数学夏祭りに参加3、4、5
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数学というのは、厨二的である。
私の世代としては、もっとも厨二的なものは『北斗の拳』である。あれが放送されていた当時、男の子たちは秘孔を突きまくっていた。
・・いや、嘘だ。あの頃の少年ジャンプは全盛期であった。私の仲間は秘孔を突いていたが、他の友達は超人になってプロレスをしまくっていた。かめはめ波を放つ勢力もあったし(これは息が長い)、ペガサス流星拳もあった(私は真空パンチのほうが好きだったが)。
ケンシロウの魅力は必殺技の多さにある。かっこいい名前の必殺技を叫んでそれを繰り出す様には、男子はあこがれるのである。一子相伝の暗殺拳であるから、ケンシロウも継承者として、技を忘れないようにする責任が重大であっただろう。マイナーな根多も覚えなきゃならない講談師と同じだ。
ところで、あまりにも技が多いと闘いの中で「どう取捨選択するのだろう?」と疑問に思う。「どれにしよう?」などと迷っているとやられてしまいそうだ。全部『北斗百裂拳』ではいかんのか?あれは疲れるのか?同じことをやると技を見切られるのか?
やはり絶妙な判断は必要なのだろう。ただ、ひとつの勝負において、適切な必殺技はひとつではないのではないかと思われる。
昨日はnoteフェスでプロ棋士が、将棋の戦法について語っていた。将棋の様々な戦法には流行り廃りがあるどころか、リバイバルまであるそうだ。
厨二的である。北斗の拳である。『矢倉ああぁあ』とか『穴熊あぁぁ』とか叫ぶのである。いや、叫ばない。
で、数学である。なかなか厨二心をくすぐる必殺技というか、論法や定理がたくさんある。漢字やカタカナの名前がかっこいい。
また、ひとつの問題に対して、2、3の別解、ときにはかなり多くの解法が存在する。
第3〜5問で、必殺技を確認しよう。
右上のほうにある式である。これはドラゴンボールの界王拳のごとく
『2倍角の公式ぃぃぃ!』『3倍角の公式ぃぃぃ!』
と叫ぶところである。(だから叫ばないって)
界王拳は2倍、3倍とレベルをあげていって、たしか2桁以上の20倍とかまでが出てきたような気がする。LEEのカレーと同じで、「〜倍」という数字を上げていくと、そりゃ威力は強いけれど、体にはとてつもない負担がかかるのである。
倍角の公式も同じである。。基本には『加法定理!』というやはり名前がかっこいい必殺技を応用するのだが、この「〜倍」の数字は上げていくことが可能なのである。だがとんでもないことになる。
だんだん複雑になっていく。見苦しくなっていく。計算ミスをする可能性も高くなり、武闘家(問題を解く者のこと)の心身をズタボロにすることは必死である。
しかも数学の場合
『 n 倍角の公式ぃぃぃぃぃぃぃぃ』
と、一般の値" n "を使ってすべての数字に対して答えてしまうという技が尊ばれる。これは一層危険である。
ちなみに今回私は、禁断の『技』(?)を用いることにより n 倍角の公式を出すことにより、かえって自滅してしまった。他のかたの解答をちらっと見たところ、『漸化式!』という秘奥義を利用し、n 倍角を出さずに問題を解いてしまっているようだ。使ってはいかん技を使ってしまった。
やはり「〜倍○○」は身を滅ぼす、の法則は正しかったようである。
ここでときめくのは『素数』という言葉である。
理系の人間は『素数』という言葉にピクンと反応する。『数学夏祭り』の一連の問題にも、79という素数がやたら登場する。
素数の分布については、まだ人類がその規則性を見つけることができず、何人もが命を落としている難攻不落の城塞なのである。これを攻め落とせたら英雄だ。厨二的だ。
この問題はただ素数が使われているという第1問とは違い、その『素数の分布』にも関係しそうな、『ゴールドバッハの予想』がテーマにある。
『ゴールドバッハの予想!』なんと甘美なる響きだ。これは前回述べた、一見自分に解けるんじゃないかと思わせておいてこれまで多くの数学者をその途中までしか辿り着けさせなかった山、有名未解決問題である。うっひゃー。
ただ、この第3問を解くのであれば、左ジャブをしっかり繰り出していくといった、地味な取り組みが必要なようであった。解けなかった。
はい、次。
数学の中でも『解析』というジャンルに入る問題だ。私はもう『解析』って言葉だけでうっとりする。
さらに『極限値』という言葉が甘美だ。なんか肉体を徹底して鍛え抜いたたときに使いそうな言葉だ。ブルース・リーみたいだ。
しかも n 倍界王拳なんか目じゃない。無限大が出てくるのだ(というか、極限値が無限の操作を表すので、『しかも』というべきではないかもしれない。でもいいのだ。響きがいい言葉がまた出てきたのだ)。
さて、ここで登場する必殺技だが、これは式の形を見ると分かってしまう(といっても、私はあまり自信がないのだが)。
必殺!『区分求積法ぅぅぅっっ!!』
である。
どうだ!
だがそこから先はピタリと手が止まってしまった。
修行し直して参ったほうが良いようである。カリン塔を登るくらいのところからかな。
「俺は、もう、昔の吟遊ではない」(劣化したって意味でな)
それぞれの私の解説とも呼べない解説動画。