文化祭の思い出 シロクマ文芸部御中
文化祭のためにダンボールを集めた記憶がある。それで何をしたのかは曖昧だが、教室内にトンネルを張り巡らしたのだけは覚えている。
同じクラスの女の子とスーパーに行き、初めてそのバックヤードを見た。
うずたかく積まれたダンボール。
従業員の気のいいおばちゃんが、娘は東京に行ってしまったと悲しい顔を見せつつ、10個ほど見繕ってくれた。
女の子に4つ、私が6つ。脇で挟んだり、頭の上に載せたり、いい加減嫌になって、公園で一休みした。
学校までの道のりはまだ半ばといったところ。
他愛のない話で盛り上がり、いつしか秋の陽は山の端にかかっていた。
私はおどけてダンボールを組み立て、中に閉じこもった。
女の子も入ってきて急激に距離が縮まった。心臓を吐きそうだと思う間もなく、女の子の唇が私の唇に重なっていた。お互いの歯がガチガチ当たった。
汗をかいているだろうに、とてもいい匂いがしたのを憶えている。
小牧部長さま
今回もよろしくお願いいたします。