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3度目のソロキャンプ④ ジェネロスな雲海と朝ごはん 撤収編
夏の夜の野外での睡眠は、途切れ途切れだった。
寝袋に潜り込み、ランタンの灯りを消してまどろみ始めると、私はすぐに浅い眠りに落ちた。
しかしそれは長くは続かず、その後様々な要因で立て続けに目を覚まさせられることになった。
ひとつは、テントの外の物音。夢うつつの間に、どれだけの生物が外の暗闇の中を跋扈する音を聞いたことか。ある時はそれは小さな虫であり、またある時はそれなりに質量のある哺乳動物のようなものの立てる音に違いないと思われた。鳥達だけが、健全な夜の睡眠を貪っているようだった。
一度などは私が寝ている背中側のすぐ側で、テントの外膜をシャッ、シャッと引っ掻くような感触が感じられもした。それは猫が構ってほしくて引っ掻く時のような、甘えた仕草のようにも思われた。
飼い猫が寂しさのあまり、夢の中に現れたのだろうか。
そうも思った。
けれどそれは独り寝のテントの内側という閉ざされた空間で、しかも眠りの最中に感ぜられたこと。嘘か誠かも成否も確かめようがない。
いったいあれは何だったのだろう?
わからない。
けれど今も私はあの爪先の立てる音とテントの引っ掻かれる感触を、つぶさに思い出すことが出来る。
そうこうしている内に、朝になった。
携帯のアラームが、あらかじめ仕掛けておいた時刻、午前5時を告げる。
熟睡出来ていない為、しばらくの間寝袋の中でむーーんと言いながらぐずっていた(昨夜飲み過ぎたせいもある)。
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事前に調べたネット情報では、ここ四季見原すこやかの森キャンプ場では高確率で雲海が見られるということだった。
私はそれをあまり期待せずに、だが心待ちにしていた。
何故なら昨年、雲海をターゲットに阿蘇の大観峰で車中泊をした時、期待し過ぎたのが仇になったのか雲海に出会えなかったという経緯があるからだ。
詳しくは
大観峰で車中泊した話。|縣青那 (あがた せいな) (note.com)
に書いています。
写真多めのエッセイです。よろしかったら覗いてみて下さい(^_^)。
では、今回はどうだろう……。
ようやく起き上がれそうな気分になってきたので、寝袋を開いて身を起こした。
期待半分、諦め半分。
ドキドキしながらテントのファスナーを開けてみた。
すると……
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サイトの木々の向こうに、一面見事な雲海が広がっていた。
「わっ! わっ! すごい!!」
思わずスマホを手にテントから飛び出した。
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まだ夜は明け切っていない
濃密な綿を敷き詰めたような雲海の下には、まだ眠っている町がある。
彼方の山脈の上に佇む夜明け前の雲の色が、何とも美しかった。
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ひとつ上の段に上り、改めて雲海を見下ろす。
横に広く広がっていると思ったが、こうして見ると厚みもだいぶんある肉厚な雲海だ。
雲海に雄雌があるとすれば、それは間違いなく雄♂の雲海だった。それもかなり男前の。
英語に「generous」という言葉がある。これは「寛大」とか「太っ腹」、「気前のよい」という意味を表すのだが、この朝現れた雲海はまさにそんなイメージだった。
そんな風な男前の雲海が、
「ホラァ、とっくりと見るがいいさ」
とでも言うかのように目の前に泰然と横たわっているのだった。
感動。
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そう思った
それにしても何て色合いだ!
サイトの右側面にスマホを振り向けてみた。
太陽が昇るのは反対の東側のはずだが、こちら側も不思議な色合いに光っていた。
空が1日を始める準備をしているのだ。
そう思った。
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存在感を消していく
空が段々明るくなり、サイト全体が目を覚ましていく。
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雲海の色が変わってきた
少しずつ日が昇り始めた。
時間が経つにつれ雲海は青みを帯びてきて、シャーベットのような質感に見えてきた。
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ダイブしたら受け止めてくれるのではないかと思うほど、綿布団のような頼もしい雲海だった。
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コーヒーを沸かす
夜が明けた。雲海はまだ「どこにも行かないよ」とでも言うかのように、密度高い現状を維持している。
たまらなくなってテントから道具を取り出し、テーブルを広げてコーヒーを淹れることにした。
まだ朝ごはんを食べるほど空腹は感じないが、この雲海を眺めながらコーヒーを楽しみたいと思った。
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お気に入りのカルディのフレーバーコーヒーを淹れ、雲海に向かって乾杯した。
今日現れてくれてありがとう、と感謝の言葉を述べながら。
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この日の朝は、〝モーニングムーン〟が出ていた。
すっかり日が昇り、晴れて突き抜けるような青空が広がっても、名残を惜しむようにずっと天空に残っていた。
写真で撮ると小さくなってしまったが、肉眼ではしっかりその存在感を示し続けていた。
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旅の仲間。
『ハッピージャンプアニマル』の三毛猫さん。
この時の私の気持ちを一番ストレートに表してくれていると思う(^_^)。
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史上最高のものになったにゃっ!
