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もっと伝わる編集の基本~05.構造を作る

前回の記事で、同じ話が2回出てきたら、構成が整っていないと疑うべきという話をしました。そして次回、文脈の作り方について説明すると書いたのですが、文脈について色々考えていたら、結局これは「構造」の話だな、と思い至りました。なので今回は、文の構造について整理したいと思います。


編集の真髄じゃないかと思う

文の構造について話さなくちゃと思った理由としては、これ実は編集の真髄なんじゃないか、と思ったからです。
ほんと、話があっちこっちいって、お前が一番、構成できてないじゃんって話なんですが……すみません。

気を取り直して続けますと、第一回の「01.初めて読むつもりで読む」で、「編集の目的は伝わる文章を作ること」だと書きました。
目的はそうなんですが、じゃあそのために編集は何をするかというと、文の構造を作っていくわけです。

起承転結や序破急は、構造の話

文の構造を作るためには、まず「文の構造とは何か」について理解する必要があります。

文の構造とは、構成よりも少し抽象的な概念です。
「起承転結」や「序破急」という言葉を聞いたことはありませんか?
これは、この順番で文を作っていくと、わかりやすいし作りやすいよ、という文の構造の具体例を示すものです。

起承転結は、

①導入部の「起」
②導入を受けて論を立てる「承」
③論を展開・あるいは反転させていよいよ主張に突入する「転」
④結論を述べて論を閉める「結」

というパターン(構造)ですし、

序破急は、起承転結の「承転」をまとめて、よりテンポよく論を進めるパターンです。

文を書くときは、これらの構造を意識して書きます。
他方、編集するときには、文の構造ができているか、たとえば「導入部」に該当する文章があるか、それが導入部として成立しているか、次に「承」で論が立てられているかといった形で、構造を拠り所にして各構造の役割を果たす文章があるかどうかを見ていきます。

個人的におすすめの「使える」構造

ちなみに私は、起承転結や序破急を使って構造を考えたことはないです。

もっと実用的に、たとえば3,000~4,000字程度までのビジネス系記事であれば、

①導入および主張(導入部)
②主張を裏付けるデータや証言、具体例などのエビデンス
③改めての主張とそこから導き出される問題提起(まとめ)

を基本構造として考えます。
他の人が書いた文章を編集する際には、それぞれの要素が書かれているか、その内容が導入や論証として成立しているか、構造が混じっていないかなどをチェックしていきます。

事例紹介など、具体例を列挙する場合には、

①導入および主張(導入部)
②具体例、具体例、具体例……
③改めての主張とそこから導き出される問題提起(まとめ)

のパターンで考えて整理します。

長い文章の場合

長い文章の場合は、②か③が増えます。
パターンとしては、②の「主張を裏付けるエビデンス」に、2つ、3つのデータが入ってきたり、データだけではなく具体例や証言が並ぶこともあります。

また、論をひっくり返して強調するパターンでは、③を「しかし」から始めて、②に対する反証を入れてから、まとめに続けるといった流れを作ることが多いです。

冒頭の①導入および主張(導入部)と、最後の③改めての主張とそこから導き出される問題提起(まとめ)で、言いたいことをサンドイッチする形は基本的に崩れません。

要するに基本はこの三段階で考えて、状況に応じて、②か③を膨らませるわけです。

すべてのテクニックは構造に通ず!

文の構造については、長くても短くても、この考え方でだいたいは用が足ります。

今回の説明で一番言いたいことは、文を作るためのテクニックにはさまざまなものがありますが、煎じずめればすべてのテクニックは文の構造を作るためにある、といってもいいくらいだ!みたいなことです。

編集という立場から自分のものも含めて文章を見ると、一番大事な仕事は構造を作ることであって、それさえできればだいたい一定程度の読みやすさ、わかりやすさは担保されるという感触があります。

たとえば、接続詞。接続詞の使い方で一冊本が書けるくらいですが、接続詞は文の構造を前提として、使われるべきと私は考えています。

逆説の「しかし」を例にしてみましょう。
「しかし」って、何を以て「しかし」なのか考えたことがありますでしょうか。
私は、主張の反論に対する「しかし」であるほうがいいと思っているし、3,000~4,000字程度の文章であれば、そうあるべきだと思っています。

文章を作るテクニックとして、まず主張の反対の論を立てる。そして、主張の一歩前で「しかし」と述べ、主張になだれ込んでいく。そのことで、主張の正しさを際立たせるわけです。
そうなると、「しかし」の後には主張が続き、「しかし」の前には本論の反証が置かれるという構造が、おのずと決まってきます。
この構造を作ることで、どの文が主張で、どの文が主張の引き立て役なのかをはっきりするので、読者にとっては「わかりやすい」文章ができます。

ただこれは、私個人の感覚ですし、こんなテンションで「しかし」について考えている人には会ったことがないので、別の考え方もあるとは思います!

まとめと次回の予告

なんだか今回も長くなってしまいました……うーん、すみません。

今回は文の構造とは何か、それをどのように編集で使うのかについて説明したのですが、概念的な説明の域を越えませんでした……なので、次回はもう少し具体的に説明をしていきたいと思います。

本日もここまで読んでくださってありがとうございました!
予告しておいて、内容がまた変わる可能性もありますが、引き続きよろしくお願いいたします。


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