Project siranui episode 2
品質スコアと広告クリエーティブの改善
日本でクリック課金型の検索広告が開始されたのは、2002年ですが、当時の検索広告の広告フォーマットは見出しが1個、説明文が2個の構成でした。そのため広告クリエーティブ観点でのパフォーマンス改善業務とは、品質スコアを確認し、ターゲットキーワードに含まれる文字列を極力見出しに含めることで検索ユーザーからの視認性を高めるという非常にシンプルなものでした。
その後、2016年に開始された拡張テキスト広告は、見出しが2個、説明文については4個の中から最大2個表示される広告フォーマットでした。その発表と同時に、目立ち度という概念(広告ランクが高ければ高いほど掲載順位も高く広告表示オプションの表示数が多くなる)が組み込まれ、広告クリエーティブの最適化配信はクリック最適化に統一、広告クリエーティブの検証機能として広告バリエーションが発表されました。それらの発表の背景には、Googleユーザーの日常的な検索行動の定着や検索クエリの増加、そして広告主の増加もあり、ユーザーの検索体験をさらに向上させるために広告フォーマットの進化が必要だったのだと考えています。
のちに拡張テキスト広告は見出しの表示本数が最大3本まで増加し、現状の検索広告フォーマットであるレスポンシブ検索広告も見出しの最大表示本数は3本(15本中)、説明文は2本(4本中)となっています。結果として広告クリエーティブの総文字数は大きく増加することとなり、過去のように検索ユーザーが検索している文字列を見出しに単純に含めるだけでは、視認性や含有率の点でさほど改善が望めない状況になってしまったと思われます。そのためレスポンシブ検索広告フォーマットが発表されたタイミングで、品質スコアは3つの構成要素に細分化されることとなります。それが推定クリック率、広告の関連性、ランディングページの利便性です。
品質スコアでさえ、広告ランクとの違いやオークションにおける広告ランクの算出プロセスでの誤解があるのに、さらに細分化されてしまったわけです。3つの構成要素とそれらの評価が示唆する広告クリエーティブの改善ポイントとは何なのかを紐解いていきましょう。
品質スコアの構成要素
品質スコアのGoogle広告ヘルプ上の定義は、下記の通りです。
ヘルプ中段に記載のある、推定クリック率、広告の関連性、ランディングページの利便性が、広告ランクにおける広告の品質の構成要素であり、それらをターゲットキーワードごとに細分化した品質スコアにおける構成要素となっています。
当社ではダイレクトクライアントの運用に加え、代理店側からのアカウント分析依頼がありますが、広告クリエーティブに関する分析の結果、推定クリック率および広告の関連性における広告クリエーティブの改善に関する示唆は下記の通りです。
推定クリック率・・・検索ユーザーにとって軸となる重要な文字列を目立たせる、左寄せにすることで改善が見込まれる。
広告の関連性・・・検索ユーザーが入力している文字列を含めることで改善が見込まれる。
現状では広告グループを細分化することなく、広告カスタマイザを利用することでターゲットキーワードに対して異なる見出しを出すことができますが、稀にキーワードインサーションを用いているアカウントでは、文字列の含有率を評価している、すなわち広告の関連性に関しての評価は高いものの、推定クリック率については総じて評価が低いという状態が見られます。それはターゲットキーワードの文字列は含有されているが、軸となる重要な文字列の視認性が低いということを示唆しています。
ということは、過去の検索広告の改善手法である、ターゲットキーワードの品質スコアに応じて、その文字列を見出しに単純に追加するだけではなく、視認性を改善するために重要な文字列を左寄せにしたり、目立たせる必要があるということです。
文字列解析による課題の把握と改善の実行スピード
これまでは広告フォーマットの変遷と一見関係ないように思えていた広告クリエーティブ関連の概念や機能の変化、それにともなう改善業務の変更の必要性について述べてきました。
