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今、辛い協力隊員さんへ~ちょっとためしてみてほしい10のこと〜

私がこうして活動している間、
同期・同国隊員さんに限らず、
他の国や他の隊次の方からも「今しんどいんです」
と相談していただくことが何回もあった。

人間たるもの、どこで何をしていようが
ずっと楽しいことばかりではもちろんない。
悩みも、失敗も、たくさんある。
しかし、協力隊での活動・生活というものはとりわけトリッキーでハードなものだと思う。
私自身、任期中、辛いこと、思い悩むこと、
暗い気持ちでいっぱいになりなかなか前向きでポジティブな気持ちになれないこと。
何回かあった。
いや、何回もあった。

任地に篭り内に内にと篭っていくと、
嫌でも配属先や配属国の嫌なところが目につくようになってくる。
私の場合は、

・タイムマネジメント
・時間、約束を守ってくれないこと(やるやる詐欺)
・報連相してくれない
・日本とは違う鬱陶しいコミュニケーション
・活動がなかなか捗らない

などが特にストレスになった。また、

・娯楽がなく変わり映えのない日々
・活動時とプライベートのオンオフがつきづらい
・他の隊員の活動と自分を比べてしまう、焦り、自責思考
・本音(悩み)を話せる人がいない
・心から会いたい人に会えない(家族、友達、恋人etc)

などもあり、かなりぐるぐると考え込んでしまった日もあった。

いくら日本では健康であった人でも
途上国、そして海外協力隊という特殊な状況下では
誰がいつ病んでもおかしくない。
日本ではない国で、
プライベートから、JICAから、配属先から。
常に大小様々なストレスが降りかかってくる。
近くに頼れる人もおらず
精神科のような病院もないし、
日本にすぐ帰るということもなかなか難しい。
こんな難しい状況下で
精神的に参ってしまうことは---あまりにも容易い。
しかし実際そうなってしまうと本当に本当に苦しい。

かくいう私も何回も何回も精神的にきつい場面が訪れたことがあり、
泣きながら訳のわからない遺書を書き始めたこともあったし(今考えると怖すぎ)
任期短縮を考えたことも何回もあった。

ただ、なんだかんだ色々な人からの支えがあり、
自分なりにストレス解決法や自身のマネジメント法を探し出し、折れては歩き出せてきた。
そして結果的に、幸運なことに、
なんとか2年間の任期を全うできそうなところまでやってこれた。

ただ、全員が全員任期を全うすることが
幸せで成功だとは思わないし、
全ての人、配属国、配属先の状況が異なるので
一概にこう、なんて言えない。
言いたくない。

けれどどうか。
自分の心と体を、大切にして欲しい。
自分からのSOSを無視して本当に壊れてしまわないでほしい。

以下、私がしんどかった時に取った方法について羅列する。
今辛い状況下にいる隊員さんに少しでも寄り添えたら幸いである。


1. 活動を放り出して休む。

私はドが着くほどの真面目ちゃんなので、
あまり活動を休みたくはなかった。
毎日毎日、配属先の人間すら活動しない日でも活動したりしていた。
休むことが配属先に申し訳ないのもそうだが、
何より自分自身に負けるような気がして
休むことに対してものすごく抵抗があった。
でも、それで苦しくなってしまったら元も子もない。
そうなるのなら休んだ方がいいに決まっている。
最初は休むことに対してものすごく抵抗があるかもしれないが、そこに抵抗がある人はもう、その時点でおそらく頑張りすぎている。
あなたは十分活動しています。なので、
騙されたと思って一回休んでみてください。
そうして休んで、例えば首都に出かけて美味しいものをお腹いっぱい食べたり、日本人に会いに行ったり、思い切り自分を甘やかしてあげてください。
思い切り泣きじゃくっても良い。暴れても良い。
休むことで思考がリセットされてクリアになり、
休んでいることが退屈になってきたりして、
エネルギーが溜まり、「また活動してみよう」
「次はこうしてみようかな?」など気力とアイディアが湧いてくる日がまた来ます。

そうなったらまた頑張ればいいじゃないですか。
それまでゆっくりエネルギーチャージしたら、いいじゃないですか。
車だってガソリンがなければ走ることは出来ないし
どんなプロのアスリートでも、「休憩」は「トレーニング」と同じくらい大切と言う。
24時間265日活動のことを考えなくても良いのです。

