
改めてエヴァンゲリオン
2021年のおすすめ映画で『エヴァンゲリオン』をあげる人が少ないのは、今更おすすめしなくても、ということなのだろう。
だが「今年、もっとも心を動かされた映画を教えてください!」というnote編集部の質問に答えるならば、やはり素直に『シン・エヴァンゲリオン』と答えざるを得ない。いまだに新たな真実を発見する喜びがある作品である。だから語る。
というか、今ちょうどエヴァ熱が再燃してきたのだ。というのも娘がエヴァンゲリオンに興味を持ち始めたのである。キャラクターの中ではミサトさんが「美人だ」ということでお気に入りのようだ。
娘にはちょっと難しすぎてわけわかんなくないかなー、とも思うが、そもそもこの作品がわけわかんないのは幼児であろうが成人であろうが大して変わるまい。
エヴァンゲリオンを理解するには、その背景にあるものの知識も必要とする。それも、かなり多くの、コアな知識を。それは聖書の知識や科学の知識といったものばかりでなく、世にある既存の物語についての知識も含む。
最近、岡田斗司夫氏が『ゴルゴダ・オブジェクト』のオリジナルは星野之宣の『クォ・ヴァディス』だと解説している動画を観て唸った。宇宙空間を不規則に動き回る絶対零度の十字架が、相対性理論が否定する絶対座標系であったというオチには、かつて打ちのめされた覚えがある。庵野監督はそこを見事にオマージュしてきたのだ。
他にも、ミサトさんの最期は宇宙戦艦ヤマトのオマージュであろうと私は思っている。こういったことを語り合える人は貴重である。双方の知識が多いほど、共に語り合える領域が増えるということになる。娘がとりあえずエヴァンゲリオンに関心を持ち始めたわけで、これからどこまでが親子の共通言語になるのか、楽しみなところである。
そういうわけで親子でエヴァ関連の動画などを観ている。娘はエヴァの機体そのものもカッコいい、と目を爛々とさせる。私としては、あれはちょっとキモくね?と思っているので、ともすればすでに二人の興味の方向性がズレているかもしれない。