げに恐ろしきは人の性 (さが)
去年の今頃、ちょうどお盆を兼ねての夏休み中、ある1本の懐かしい映画を鑑賞して、驚愕したときの思いを語ります。
私がまだ小学生の頃、この映画を観てかなりのトラウマになり、数年先にはこんな世の中になるのかなと真剣に思ったものです。
時は1980年、まだ米ソ冷戦時代真っただ中の頃。
アメリカに倣い、モスクワ五輪参加もボイコットを決めた日本。今後の世界情勢がどうなるのか、核戦争の脅威が現実にあった世の中のことです。
そんな時代背景のもとつくられた映画なのです。
当たり前のことですが、子供の頃に感じる視点と今のそれとでは、まったく事象の捉え方が違っているということ。
そして去年映画を観た時にはコロナのコの字も無かった世の中で、こんなにも今コロナ感染が世界中に広がり、すべてを変えてしまいました。
この映画はまさに今の世の中を反映しているものなのです。
そして今がその時だと思えた映画なのです。
復活の日 VIRUS
原作:小松左京 監督:深作欣二
兵器として作られたウィルスによる世界的パンデミック、そして核兵器の脅威にさらされた人類と地球。40年の時を超えて、今だからこそ真剣に観て考えたい映画です。
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時は1980年前半の話、アメリカと旧ソ連との冷戦時代が雪解けを迎えようとしている最中の出来事。それを良く思わない勢力により秘かに作られていた猛毒の新型ウィルスMM-88。そのウィルスがアメリカの研究所から盗まれ、スパイによって東側(旧東ドイツ)に持ち込まれる。東ドイツの科学者がその毒性の脅威を知り、ワクチンを秘密裏に開発しようと計画している中、そのウィルスのサンプルを何者かに盗まれてしまう。その後、小型飛行機で盗んだウィルスを輸送途中、猛吹雪によりその小型飛行機がアルプスの山中に墜落する。そしてウィルスを保管していた容器が砕け散ってしまうのです。春になり気温が上昇するとともに、インフルエンザと思われていたそのウィルスが猛威を振るうことになるのでした。
最初はカザフスタンに放牧されていた牛たちが、その後その遊牧民たちに感染が広がり、さらにイタリアで猛威を振るい始めたのです。
それが「イタリア風邪」として世界中でパンデミックを引き起こし、ついには地球上の人類や脊椎動物のほとんどを死滅させることになるのでした。
そしてその流行から半年ほどの間に、世界中の人類が滅亡するのです。
南極にいた863人を残して。。。
南極に残された各国基地の観測隊、そしてウィルス感染当初に海中にいたイギリスの原子力潜水艦の乗組員たちを除いて。。。
そして南極に新しい世界政府を樹立します。
まさにその瞬間、16人しかいない女性は「資源」として扱われることになるのです。
そう、子供を産み増やすためだけの、人類の貴重な「資源」として。
女性にとっては第2の悲劇の始まりです。
その瞬間、パートナーを女性が選ぶことは出来なくなったのです。
そこには、かつてあった女性の自由意志はすでに存在しないのです。
ただ種を残すために、ランダムに選出された相手と「生殖活動」に入るのです。
そして同時に勃発した食料問題。
そう、南極に備蓄されてある食料は限られているのです。
物語はここでは終わらない。
南極以外の人類が滅亡する前に、このウィルスはソ連からの攻撃だと誤信していたアメリカ軍のある幹部によりARS(全自動報復装置)が作動させられたことを知る。
ARS、それはソ連から米軍施設を標的にミサイル攻撃があった場合、アメリカもその報復として、核ミサイルをソ連やソ連国以外にも存在する関係施設に向けて発射するというミサイルによる報復装置。
イギリスの原子力潜水艦がその電波を、南極入りする前にキャッチしていたのです。
運悪く、まもなくワシントンDCの近くで巨大地震が発生する兆候がある。
その巨大地震を、ソ連からのミサイル攻撃だとARSが誤認すれば、アメリカから核ミサイルがソ連だけではなく主要施設を攻撃対象として、アメリカ全土から核ミサイルによる報復攻撃が始まるのです。
そう、南極にも当然ソ連の基地があったのです。
その地震が起きる前に、2人の男性が南極からアメリカに向けて旅立つのでした。
その全自動報復装置ARSを停止させるために。
そして時を同じくして開発されたばかりのワクチンを携えて。
そして奮闘虚しく、その地震が起きる前にARSを止めることは出来なかったのです。その瞬間、もう誰もいなくなった地球上で、核戦争が繰り広げられたのでした。
そして世界は2度死んだのです。
彼ら2人がアメリカに旅立つと同時に、当然標的になるであろう南極に残る人たちにも命の取捨選択がされていたのです。
この世に残すべき人間と、そうではない人間とを。。。
はい、その後の話はご自分でぜひご鑑賞ください。m(__)m
例え映画だったとしても、この殺人ウィルスを作ったのは人なのです。
そして核兵器の自動報復装置を作ったのも人なのです。
さらにそのボタンを押したのも、紛れもない人なのです。
人類だけでなく、地球に住む動植物や自然環境を壊してしまったのもまた人なのです。
1度ならず2度までも。
今だからこそ、“今“のこの地球に起きている私たちの問題として、ぜひ観て考えて欲しいとお薦めしたい映画でもあるのです。
暴走すると手が付けられない、一番怖いのは人だと思った作品のひとつです。
ウィルス感染による偏見・差別意識
そして特に地方の田舎では、ウィルス感染者に対する偏見が、今とんでもないことになっているのです!
私の両親が住んでいる田舎でも、コロナ差別がかなり重症化しています。
コロナに感染して重症になっているのではなく、コロナに感染した人に対する差別・偏見が重症化しているのです!
それは今年3月頃の出来事です。
あるスポーツ関連のイベントが某地域で開催され、そこでの参加者がクラスターを引き起こしたことが事の発端なのです。その中のひとりが、その地域で感染したとニュースで報じられたのです。
その時から付近の住民は戦々恐々!
まるで犯罪者のあぶり出しをするかのように、個人を特定し始めたようです。人口も数万人くらいしかいない田舎です。地域まで特定されれば、個人を特定することは容易だったでしょう。
結局、その人の家には苦情電話、家屋には落書き、さらにはその家の子供たちに対するいじめなど、あからさまな嫌がらせが続いたようです。
挙句、夜逃げ同然で家を引き払って出て行ったというのです。
他のブロガーさんの記事にもありましたが、コロナ感染差別の末、その先になんと自殺まで追いやられていた人もいたとか。
本当に痛ましいです。
げに恐ろしきは人の性(さが)と言うか、偏見・差別と想像力や思いやりの欠如だと思うのです。。。
自分が感染したらどうするつもりなのでしょう。
もう、カオスとしか言いようがありません。
次は自分が感染するかも知れないのに。。。
今日も最後まで読んでいただきまして、どうもありがとうございました。(^^♪
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イラスト・写真提供元:
ウィルス003 / illust AC のりまきさん
核攻撃E0878 / illust AC 戯 暖造さん
人が怖い女性のイラスト / illust AC 淡路ミミー
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