2. 自分をご機嫌にする(自己マネジメント)

上の休むことに続く。
娯楽はあまりない状況かもしれないが、
そんな中でもなんとか自分の気分を上げる工夫をしてみること。
私は休日にエクササイズをして汗をかいたり、
素敵なカフェ、レストランへ行って美味しいものを食べたり、
推しの配信やライブをチェックしたり
泣ける映画を見て号泣したり
大声でカラオケ(歌を歌う)してみたり
お化粧やおしゃれをして可愛い私を作り出してみたり
1日中家から出ずゴロゴロダラダラしてみたり。

何が良いかは人それぞれだと思いますが、
休みの日、あるいは活動終了後にしっかりメンテナンスをしてあげてください。
自分にご褒美をあげてご機嫌、笑顔にさせてあげてください。
自分が好きになれる自分に、自分を育ててあげてください。
自分をハッピーにしてあげてください。

3. 健康で文化的な生活を営む

健康的な生活
精神的に参ってくる時、私の場合はだいたい食生活が乱れている。
忙しすぎて3食きちんと食べていなかったり、
パンだけ、麺だけといった栄養が偏りがちだったり。
毎日変わり映えなく同じようなメニューになってしまったり。
精神が荒んでいる時こそ、
食をただの栄養摂取の場にするのではなく、
自分を労る場として、
栄養や彩り、量や質に少しこだわってみてほしい。
人間の3大欲求である食は
やはり幸福度に影響してくる。
面倒だと思うかもしれないが、
お金や手間をかけて1回意識して丁寧に食事するだけでもかなり心が潤う。
睡眠時間もできるだけちゃんと取れると良い。
これに関しては各々の睡眠スタイルもあると思うから一概には言えないが、自分に最適な睡眠を取れるように意識してみてほしい。
(就寝-起床時間、睡眠時間は何時間がベストか?)

文化的な生活では、
読書をするのが個人的におすすめ。
現実世界を離れて本の世界に入り、冒険している気分になるし、その間は次の4にも繋がるが、余計なことを考えずに済む。
読書をするという行為がストレス値を下げる科学的データもある。

あとは資格や興味があることについての勉強。
例えば語学、プログラミングや音楽(楽器)、料理など
便利な世の中、調べようと思えば意外となんでもコンテンツが見つかるもの。
自分が興味あるものに手を出すとき、少なからず心は前向きになるし少しワクワクしてきます。
自分の活動と全く関係なくても大丈夫。
長い目で見た時、いつかどこかで活きてくるかもしれないのだから。

4. 思考を停止する/紙に書き出す

普段ぐるぐると考えすぎてしまう人は、
意識的に「何も考えない」ようにする。
1日中ずっとは無理でも、例えば10分だけ、でも
大いに効果があります。
夜なんかは特にネガティブ思考になって
考えなくて良い余計なところまでぐるぐる考えてしまいがち。
ベッドに入ったら意識して考えないようにする。
考え出してしまったら、いけないいけない!と思ってまた考えないようにしてみる。
どうせ明日は来る。明日の朝、また考え始めれば良いじゃないですか。

活動とプライベートのオンオフをつけ
「何も考えない」ようにするのは大切です。
プライベートの時まで活動のことで悩まなくて良いし、活動時にプライベートのことで悩む必要もありません。
思考のオンオフ、切り替えができると少し楽になります。
デジタルデトックスをしてSNSを見ないようにするのも良いです。
他の隊員さんの活動を見て焦ったり、自分と比べてしまうことや日本の知り合いの投稿で一喜一憂することも防げます。
自分は自分、人は人。
活動場所も、内容も特技や性格も人によって全然違うのだから、他の人と自分を比べる必要なんてありません。
隣の芝は青く見えるもの。自分は自分のペースで、自分ができる目の前のことをやれば良いのです。そのことに一所懸命に取り組み楽しめば良いのです。
あなたがどんなにすごいと思ってる人でも何もせず寝てばかりの日があるだろうし、あなたがどんなに自分がダメだと思っていても、それをすごいと慕ってくれる人がいるものです。そんなものです。

