチックな展開に目が離せなかった。汽車の中で稔と会うシーンは、名画のハイライトのように美しかった。
娘(るい)パートは普通によくあるドラマとしか思わなかった。"On the Sunny Side of the Street"という楽曲が物語のキーになっているが、これは「純情きらり」(2006年度前期)でも重要な曲だった。
孫娘(ひなた)パートは丸々いらない。安子とるいの話につなげるためにこしらえた、思いつきのツギハギ話という印象。
るい編以降、様々な物語が展開される。しかし私の興味はたったひとつ。なぜ安子はるいを置いて渡米したか。これだけだ。ジョー(オダギリジョー)は微かに関係があるが、太秦映画村に至っては完全に無関係。
安子の渡米から再来日までの数十年間は、ほとんど話がつながっていない。頭と尻尾がドラゴンで、胴体は紐。あるいは真ん中が空洞という意味で「キセル」。そんな感じの作品。
ちむどんどん(2022年度前期)
謎に沖縄が舞台で、謎にイタリア料理のシェフになり、謎に金と暴力の世界が展開され、よくわからないうちに沖縄料理屋を開いていて、気付いたらみんな老人になっている。
論理の通用しない支離滅裂でブッ飛んだ脚本は、ひょっとすると前衛芸術なのかもしれない。「ながら見」推奨。
舞いあがれ!(2022年度後期)
五島編が繊細で美しい。大学編は暑苦しい。航空学校編は無駄にこじれた人間関係でギャーギャーと騒がしい。
激高した女性が男性の顔に飲み物をぶちまけるシーンは最低。朝ドラでこういうシーンは観たくなかった。ただ航空学校という世界を知ることができたのは良かった。大河内教官(吉川晃司)が素敵だった。
ネジ工場編や起業編は面白くない。記憶にも残っていない。
新聞記者の御園(山口紗弥加)が舞(福原遥)の起業に加わったのは笑った。営業部に異動になって悩んでいた時期だったので、単に転職したかっただけではないかと邪推してしまう。
彼女は最初から最後までタメ口で偉そうだった。マスコミは一般に偉そうだが、それがドラマで再現されていると考えると面白い。
今回はここまで。次回は「さくら」(2002年度前期)、「まんぷく」(2018年度後期)、「らんまん」(2023年度前期)について触れたい。
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