数理落語家 自然対数乃亭吟遊

まずは数理の物語、エッセイから。物語を紡いでいきます。

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最近の記事

「出勤可」というだけの診断書を出してもらっても、職場が監督責任として「まだです」と言うことはある。 「◯◯の条件下では働いて何ら支えはありません」といった診断書が出ると、職場は逆らい難くなるだろう。 一言だけの芸のない診断書はもう時代遅れかもしれない。

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    7本

記事

    【ショートショート】 『無人島生活福袋』

    「無人島…」  来た!「無人島にひとつだけ持っていけるなら何?」は想定の質問だ。  ならライターと答えるのはサバイバルの常識だ。この質問はもらった。  そう思っていたが、『アジ経出版』の面接に来た学生は愕然とした。 「…で一ヶ月研修をするのでひとつ福袋を選んでください。どの店のにしますか」 「ええ? ええっと薬のカメヤかな…」 「つまらんね」 「まじめなようですから『月刊医療』の下働きはどうです?」  研修の話は嘘だ。学生が何に価値を置くかを知る質問であったのだ。  次の

    【ショートショート】 『無人島生活福袋』

    リカちゃんを縛り首にした罪で白雪姫が収監されました。

    リカちゃんを縛り首にした罪で白雪姫が収監されました。

    薬にはまだどうして効くって分かってないものが多い。特に精神科ではよくある。薬理がある程度明らかな薬でも、メインの作用機序のほかに多くの隠れた機序があることがほとんどである。 最近、麻酔が何故効くか分かったらしい。その記事を読んでみたが、よく分からんかった。

    薬にはまだどうして効くって分かってないものが多い。特に精神科ではよくある。薬理がある程度明らかな薬でも、メインの作用機序のほかに多くの隠れた機序があることがほとんどである。 最近、麻酔が何故効くか分かったらしい。その記事を読んでみたが、よく分からんかった。

    【即興小説】 『カンパニー なみのまにまに』

     どことなく煤けた曲線の机が並んでいる。波打つ形は仕事をするのには不向きに決まっているのだが、流行りのスタイルというべきか、いや流行ってなどはいないが今時の会社のありかたのひとつではあり、たまにそういう凝ったオフィス作りをするところがある。カナ丸商事のオフィスは、その典型なのだ。おそらく社員も会社見学の際にそういうのに憧れて入ってきたクチであり、それならそれでそういうスタイルを好むんだからよさそうなものだと思いきや、いやいやどうして、そんな机に不平を言うまでは三月とかからない

    【即興小説】 『カンパニー なみのまにまに』

    具体例も挙げず説明するのは、分かりづらい。 ε–δ論法の完璧な記述に「これは何て不親切な説明なんだ。けしからん!」と思うのは、そう無理もないことかもしれない。 だけどそれでちゃんと通じる数学者は素敵だと思う。

    具体例も挙げず説明するのは、分かりづらい。 ε–δ論法の完璧な記述に「これは何て不親切な説明なんだ。けしからん!」と思うのは、そう無理もないことかもしれない。 だけどそれでちゃんと通じる数学者は素敵だと思う。

    「あるものの数量を増やすのにかなりの時間がかかる場合にはどうしますか?」 時間をかける。少ない量で済ます。効率化する。 この問題の答えはそんなもんだろう。何の数量であるかはわからなくていい。 この抽象性に耐えられない人とは話が合わない。

    「あるものの数量を増やすのにかなりの時間がかかる場合にはどうしますか?」 時間をかける。少ない量で済ます。効率化する。 この問題の答えはそんなもんだろう。何の数量であるかはわからなくていい。 この抽象性に耐えられない人とは話が合わない。

    【コント ボツ】「『遠回り』の作り方」

     性懲りも無くコント台本をあげつづけている。  今回はその制作秘話を披露しよう。というのは、今回はネタの種が面白くできあがらなかったのでボツと判断したのである。だからいっそこれを利用してハウトゥーをお伝えしようと思った次第である。  最初の頃このコントは精神症候学からヒントを得てネタを作っていた。「遠回り」というタイトルも「迂遠」という医学用語から来ている。これについては「お笑い=逸脱・論」という私の理論があってそれがもとになっているのだが、今回はその話はしない。最近、そ

    【コント ボツ】「『遠回り』の作り方」

    【ショートショート】 『長距離恋愛販売中』

     「浮気したな!」「え? あたしたち付き合ってたっけ?」「なんだとぉ?」  そんなやりとりから致傷沙汰になるなど、痴情のもつれによる事件が多発したため、恋愛は登録制になった。手続きがなされるとハートカードというものが発行され晴れて二人はカップルと公認される。それ以外の交際は認められない。  制度ができると偽装も生まれる。「彼氏・彼女がいる」というステータスだけを欲しがる男女が現れ始めたのだ。  そこで疑わしい場合には相応の額を支払い、恋愛審査機関の認定をもらわなければならなく

    【ショートショート】 『長距離恋愛販売中』

    司法と犯罪の備忘録(3) 『入り口と出口と。それだけ?』

    司法と犯罪の備忘録というシリーズがあったのを忘れていた。よその店でも「更生と再犯防止を考える会」というものを開催しており、そこでトラブルシューターの組織を立ち上げたばかりの弁護士先生とワーカーさんの方の話を聞いた。そのあとの食事会でもいろいろと楽しく話をさせてもらったので、備忘録を書く。 今回は「障がいがあるかもしれない人の中の、犯罪行為や事件に関わる人への支援」の話である。たとえば「これまで診断されたことはないがどうもIQが低そうで、それが窃盗をしたことに影響していると疑

    司法と犯罪の備忘録(3) 『入り口と出口と。それだけ?』

    『暴れん坊将軍=スタートレック』説

    『暴れん坊将軍=スタートレック』説

    【コント(35)】『遠回り(32)』

     (禿山の頂上近く。空にはプテラノドンが飛んでいるのが見える) 「どうしてこんなところに来たんだか……」 「私の場合、グリフォンにさらわれて山の頂上に来たかと思ったら、なんか里中さんも瞬間移動でここに来ていたという。奇遇ですなあ。ま、冒険ですからな。そりゃいろいろありますわ。そのほうがまた面白いという。ああ、宝物を持ち帰りたい」 「私は早く帰りたいんですよ。つきあっていられません。せっかく逃れたと思ったのに、もう!」 「ゲームをクリアするのにあせってはいけませんなあ。

    【コント(35)】『遠回り(32)』