結婚式スピーチ 大失敗!凍りついた会場と、震える声
あれは、
親友の結婚式だった。
私は、新婦側の友人代表として、
スピーチを頼まれていた。
大役だ。
しかも、相手は
私の人生で最も大切な友人の一人。
絶対に失敗はできない。
そう心に誓い、
何日も前からスピーチの練習を重ねていた。
しかし、結婚式当日、
会場の華やかな雰囲気にのまれ、
私の心臓は今にも飛び出しそうだった。
新郎新婦の入場、
ケーキカット…
プログラムが進むにつれ、
私の緊張はピークに達していく。
そして、ついにその時が来た。
司会者から名前を呼ばれ、
私はマイクの前に立った。
数百人の視線が
一斉に私に注がれる。
頭の中が真っ白になった。
手に持った原稿の文字が、
汗で滲んでぼやけて見える。
「本日は…」
震える声でスピーチを始めた。
しかし、緊張のあまり、
次に続くはずの言葉が出てこない。
頭の中で、
練習したフレーズが
ぐちゃぐちゃに絡まっていく。
「えーっと…」と言いながら、
原稿を目で追うが、
焦れば焦るほど、
文字が頭に入ってこない。
そして、ついに…私は、
新郎の名前を、
別の名前に読み間違えてしまったのだ。
会場が一瞬、静まり返った。
新郎新婦の顔が、
みるみるうちに青ざめていく。
私は、自分の犯したミスの大きさに、
血の気が引いていくのを感じた。
穴があったら入りたいとは、
まさにこのことだ。
私は、震える声で
何とかスピーチを続けたが、
もはや何を話したのか、
ほとんど覚えていない。
あの日のことは、
今でも鮮明に思い出せる。
思い出すたびに、
胸が締め付けられるような思いがする。
しかし、あの失敗があったからこそ、
私は自分の弱さと向き合い、
少しずつでも克服しようと
努力するようになった。
そして何より、あの時、
どんなに恥ずかしい思いをしても、
最後まで私を見捨てずにいてくれた、
友人たちの温かさを知ることができた。
あがり症は、
簡単に治るものではない。
でも、完璧じゃなくていい。
失敗してもいい。
大切なのは、
そこから逃げずに、
少しずつでも前に進んでいくこと。
そして、あなたの周りには、
きっとあなたを支えてくれる人がいるはず。
だから、どうか一人で
抱え込まないで。
あなたの勇気ある一歩を、
私は心から応援しています。