まさにこんな気分だった。
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ジュースを飲む
(もう焦げてる(>_<;))
キャンプの朝ごはんはいつも、持参のバゲットサンドに決めている。
カリカリに焼いたベーコンにチェダーチーズにレタスと、具も固定。
まだ朝の限られた時間に凝った料理をする技量が無いからなのだが、簡単で美味しいので単にハマッているからというのもある(朝の空気とマリアージュするのです!)。
いつかキャンプの朝に卵かけごはんと味噌汁とか、ベーコンエッグとか作れるようになりたいな、と思うのだが……。
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いい感じに溶けているけど
テントにものを取りに行ったり色々していたら、かなり焦がしてしまった(T_T)。
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焦げて出た煙みたい(笑)
サンドウィッチを焦がしている間に日は高く昇り、雲海は消えてしまっていた。
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大自然のおまじないをかけて毒消しし、
全部残さず美味しくいただきました。
満腹~。
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ちょうどいい温度だったかも
テントの中に入ると、もうこんな状態だった。
温度が高くて湿度は低い。
これが夏の高山の日中の特徴か。
夜間は真逆で、温度が低く湿度が高い。
それにしても40℃近いって……。(^_^;)
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ベンチレーション部の来訪者は
蟻んこがひとり
テント全体に、夜露がビッシリ発生していた。
そりゃそうだよね、あれだけ夜間の湿度が高かったら……と納得。
だが、放っておいたら撤収前までに自然と乾いてくれた。
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サンドウィッチのお供に欲しくなって、もう一度淹れたコーヒー。
美味しくいただきました♡。
この朝は2杯コーヒーを飲んでも全然平気だった。キャンプマジック?
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乾杯!
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何度もふと思う
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たまらなくいい♡
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本当に良かった……
いつまで眺めていても飽きない風景……。
もしもう1泊出来たら幸せだろうな~……
ここのフリーサイトなら1泊2500円だし
(入場料600円を加えても3100円!)
食材さえ揃えれば、2連泊もマジでアリだなと本気で思った。
私が到着した時、受付のお兄さんが言うに
現にサイト9、10で2連泊されている方がおられたし、来年もし可能ならやってみたいなと野望を抱いたのだった。
さあ、最高の眺望サイトともとうとうお別れ。
撤収作業に入る。
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ハスラー君のバックドアをぱっかりんちょす
ギア一式と人間1人を標高1200mまで運び上げてくれた
小さなタフガイ、ハスラー君。
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ソーラーバッテリーの充電も◎
写真や動画を撮りまくったので、スマホの充電は常に心もとなかった。
到着してから3、4回充電を繰り返したと思う。
元から暑いということもあって、スマホはずっと熱を持っていたので、かなり負担をかけてしまった。
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やはり真夏のキャンプだ
頼もしい相棒ハスラー君に、どんどん荷物を詰め込んでいく。
コンパクトな軽自動車なのに、ソロキャンプぐらいの荷物は余裕で積めて、かなり隙間が残るほどだ。
今回受付のお兄さんの優しいはからいで、本来は禁止されているフリーサイトへの車の乗り入れ&駐車を許してもらえたのは本当にラッキーだった。
もし下の駐車場からここまで全部の荷物を運ばなければならないということだったら、このキャンプはかなり違った印象になっていただろう。
普段は皆さん苦労してサイトまで荷物を運び上げているということか……。
「何の部活じゃい」と毒づいてしまいそうになるほどの運動量だろうに。
涼しい季節ならその労働もそこまで苦にならないのだろうか???
それはまた、自分で経験してみないとわからないことかもしれない。
最後に、名残惜しくてサイトを去る時から帰り道にかけて撮った写真を掲載して終わりにしようと思う。
あーそれにしても楽しかった、この夏ソロキャンプ!
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この景色
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最後に1枚
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ちょっと開けた草地
雄大な景色
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〝酷道〟
左側には溝あるし
馴れてないとちょっと怖いかも
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最後まで見ていただき、ありがとうございました!