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気持ちよく晴れた朝のローマの歩き方 (古代ローマの遺跡とプーリア州を巡る旅⑪)

2024年11月5日火曜日(四日目)
気持ちよく晴れた朝のローマの歩き方

朝4時過ぎに一度目が覚める。
夜明け前の暗い時間。
日本では昼過ぎたと思うと不思議な気がする。世界には同時にいくつもの夜明け前があり、いくつもの夕暮れがある。
二度寝をした時間がよくなかったらしく、二度目はひどく眠い目覚め。
反対に天気は気持ちよく晴れ渡っていた。


朝の光の下を歩く。Roma termini(ローマテルミニ駅)を背に、Via delle Quattro Fontane(四つの噴水通り)を歩いていくと、四つ角に噴水のある辻に着く。
同じバロックでもベルニーニとは別の性質を持った建築家ボッロミーニが設計したChiesa di San Carlo alle Quattro Fontane(サン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂)を横目に通り過ぎ、Chiesa di Sant'Andrea al Quirinale(サンタンドレ・アル・クイリナーレ教会)へ。
誰もいないため気持ちがいい。
天蓋の中心には鳩が飛んでいる。

教会内に謎のコインベンダーがあり、相棒が50セントコインを投入するが、何も起きない。

どこかに電灯がついた気配がした気がしたが、どこかわからなかった。
しばらくしてその電灯が消える気配だけがわかった。
ベルニーニの作品らしい彫刻が天蓋の至る所にせり出した豪奢な作り。

教会の名前にもなっているQuirinale(クイリナーレ)というのはローマの7つの丘の一つであるクイリナーレの丘からきている。元々はここに住んでいたサビニ人たちの信仰するクゥイリーヌスという神の名前が丘の名前の由来であるらしい。
クゥイリーヌスも今ではローマの他の神々に吸収され、元々はどんな神であったのかはわからないようだ。
正体のわからない神の名前のついた丘は、朝の光で鮮やかに照らされている。

暫定的トレヴィの泉

丘をくだってトレヴィの泉へ。
またここも大規模改修中である。
泉の前には小さな水の入ったトレイがあり、それが観光客が投げる硬貨の受け皿になっている。

右手で左肩越しに後ろ向きでコインを投げ入れ、泉に入れることができれば再びローマを訪れることができるという有名過ぎる言い伝えがある。

私の投げたコインは入らなかった。

相棒の投げたコインは、弧を描いて暫定的な泉に着水した。

鷲掴みにしたコインを投げ入れる子ども。
これから何度ローマを訪れるつもりだろうか。

すべての神の神殿、パンテオン

パンテオンまではトレヴィの泉から歩いてほんの数分である。
パンはすべて、テオンは神を意味する。
ローマの建築が唯一ほぼ完璧な姿で残っている場所であり、世界最大の無筋コンクリート建築でもあるらしい。
造形と巨大さには圧倒的な荘厳さがある。

巨匠ラファエロの墓には、名前の銘が刻まれた柩が安置されていた。
無駄がなく洗練されているのに、存在感がもの凄い。
圧倒される。


ローマ最古の図書館

ローマ最古の図書館であるbiblioteca Angelica(アンジェリカ図書館)へ。
ヨーロッパ初の公共図書館でもあるらしい。
狭い入り口をくぐり階段を上るとカード目録がある戸棚が並んでいる小部屋に出る。
そこを通り抜けると書架のある部屋に行くことができた。
壁一面が見上げるばかりの書架となっており、中央に閲覧のための机が並んでいる。

書架はすべて金網で保護されている。
目録から読みたい本を出してもらう形式らしい。
擦り切れた背表紙からは聖書らしき単語が読み取れる。

時を経ることでしか得られない深みのようなものを、書架の赤茶けた色や本の劣化から存分に感じる。
いつまでも見ていたかったが時間に余裕がなく長居はできなかった。

続く

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