どうしても考えるのをやめられない方には、ノートに書き出すのがオススメ。
テーマごとに樹形図的に悩み、嫌なこと、辛いことなどを書き出していき、それに対してどうしたら良いか、案なども書き足す。
と、自分は究極的に何が嫌なのか、どうしたいのか?何ができるのか?クリアになってくる。
頭の中がぐちゃぐちゃだからぐるぐる考えてしまう。頭の中が整えばスッキリできます。
でも個人的には自分の心と向き合って向き合って対話しすぎるとかなりエネルギーを消耗し、心が野ざらしになって苦しくなってくるので、私は「考えない」の方が向いていたのですが。

5. 今日良かったこと、自分の良いところを書き出す

日々活動していると意外と見落としがち小さな良かったことが、
実はちゃんと毎日あるはずなのです。
今日食べた朝ご飯が美味しかった。
太陽が出てていい天気だった。
綺麗なお花や鳥を見つけた。
相手の言っていることが理解できた。
想定していた1/10だけど、1/10は進めた。
ちゃんと朝起きたし、ご飯食べた。
洗濯した。部屋の掃除した。
今日を無事に1日生きた。
1日10個、5個…いや、1個でも良いので良かったこと、今日自分が頑張ったこと、
探して認めて偉いと思ってあげてください。
悪いことばっかりの日なんてきっとありません。
頑張って無理して希望を持つ必要はありませんが
毎日に絶望しないでください。

6. 人に頼る

これは本当に誰でもいい。
家族(両親、兄弟、旦那さん、奥さん)でもいいし、
恋人でも良いし、友達でも良いし、
VCさんでも同期隊員でも同国隊員でも
現地の人でもいい。
誰でも良いから、自分の問題ごとを一人で抱え込みすぎないこと。
いつも途上国でほぼ誰にも頼らずに生活しているのだから、辛い時くらい誰かに頼ったっていい。
「ちょっと話せないかな?」と尋ねて良いのです。

言いたくなかったら必ずしも悩みを言わなくても良い。
ただの雑談や世間話、どーでもいいことでも良い。
どーでもいいことでわっはっはと笑えばいい。
配属先では例え日本人一人だとしても
決して"独り、孤独"にならないこと。
人と話して、笑って、泣いて、日本語を使って、
自分の心を解放すること。
そうして自分が独りじゃないこと、
支えてくれる人、
帰る場所があることに気づけると
少し張っていた肩の荷が降りて力が抜ける。
私こんなに愛されているのか、と安心できます。
みなさんが思っているよりも、意外と、
助けてくれる人はたくさんいます。

7. 自分を知り、思考転換する

例えば何かイライラしてしまうようなことが生じた場合に、
「あ、自分ってこういうことでイライラする人間なんだな」
「こういうのが嫌だと思うんだな」
また新しい自分を知れたな」と考えてみる。
日本では起こらないことがたくさん起きるからこそ、より自分を知り理解できるきっかけになります。
そうして自分を知ることは、
例えば帰国後の進路やこれからの生き方においてものすごく活きてくると思います。
「だったら私はこういう自分でいたいな」
「自分だったらこういうことしたいな」
は、将来への期待と投資にし
より良い未来を考える糧にすると
少し心が救われるのではないかと思います。

8. 無理矢理笑う、無理矢理感謝してみる

7に続いて。自分が闇期の時、鏡を見てゾッとしたことがある。本当に死にそうな、覇気のない顔をしているのである。
どうかそんな時は、本当に無理矢理でいいので口角を上げてみてほしい。
笑えることが何もなくても、心が泣いていても、
顔だけ動かしてみてほしい。
口角が上がると、ほんの少しだけ顔の筋肉が緩む。
強ばり力んでいた体の力が抜け、
心がほんの少し和らぎ、
今まで貯めていた涙が流れたり、
ふふっと笑えたりする。
そして、自分が徳を積んでると思って
「あーーーおかげさまで。」
と言ってみてください。
これは私の母の押し売りなのですが、
人に感謝すると感謝や良い循環は返ってくるものなのだそうです。
やはり、自分の口からネガティブな言葉ばかり出していると、だんだん表情などもブサイクになってくるのです。
そんな自分、好きになれるはずもなく負の連鎖です。
ポジティブな言葉を吐いていた方がもちろん人も幸も集まってくるし自分もキラキラ輝いて素敵になっていきます。
ちょっとスピリチュアルっぽくなってしまいましたが、
嘘でも無理矢理でも良いので感謝の言葉やポジティブな言葉を述べてみてください。
色々色々、訳のわからないこと、呆れること、
理不尽なこと。たくさんたくさん起こると思います。
が、
「あーーーいろいろなことがあって、今日も成長したなぁ!」
「また一歩いい男/女になっちまったなぁ!」
「ありがたいなぁ。みんなのおかげでもっと素敵な自分になれるなぁ!」
と言葉にしてみてください。
騙されたと思って。今言ってみて。

