
40歳からの勇気~なりたい自分になるためのアドラー心理学~ 【第12章:なりたい自分になるための訓練③ 「行動計画」】
目標はあいまいに、行動計画は具体的に
あなたには今、「なりたい自分になる」ために直面している目標はあるだろうか?
例えば、何かの資格を取っておきたいとか、外国語をマスターしたいとか、あるいは事業を起こすための資金を貯めたいとか、昔着てた服が着れるくらいまで痩せたいとか。
もしあなたにそのような具体的目標があるならば、私からのアドバイスはこうだ。それは、
「目標はあいまいに、幅を持たせておけ」というものである。
これには根拠がある。
2011年にアメリカのユタ大学が行った「体重減少」に関する研究で、健康診断の結果をそのままの数値で伝えるよりも、その数値に上下3%の幅を持たせて伝えたほうが、ダイエットのモチベーションが上がって、より体重が減る効果があることが分かったのだ。
つまり「結果は20です」と具体的な数値を伝えるよりも、「結果は17〜23くらいですね」とあいまいに伝えたほうが、3週間後の体重減少効果が高かったのである。
この研究から分かることは、あいまいな情報によって提供されるあいまいな境界が、正確な情報以上に個人のパフォーマンスを向上させるということである。
この理由について研究者は、「あいまいな情報の順応性」により、人々はそれを希望する方法で解釈できるためだと述べている。
確かに、目標はぼやかしておいたほうが失敗した時のダメージが少ない。
例えば「ここまでに」という明確なラインを設けると、それを達成できなかった時に自分を攻めてしまいそうだが、「これくらいまでに」と思えればプレッシャーからも解放され、余裕をもって自分のペースで事を進めることができるだろう。
だからこそ目標はあいまいに、幅を持たせておいたほうがいいのだ。
自己啓発セミナーやその類いの本では「目標は明確に・より具体的に」というのが決まり文句のようになっているようだが、最新の知見ではそうではないということをあなたには知っておいてもらいたい。
前章でキャリアプランをきっちり作ることが逆効果だと言ったのも、「虚構の力」を使えなくなるだけではなく、実はこのようなエビデンスからも裏付けできるのである。
しかし誤解しないでもらいたいのは、目標はあいまいなほうがいいが、「行動目標」と「行動計画」については、それこそ「明確に・より具体的に」作成しなければならない。なぜなら行動は、あなたがコントロールできる唯一のものだからだ。
あなたは前章で、行動をメタ認知する「マイルール」の作り方を学び、活動性を上げるための「5秒ルール」というツールを知り(☞第10章)
そして新しい行動パターンを身に付ける(習慣化する)ための、「行動分析学の知見」とそれを応用する知識を得たはずだ。(☞第11章)
後は、それらの行動メソッドを「どのような計画」のもとに使っていくかが焦点になるだろう。
つまり「行動計画」が、あなたの「なりたい自分」という仮想的イメージを、社会で実現していくための設計図になるのである。
私がここでいう「行動計画」とは、一言で言ってしまえば「今の行動に集中するための環境作りと、計画の立て方」だ。
「行動計画」を作る際に最も大事なことは、「自分の集中力を最大限発揮できる状況と状態を作り出す」ことだと私は思っている。
ここでは「時間確保」が最大障壁だった私が、書店やネットに溢れている「アクションプランの立て方」から「時間管理術」といった、様々な科学的知見を試行錯誤してみた結果、私自身「効果がある」と実感したものを5つにしぼって紹介する。
これが、あなたにもそのまま当てはまるとは思わないが、参考にはしてもらえるのでなかろうか。
① 行動目標は一つにしぼる
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