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アンソロジー小説集『サロメ座の華』(CAL第二回配本)発売中



【内容紹介】

「世紀末芸術のシンボル、オスカー・ワイルドの『サロメ』から百三十年──新たにファム・ファタルをテーマに集まった十五名の新進気鋭作家陣による唯美主義的なアンソロジー小説。
あらゆる支配から解き放たれ、自由奔放に男たちを翻弄し、破滅させ、ニンファのように舞い踊る絢爛たる女たち。
美と陶酔に満ちた世界のさなかで、現代のサロメたちは何を告げるか。」(Amazon販売画面「内容紹介」情報より抜粋)

【書籍情報】

版番号:初版
販売価格:2,340円(税込)
出版社:デザインエッグ社
ISBN:978-4-8150-3764-2
販売予定日:2023年04月10日
書籍登録日:2023年03月18日
言語:日本語
ページ数:210
サイズ:B6

【目次】

・「迷妄の撫でし娘」 秋杏樹
・「神秘なる化身」 佐藤玲花
・「十三階の月花」 愛野ニナ
・「F」  星野栞里
・「虚実の情」 佐木呉羽
・「太陽を見つめる君の下」 押上麻麻
・「スグリの女」 弓リツ
・「花殺し」 Ito.N.Noel
・「ナイトジャスミンが誘う真実」 胡蝶いちは
・「空蝉イロドる純白の黒百合」 徳嶺瑠花
・「高嶺の花は勇気と共に」 石花うめ
・「椿に蝙蝠」 平沢ヌル
・「朱に濡れた雪花」 雪菜冷
・「折り合い」 三毎海
・「爛壊」 鈴村智久

・総解説(鈴村智久)
・編集後記(三毎海)
・執筆者一覧


【執筆者一覧】


・鈴村智久

大阪府出身。「クラシック・アンソロジー叢書」(Classic Anthology Library /CAL)編集長。大手住宅設備メーカー社員。@SUZUMURA_Inc
・三毎海
青森県出身。CAL副編集長。著書『蒼の悲劇』収録作「優しい生き物」(デザインエッグ社、二〇二二年)。@I5l4l5I
・秋杏樹
青森県出身。筑波大学在学。日本近代文学研究。詩、短歌、小説で活動中。CALファーストメンバー。著書『蒼の悲劇』収録作「刹那の死神」(デザインエッグ社、二〇二二年)。@bunngaku_aaj
・佐藤玲花
東京都出身。幼少から文学、芸術に親しみ、学生時代よりアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、オーストリア等にて表現活動を行う。小説、詩、音楽が主。 @reika_eternal
・愛野ニナ
東京都出身。会社員。小説サイトで活動中。SoundCloudでオリジナル曲を、ツイキャスでライブ配信活動中。@nina_laurant
・星野栞里
東京都出身。小説サイトで活動中。@siorilovetoyou
・佐木呉羽
鳥取県出身。仕事と子育てのかたわら、小説を執筆。日本の伝統文化や伝統芸能に興味があり、華道・茶道・篠笛・荒神神楽や伝統的なお囃子などを習う。著書『神様とゆびきり』(二〇二〇年)、『おもひばや』(二〇二〇年)、『言ノ葉のツルギ』(二〇二三年)、以上、文芸社より刊行。@sakikureha
・押上麻麻
東京都出身。会社員。女子美術大学芸術学部絵画学科卒業。SNS等にて創作活動中。@mar888mar
・弓リツ
神奈川県出身。二〇二二年六月より、小説サイトやTwitterで精力的に創作活動中。「ココア共和国」電子版佳作集掲載。@yumi_arc_r
・ITO.N.Noel
カナダ出身。翻訳家、フリーライター。フローリストとして空間デザインやブライダル、葬儀等、花を用いた演出におけるデザイン、製作業務を担当。その後、本格的に文字、語学の道を極めたく退社。現在の活動に至る。@i_n_noel
・胡蝶いちは
東京都出身。小説サイトで執筆中。@kocho_ichiha
・徳嶺瑠花
北海道出身。フリーの声優で、モデル、女優としても活動中。自身のYouTube、作家業など幅広く活動中。CALファーストメンバー。著書『蒼の悲劇』収録作「今更」(デザインエッグ社、二〇二二年)。@ru_MAST_yellow8
・石花うめ
岐阜県出身。信州大学経法学部応用経済学科卒業。二〇二一年から小説の執筆を開始。Twitterにて140字小説を毎日投稿中。小説サイトにて短編小説を中心に活動中。@umimei_over
・平沢ヌル
埼玉県出身。東京大学工学系研究科博士課程修了。ウェブ上での作家活動は二〇二二年よりスタート。SFジャンルを中心に、純文学、幻想文学からキャラクター小説まで、様々な作風の作品を手掛ける。@hirasawa_null
・雪菜冷
兵庫県出身。主婦。Twitter及びInstagramにて140字小説を投稿中。TikTok及びInstagramにて140字小説の動画版を投稿中。CALファーストメンバー。著書『蒼の悲劇』収録作「星をさがして」(デザインエッグ社、二〇二二年)。@setsuna_rei_

【徳嶺瑠花様によるPV】

【愛野ニナ様によるPV】

【総解説──現代のサロメたちは何を語るか】(本書より一部抜粋)


