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本気を出してなさすぎる、奇跡の島

もう5ヶ月も前になるが、3月末、僕は一人で長崎の国境離島・壱岐島へ行ってきた。

壱岐島観光ナビ → 壱岐島 

壱岐島(いきのしま)は、九州北方の玄界灘にある南北17km・東西14kmの島である。九州と対馬の中間に位置する。『古事記』によれば、別名を天比登都柱(あめひとつばしら)という。
周囲には23の属島(有人島4・無人島19)が存在し、まとめて壱岐諸島と呼ぶ。ただし、俗にこの属島をも含めて壱岐島と呼び、壱岐島を壱岐本島と呼ぶこともある。官公庁の定義では「壱岐島」と呼ぶ場合、周囲の属島は含めない。
現在は長崎県壱岐市の1市体制で、長崎県では島内に壱岐振興局(旧・壱岐支庁、壱岐地方局)を置いている。また、全域が壱岐対馬国定公園に指定されている。(wikipediaより抜粋)

横浜でサッカーコーチをされていた松井さんという方が、昨年から仕事で壱岐島に赴任されて。松井さんがSNSにあげる壱岐島の美しい景色や島の様子を見ているうちに、なんて綺麗なところなんだ、一回行ってみたいなぁと思うようになったのがきっかけだった。

博多から気軽に行ける、奇跡の国境離島

壱岐島は博多からフェリーで行けるのだけれど、フェリーをさらに乗り進めれば対馬にも行ける。そしてその対馬から、韓国の釜山は目と鼻の先。
島国の日本で暮らしていると、普段「国境」という概念をなかなかリアルに想像できない。自分にとって未知の「国境」という響きが、壱岐島への思いをなおさら僕に強くさせた。

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実際に壱岐島は「国境離島」という位置付けをされているらしく「国境に住むというストレス」を慮り、国から様々な支援もあるらしい。
(間違ってたらごめんなさい)
本土への交通の便も潤沢ではないから、そういう面の支援もあるとのこと。

国境離島・壱岐島。「いきしま」とも「いきのしま」とも言うらしい。
初めて訪れたこの島は、美しすぎて幻想的で雄大な自然がありのままに残されていて、しかし日本中でまだあまり知られていない、まさに奇跡の島だった。

麦焼酎発祥の地 であり、春一番発祥の地、でもあるらしい。
麦焼酎発祥の地ということで(これ、あんまり本土で知られてないよね)島内には地酒の蔵がいくつかあって、焼酎の飲み比べもできる。実際にそれお目当のツアー客も来ていた。

春一番発祥の地、という概念がかなり謎なのだけれど、詳しいことはググって下さい。

辰の島と、壱岐エメラルド

そして壱岐島といえば、なんといっても、2日目に行った 辰の島のことを抜きには語れない。壱岐本島の上、対馬海峡に出る寸前に位置する、小さな離島。

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間違いなく神様が棲んでるだろうって思えるほど神秘的で、圧倒的に鮮やかなエメラルドグリーンの上にあるこの辰の島。
遊覧船で島の岸壁まで迫って見ただけだったけれど、その奇跡的な美しさをこの文章でそのまま伝えられるほどの文才力が、僕にはまだない。

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対馬海峡に出た時の身震いは、今でも忘れない。

もう、ただただ感動した。次に行く時は、必ず上陸しようと決意した。

本島に戻り、車で島をひた走る。途中何回も立ち寄る綺麗な海辺は、どれもどれも、今まで見たことのない美しさだった。

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筒城浜、清石浜、錦浜、大浜…あといくつかあったけれど、いくつも回るうちに美しい浜がもはや珍しくなくなってきて、名前はほぼ覚えていない…w
壱岐島の美しいエメラルドグリーンの海を称して、壱岐エメラルドとも言うらしいです。

おじさん2人、若い女子にクイズを出され真剣に悩む。そしてハズレる

写真はないのだが、感銘を受けたのが 壱岐イルカパーク を訪れた時。
イルカパークはリニューアル期間中で休館だったのだけれど、そこで働いている方と松井さんが友達だということで、特別に案内して下さって。
アテンドしてくれたのは女性お二人だったのだけれど、休館中だからてっきり軽く案内してくれる程度かと勝手に思っていたのに、それはもう親切にそして丁寧に、イルカのことをたくさん教えてくれて。
「はい、それではクイズです!」と、まさかのガチクイズを出されたw

若い女の子にイルカクイズを出され、本気で悩むおじさん2人。はたから見て、この光景はなかなかシュールだったと思う。
答えが外れ「ぶぶーっ!残念!」って言われた(泣)

本当にイルカが好きなんだな、ここで働くのを幸せに感じてるんだなというのがヒシヒシ伝わってきたし、少しでもイルカのことを知ってほしい、もっといろんな人に興味を持ってもらいたいという彼女たちの純な想いを感じられた。

このイルカパークで過ごした時間が、僕は今でも一番印象に残ってるんですよね。

美しい海、壮大な景色、美味しいご飯…よりも、結局「そこで暮らし、働く人」に感銘を受けた。自分でも、これは嬉しかった。

壱岐イルカパーク、今はリニューアル工事も終わり、営業も再開しているとのことです。壱岐島に行くことがあれば、ぜひ立ち寄ってみて下さい。
たぶんクイズ出されます。難しいぞ。

