歴代朝ドラレビュー(2) 2023年10月【8】
(1)はこちら。
カーネーション(2011年度後期)
世界的デザイナー、コシノ三姉妹の母親の生涯を描く。朝ドラというのは毎回15分のドラマで、家事をしながら観る人を想定している(していた?)という。だがこの作品はそのレベルではない。映画に近い。家事の手は確実に止まる。
映像で人間を描く時は、このように描くべし。見本のような作品だと思う。ただ荒っぽい人々の物語なので、苦手な人は疲れるだろう。ヒロインの言動がかなりヤンキー的。
梅ちゃん先生(2012年度前期)
まだ全話観終えていないが、全体の4分の3ほど観た。これならもうレビューしてもいいだろう。
お父さん(高橋克実)がとてもいいキャラクター。彼の登場時に使われる曲がダース・ベイダーのテーマに似ていて笑える。松坂桃李の演技がうまくて感心している。ファンになった。
あまちゃん(2013年度前期)
宮藤官九郎(クドカン)脚本の人気作品。しかし私はこの作品に対して不満がたっぷりある。
主人公の友人ユイ(橋本愛)がはっきり言って嫌い。まず顔が好みではない。彼女が登場するたびにイライラした。しかし顔が嫌いなだけでここまで強い感情が起こるのはおかしい。
おそらく性格が嫌いだから顔を見ると不快になるのだ。彼女は黙って本を読んでいるタイプ。それは別にいい。周囲を見下しているのが醜いのだ。美少女だか何だか知らないが、心が醜い。実績がないのに自分は人気アイドルになれると思っている。
その割に気が小さい。そのギャップがかわいいと見る人も多いのだろうが、私にはそんな心の余裕がない。
ボソボソ話した次の瞬間に怒鳴るような、情緒不安定な子。基本的に優等生だが、しばしば「〇〇してんじゃねーよ」といったヤンキーのような言葉遣いになる。自分の思いどおりに事が進まないとキレる、いじける、ひきこもる。始末に負えない。
しかし視聴者にここまで強い嫌悪感を抱かせるのは、俳優の演技がうまいからだ。並みの役者だったらここまで嫌な気持ちにならない。橋本愛さんの演技力を称えたい。当時17歳というのだから、まったく見事なものだ。
ヤンキーと言えば、最大のヤンキーは主人公の母親・春子(小泉今日子)だ。他人を怒鳴ったり、脅したり、叩いたりして従わせるやり方が大嫌いだった。実の娘にくり返し悪口を言うのも許せない。
彼女に限らず、作品全体に暴力的な描写が多い。直接殴るということではなく、誰かが酷い言葉を吐いて、それにショックを受けた人を笑うような描写だ。ヒロシ(小池徹平)の存在感が薄いネタも、いじめを見て楽しむようなセンスを感じる。
ヒロシの父親(平泉成)が、本人に聞こえるように、アキ(能年玲奈)に向かって「あいつはストーブなんですよ」と言ったシーンは最も腹が立った。
ヒロシは人生がうまくいかずに苦しんでいる。それでストーブから離れられなくなってしまった。そんな状態の息子を、実の父親が、他人の前で嘲笑するだろうか。そんなことがあっていいものか。あまりにもかわいそうではないか。
しかし脚本は、なおも彼をいじめる。「ストーブさん」なるあだ名をつけるのだ。どこまで残酷なのか。どこまで悪趣味なのか。
そこまで嫌なら観るのをやめるべきと言われれば、その通りだ。しかし私は完走した。話の続きが気になってやめられなかったのだ。つまるところ「あまちゃん」は面白かった。嫌いだけど。
今回はここまで。次回以降に触れる作品は下記の通り。
マッサン(2014年度後期)
あさが来た(2015年度後期)
カムカムエヴリバディ(2021年度後期)
ちむどんどん(2022年度前期)
舞いあがれ!(2022年度後期)
らんまん(2023年度前期)
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