9. 配属先、国、人を受け入れ楽しむ

上記続けて少し元気と余裕が出てきたら、なのですが
やはり協力隊として過ごさないと感じられないこと、経験できないことがたくさんあると思います。
それを受け止めてみてください。
活動の実績や効率なども大切ですが
何よりその国や人々を
「しょーがないな」
「これがこの国(人)だよな」
「こんなこと日本じゃあり得ないな」
と、一歩引いたところから客観的に見るようなイメージで楽しんでみてください。
尊敬する先輩隊員さんの御言葉ですが、
「違う」ことは必ずしも
「間違ってること、悪いこと」ではない。

その国はそういう国、
その人はそういう人。
割り切って、いい意味で受け取り手に回り、
諦めてしまえると、楽になります。
「自分が与える側」という概念を捨てて、
非効率でも、生産性がなくても、
一緒に今日という日々を楽しむ、生きるを意識すると
なんであんなに自分躍起になってんたんだっけ?
何にそんな、こだわってたんだっけ?
なんて、今までの自分を顧みれたりします。
少し傲慢になっていたり、急いで走りすぎていた自分にも気づけます。
心が落ち着くことでまた新たな方向性も見えるかもしれません。
こっちの態度(イライラしてる、配属先や人が嫌い、など)は意外と相手にも伝わるものです。
人は自分の鏡という言葉もあります。
こちらが折れてあげたり柔和になると相手も柔和になってくれること、も、あります。

10. 任期短縮する

それでも、どうしても。
どうしてもどうしても、やっぱり無理だ、と思ってしまったら。
どうしても好きになれない人、配属先
どうしても適応できない環境があるのであれば
どうしても心が苦しく逃れられないのであれば。
私は全然任期短縮して良いと思います。
自分の精神や健康が本当に壊れてしまうよりかは、
ぜひ任期短縮を選んでいただきたいと思います。
一度壊れた精神も体も、もう戻っては来ない。
将来的にも共に生きていかなければならなくなってしまう。
(精神壊したことのある人間が言うんだから本当だぞ)。

任期短縮をすることに抵抗や悔しさもあるかもしれませんが、
どうかどうか自分を大切に、第一に優先してほしい。
健康な体と精神があればいつだってまた戻って来れる。
いつだってまた挑戦できる。
その時への投資だと思って、身を引く決断をしてほしい。
配属先の人のため、夢のため、プライド…
色々あっても、それは
自分を壊していい理由にはならないのですよ。

最後に。(ここだけでも読んで!)

自分自身辛いことが何回もあったし、
他の隊員さんが苦しんでいる様子も間近で見聞きしてきた。
そういう悩みや障害を克服し超えていくのが協力隊の醍醐味ではあるが、
やはり私はあまり多くの人に苦しんで欲しくはない。

これを読んでいる方は、きっと少なからず今しんどかったり、あるいは前にしんどい状況があった方なのではないかと思う。
そんなしんどい状況の中で、こんな文量を読むのはさぞ大変だったと思います。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
上に述べた10個全てが全ての人に効果的なわけではないとは思いますが、
どうか少しでも私の経験が誰かに寄り添えたら、役に立てたら幸いです。

最後にもう一度。
あなたはとてもとても頑張っています。
頑張ってきました。
うまくいかないことも嫌なことも理不尽も
たくさんあるかと思います。
私が分かりきれないことでいっぱい悩んで苦しんで泣いてきたかもしれません。
それでもこうして生きて、今日このページを覗きにきてくださった。
今日も生きてくださってありがとうございます。
あなたはかけがえのない人です。
今日を生きる、それだけで尊いことなんです。
どうかこれを読んだあなたが、読む前より、ほんの少しでも、
気力を取り戻して元気になっていますように。







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