自己責任の島

島のいたるところ、まだ人の力が加わっていない場所がたくさんある。
断崖絶壁のような場所でも、柵もないし「危ないよー」的な看板もない。
「行くなら行け、落ちても自己責任だけんね」という潔さが、僕はなんとも心地よかった。

名所のような場所でも売店はない。駐車場があるだけ。必要以上に人の手を加えないこの感じ、新鮮で好きだったな。

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島の歴史

なぜかここだけ本気出してる感ハンパないクオリティーの「一支国博物館」で、この島の歴史も学ぶことができた。
「対馬国」と「日本・九州」の間に位置する「一支国」として、この島の歴史は始まったらしい。海洋貿易の中間地点?として、重要な位置づけだったとか。島のいたるところに、その名残が見て取れた。

昔、僕らが教科書で習った「元寇」
なんとなく「神風が吹いて助かった」的にしか習わなかった記憶しかないし実際にそんな認識だったのだけれど、歴史の史実として、この壱岐島では大半の住民が虐殺されたらしい。

恥ずかしながら、今回壱岐島を訪れるまでそんなことはまるで知らなかった。自らの知識不足が恥ずかしい。これ、日本人の大多数は当たり前の知識として知ってるのだろうか。そんなに教えられていない気がするんだけど、どうなんだろか。

元寇で侵略された跡や砲台の後も、島にはしっかりと残っていた。

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他には…
日本のモンサンミッシェル、干潮の時だけ道が現れる小島神社も、雰囲気があって良かったなぁ。行きは渡れたのに、帰りは水が侵食してて焦った。

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港町にある濃厚な温泉(350円!)では、浴室の中に着替え処がある奔放さに軽くカルチャーショックを受けながらも、温泉をしっぽりと堪能できた。鉄分たっぷり。

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フェリーでの別れ

最終日。フェリーで佐賀の唐津港へ。
「3月31日」という特別な日だけあって、同じフェリーにはこの日を最後に島を離れる学校の先生も乗っていたらしく、その先生を見送るために子ども達が校歌を歌いながら送り出すという、ドラマのような光景に立ち会うことができてもう大感動。紙テープを持って船で別れていくこんなシーンを、間近で見られる日が来るとは思っていなかった。

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ほぼもらい泣きし幸せな気分になりながら、31日の朝早く、僕は壱岐島を離れたのでした。

期間中ずっと家に泊めてくれて、島の隅から隅までアテンドして下さり、釣りまで教えてくれた松井さん、本当にありがとうございました!(アジ美味しかった)
おかげで僕は、今ではすっかり釣りマニアになってしまいました。

本気を出してなさすぎる島。でも…

壱岐島、正直なところまだ観光地としてあまり知られていないらしい。実際に僕も松井さんが行くまでは「名前は聞いたことあるけど」くらいの認識でしかなかった。対馬には韓国からの観光客がすごく多いらしいのだけれど、聞いたところ、壱岐島はまだ韓国や中国の観光客からは「見つかってない」らしい。同じ日本ですら、あまり知られてないしね。

その辺のアピールとかも、まだあまり本気を出していなんだろう。麦焼酎発祥の地なんて格好のアピール材料だし、なんといっても、美しすぎる壱岐エメラルドは絶好の観光資財。でも、たぶん本気出して誘致してない。

だから、もっと知られるべき島だと思うんです。島の自然、海、景色、歴史はもちろんのこと、美味しいご飯だってたくさんある。何なら辰の島だけでも、おそらく今の何十倍も人を呼べる魅力とパワーがきっとある。

でも、そうして人を呼ぶことにまだ本気を出していないのも、何となくわかる気もするんです。だって今回初めて行った僕のようなにわかな人間ですら「ここ、あまり知られたくないな」って思っちゃったもん。

人が来れば島は潤うだろうし雇用も増えるかもしれない。でも、それによって壱岐島の美しい自然が荒らされ海が汚され、少しずつ島の魅力が失われてくのだとしたら、それは絶対あってはならないことだし。

勝手な想像だけど、島の行政としても住民の方も、きっとその辺の葛藤を抱えながら生活しているんだろうなとは思う。

壱岐島はもっと本気を出していい島だし間違いなくもっと知られるべき島だけれど、あまり知られたくない島、でもある。

こんなに美しくて魅力があり、まだあまり知られていなくて、人の手もそれほど入っていない。しかも簡単に行けちゃう。奇跡の島、と言っていいと思う。

そして僕はそんな壱岐島の魅力に完全に撃ち抜かれ、ほぼもう一度行く口実だけのために、10月に行われる「壱岐ウルトラマラソン」に申し込んじゃったよ!50kmの部…
果たして生きて帰れるだろうか。

10月またお邪魔します。壱岐島の皆さん、宜しくお願いします!
(ついでにそこで就職活動しようかな)

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「お世話になったお礼に、壱岐島の魅力をコラムにして書きますね、!」と松井さんに約束したのに、忙しさにかまけ、いつの間にかもう8月。約束を果たすのに、5ヶ月もタイムオーバーしてしまった。ごめんなさい。

その間に、、
松井さんは会社から「戻っておいで」とまさかの突然辞令が降り、松井さんは泣く泣く壱岐島を離れ、横浜に帰ってきてしまった…OMG!というオチなのでした。壱岐島の美しさに心を奪われ「移住したい」とまで言っていたのに…

松井さんドンマイ!

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壱岐島を離れた後、僕は九州への旅の最後の目的地、アミーゴの有坂さんが待つ糸島へと向かったのでした。
次回はその糸島での出来事について、書こうと思います。

(続く)

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