自動化機能の拡充にともないインテントマッチでコンバージョンシグナルに応じて広告露出の検索クエリはほぼ自動でコントロールされることとなり、過去ほど検索クエリをターゲットキーワードとして追加する機会は少なくなったかもしれませんが、それは自動入札によってターゲットキーワードに対して入札単価を指定する必要がなくなっただけで、広告クリエーティブを変更していくための材料である品質スコアに関しては可能な限り多くの文字列に関する評価があったほうがよいわけです。(もちろんむやみやたらにではなく、ターゲットするべき文字列であればの話です。)大量なターゲットキーワードと品質スコア、さらに細分化された構成要素を加味して広告クリエーティブを変更していくのは、想像しただけでもかなりの時間を要します。
当社で9月下旬にリリースした運用支援システム、siranui(シラヌイ)の文字列解析機能は、品質スコアと推定クリック率および広告の関連性を独自のロジックで分析し、広告クリエーティブにおける課題を文字列レベルで特定、文字列の出現頻度とインプレッションボリュームで優先度を視覚化、特定の文字列を含むターゲットキーワードを抽出し、カスタマイザ属性を追加もしくは編集することが可能です。課題の把握に掛かる時間を削減し、課題に対する的確な打ち手をスピーディに実行することが積み重なって大きな改善に繋がると考えています。加えて、広告クリエーティブの変更履歴から前後1ヶ月の改善効果を視覚化するので振り返りも容易です。
提供機能一覧(開発中の機能を含む)とご利用料金
siranuiは、まだまだ自動化が困難な広告クリエーティブの作成・改善の機能を主たる機能として開発を進めてきましたが、先に述べた通り、広告パフォーマンスの改善における3つのレバーに関して、広告管理画面上ではいくつもプロセスが必要な業務、分析〜課題点抽出〜改善、の流れをいかにスピーディに実施できるかに主眼を置いて開発を進めていきます。
クリエーティブ|Creatives
作成・編集
-新規クリエーティブ作成
-既存クリエーティブ編集
分析・改善
-品質スコア分析
-文字列解析
-広告の改善効果
‐広告診断/訴求要素検証(開発中)
バジェット&ビッディング|Budget & Bidding
管理・予測
-予算管理
-着地見込み予測
-入札戦略診断(開発中)
分析・最適化(開発中)
-パフォーマンス分析・改善サジェスト(開発中)
-曜日別、週別、月別費用対効果分析・コストアロケーション機能(開発 中)
ターゲティング|Targeting(開発中)
作成・編集
分析・予測
-定量分析(日別、週別、月別キーワード、クエリ数×表示回数、クリック、CV)
-文字列解析(キーワード、クエリ × 表示回数、クリック、CV)
-オーディエンス分析(新規・既存)オーディエンス別効果予測
※開発中の機能は予告なく変更される可能性があります。
月額:¥100,000、6ヵ月契約(自動更新)→広告アカウントコストの3%、6ヶ月契約(利用開始月は含まず)
※2024年11月、料金体系を改定
※利用開始月は無償で利用可能
※導入アカウントの合計コストに対するボリュームディスカウントあり
設計者略歴
米満 智之
2002年よりデジタルマーケティング事業に従事し、大手2社での運用型広告事業の経験を基に2013年グーグル合同会社に入社、アカウント再構築施策である"Project hagakure"や"GORIN Project"を企画推進。2018年3月、株式会社unknown設立。
当社設立後もグーグル広告のシステムおよびプロダクトの仕様に基づいたアカウント分析及び改善施策の立案や大型アカウントの運用業務をサービスとして提供し、自動化を前提とした効率的な運用業務を遂行するために今回リリースするsiranuiの前身となる社内システムを2018年より構築。運用型広告のパフォーマンスの最大化および最適化と業務効率の改善を市場全体に浸透させることが当社の使命と考えております。
お問い合わせ
電話:03-5562-8823
ウェブサイト:https://un-known.co.jp/
info@un-known.co.jp
詳細ページ:https://un-known.co.jp/solution/siranui/
リリースURL:https://newsrelea.se/wJLrZ8