オーブリー・ビアズリーによるイラストレーション、
オスカー・ワイルド『サロメ』英語版初版(1894)

 二〇二三年は、ヨーロッパ世紀末芸術のシンボルであるオスカー・ワイルドの『サロメ』(一八九三年)から百三十年後に当たる。本書は「ファム・ファタル」をテーマにしている点で、唯美的にして神秘的な傾向を特徴とする世紀末芸術の、時代を跨いだ文学的直系に位置付けることができるだろう。
 十九世紀から二十世紀初頭には、世紀末芸術というカテゴリーを超えて多くの流派、思潮が誕生した。世界的な再評価が目覚ましいスウェーデンの画家ヒルマ・アフ・クリントが女性だけの神秘主義的芸術サークル「五人」で熱心に活動していたのも一八九〇年代である。

ヒルマ・アフ・クリント(Hilma af Klint、1862年10月26日 - 1944年10月21日)
十代の頃の肖像写真

 二十世紀に入ると、ドイツでは作家トーマス・マンが『ブッデンブローグ家の人々』(一九〇一年)や『ベニスに死す』(一九一二年)を発表したが、マンは古典ギリシア時代に理想を求める点で映画監督ルキノ・ヴィスコンティが敬意を寄せていた数少ない文豪の一人であった。日本では泉鏡花が唯美主義的な幻想ロマン小説『高野聖』(一九〇〇年)を発表し、一九〇六年の『春昼』、『春昼後刻』においてその様式美を確立している。

鏑木清方 泉鏡花著『三枚続』木版口絵  
1902年(明治35年)

 このように、唯美性、神秘性、頽廃性を結合した芸術ジャンルは主に二十世紀前半までにおいて確立されていた。したがって、今日において同じテーマに取り組む場合、伝統を受け継ぎながらもそこにいかなるオリジナリティを与えるかが重要になる。
 『サロメ座の華』はこのような構想のもと、「クラシック・アンソロジー叢書」(Classic Anthology Library/CAL)の第二回企画「Femme Fatale」に御参加して下さった十五名の作家陣によるアンソロジー小説として刊行された。本書の全作品には各メンバーが選択した花言葉が登場し、物語上重要な役割を果たすという共通点がある。

[…略…]

 本書の最初のページに「サロメ座の華」と題した瞬間、編者は名状しがたい感慨を抱いた。それは、ここに集ったメンバーはみな「サロメ座」(Salome Troupe)という文芸集団の一員であり、本書はその一座の記念すべき活動実績になったという感慨である。ヨーロッパの世紀末芸術とは一線を画する、この令和時代の新しい文芸思潮としての「新サロメ主義」(Neo-Salomeism)がどれほどのポテンシャルを秘めているかは、本書の各作品に登場するファム・ファタルたちを最後まで見届けて下されば自ずと理解できるだろう。本叢書第一回配本の『蒼の悲劇』は、まさにサロメ派を生み出すために必要なイニシエーションであったといっても過言ではない。本書の名付け親になっていただいた秋杏樹様には、謹んで御礼を申し上げたい。
 他のメンバーの方々にも、個別に御礼を伝えたいことが沢山ある。紙数の関係でこれ以上は割愛させていただかねばならないのが心苦しいが、本書の編集に最大限の労力を惜しまない姿勢によって返していければと考えている。
 本書が少しでも多くの読者様の目に留まり、文学の愉しさと、文学によってコミュニティが広がる悦びを感じて下さったのならば、編者としての役目も果たせたのではないかと感じている。
 
 
二〇二三年三月一日 鈴村智久

(出典:本書、一九四−二〇二頁より部分引用)


【快挙!『サロメ座の華』とその反響の大きさ】


 4月10日に発売した『サロメ座の華』は、発売前から多くの予約者に恵まれ、発売後はほぼ毎日のようにTwitter上で御購入して下さった読者様からのありがたい御声が届くという幸運な出発となりました。
 発売から二週間ほど経過した現在も、読み終えた読者様からのエールが寄せられ、Amazon上のレビュー欄も瞬く間に星五つの高評価の御感想に恵まれました。
 この記事では、『サロメ座の華』に小説を御寄稿して下さった作家陣の中から、本と一緒に御写真を撮って下さったメンバー様を御紹介させていただきます。

愛野ニナ様
寄稿作品「十三階の月花」
©Nina Aino 2023
徳嶺瑠花様
寄稿作品「空蝉イロドる純白の黒百合」
©Rūka Tokumine 2023
佐木呉羽様
寄稿作品「虚実の情」
©Kureha Saki 2023

 ここでピックアップさせていただいた三名様を含め、私たちの文芸叢書CALにはすでにSNS上で非常に高い人気を集めている作家陣が勢揃いしております。
 また、他の多くの読者様の御購入ツイートや感想ツイートなどは、Togetterで記事としてまとめられておりますので、ぜひそちらを御確認してみて下さい。発売前後の盛り上がりや熱気が伝わってくると思います。

 一人でも多くの読者様の書棚に、『サロメ座の華』が迎え入れられることを願っております。
 これからも私たちの文芸叢書CALはさらなる進化と発展を続けてまいりますので、応援の方をどうぞよろしくお願いいたします!

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