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企画参加作品

49
no+eで開催されている様々な企画に参加した作品集です。        シロクマ文芸部(毎週)・旬俳句(季毎)・54字の宴
運営しているクリエイター

#超短編小説

腋の薔薇時計 #毎週ショートショートnote

「先生、問題の腋というのを見せていただけますか」 医師は遺体の右腕を大きく持ち上げた。 「…

歩行者b
1年前
61

秋の空時計 #毎週ショートショートnote

空時計が流行っている。 といってもお店で売っているわけではない。空を見上げて「お腹が空き…

歩行者b
1年前
65

読む時間 #シロクマ文芸部

読む時間をたいせつにしている。 体の正面で両の手で持ち、題名を改めた後、表紙を厳かに捲り…

歩行者b
1年前
82

博物館にて #毎週ショートショートnote

これがかのメソポタミアの楔形文字ですか。なんのこっちゃわからんなぁ。   そりゃそうです。…

歩行者b
1年前
82

呪いの臭み  #毎週ショートショートnote

揺らせば笑うことだってある。 大学の地下室で、解剖用の死体を処理するバイトをしている。理…

歩行者b
1年前
67

紅葉の陰で  #シロクマ文芸部

小牧部長様 よろしくお願いいたします。   498字 秋が好き、それには超絶という修飾語を付…

歩行者b
1年前
76

文化祭の思い出 シロクマ文芸部御中

文化祭のためにダンボールを集めた記憶がある。それで何をしたのかは曖昧だが、教室内にトンネルを張り巡らしたのだけは覚えている。 同じクラスの女の子とスーパーに行き、初めてそのバックヤードを見た。 うずたかく積まれたダンボール。 従業員の気のいいおばちゃんが、娘は東京に行ってしまったと悲しい顔を見せつつ、10個ほど見繕ってくれた。 女の子に4つ、私が6つ。脇で挟んだり、頭の上に載せたり、いい加減嫌になって、公園で一休みした。 学校までの道のりはまだ半ばといったところ。 他愛の

お題 鳥獣戯画ノリ

山奥の苔むした石段を登っていく。 膝が震える頃にようやく山門に辿り着いた。 山の斜面に建つ…

歩行者b
1年前
68

ヒマワリは焦っている シロクマ文芸部御中

ヒマワリへの通信は問題なく行われていた。運用中の15号には資源探査用のカメラが搭載され、つ…

歩行者b
1年前
76

葬送のパレード シロクマ文芸部御中

ただ歩く音が聞こえた。窓を開けると、交差点の向こうを足並みをそろえ歩いていた。 妻が死ん…

歩行者b
1年前
54

秘密の部屋 シロクマ文芸部御中

文芸部に仮入部した。活動は秘密の部屋の探索と聞いたからだ。唯一の部員の部長は、初日から挨…

歩行者b
1年前
70

平和な世界はどれですか?シロクマ文芸部御中

平和とは「嘘のない世界のこと」と妻が言っていたのを思い出す。 案内人はここは嘘のない世界…

歩行者b
1年前
60

緊迫のかけひき シロクマ文芸部御中

書く時間が必要だった。 バスに監禁されて4時間。外への要求に何らかのメッセージを込めたいが…

歩行者b
1年前
37

落日とともに シロクマ文芸部御中

食べる夜がやってくる。これはラマダーン月の夜の呼称とも言えるだろう。 日没と同時に街中で皿の音が響き、さながらお祭りの様相を呈する。これが一ヶ月の間繰り返され、過ぎてみれば肥満ということもままある話である。 我が家でも例に倣い、肉を割き、パンを齧り、スープを流し込む。こんな調子で夜明けまでに3回分の食事を摂る。 ある朝早く、私は腹部の不調を訴えて医院の門を叩いた。馴染みの医師は快く招じ入れ、胃潰瘍の既往症がある私に再発を言い渡した。病気となれば断食は免除もされようが、この環境