地域の伝統文化を「食」に取り入れる《ADDressこだわりの逸品#1》
定額制の全国住み放題サービス「ADDress」は2020年8月21日現在、全国78拠点に展開しています。サービススタート当初の2019年4月は11拠点でスタートしたので、この1年で拠点数は7倍に増えました。
新型コロナウイルスの影響で企業のリモートワーク・テレワークが一気に普及したことを受けて、都心に住む「職住近接」型の住まいを見直す若者が増えています。その結果、地方での住まいを求めるADDress入会希望者も毎月右肩上がりで急増しています。
ADDressの拠点は全国の地域に展開していることから、「その地域ならではの魅力や文化に触れられる機会を生活の中に取り入れていく」という想いを、創業当時から抱いています。ADDressが推薦したいアメニティはたくさんあります。コロナ以後、家の中で過ごす機会が増えた今だからこそ、そうした逸品を改めてシリーズで紹介していきたいと思います。
第1回目は「食器」編です。
「M.M.Yoshihashi」の瀬戸焼
吉橋賢一さん率いる瀬戸焼ブランド「M.M.Yoshihashi」は、肌艶の美しい白地の食器。瀬戸焼は愛知県瀬戸市とその周辺で生産される陶磁器で、日本六古窯の一つです。
瀬戸焼は昔から分業制でしたが、昨今の安価な大量生産品に押され、さらに継承者不足も追い討ちをかけているのが現状です。
吉橋さんの家業は「型屋」といって、分業制においては焼き物の「型」を担当していました。しかし、「型」だけにとどまらず、新しいことに挑戦したいという吉橋さんは、これまでの伝統的な分業領域を超えて、陶磁器を作り上げるまでの工程に取り組み始められました。それが『M.M.Yoshihashi』の瀬戸焼です。
十草文様という彫を施されたどんぶり。十草という柄は、寺の庭に生える真っ直ぐ伸びた小さい竹のような植物、成長や繁栄を願う縁起物として江戸時代から愛されいる文様です。また、「金を磨くときに十草の葉で磨くと光沢が増す」とも言われ、金運に関わる縁起のいい絵柄としても人気です。
彫による色の濃淡、白磁が瀬戸の特長を表します。
もう一つは網模様の大小丸皿です。
網模様の器は昔から縁起が良いと言われています。染付模様としては、日本全国どこでもある定番の柄ですが、日本では「網で幸せがすくえる」、「網は必ず結び離れない」といったように、引き出物やお祝いの時のプレゼントとして愛用されています。
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瀬戸焼ブランド『M.M.Yoshihashi』の食器は、ADDress二子玉川邸(東京・世田谷区)、雑司ヶ谷邸(東京・豊島区)、清川邸(神奈川・清川村)など2019年にオープンした一部の拠点となりますが、今後は瀬戸焼の地元エリアの拠点オープン時には揃えていければと思っています。
「HASAMI」の波佐見焼
波佐見焼と書いて、「はさみやき」と読みます。長崎県東彼杵郡波佐見町付近が産地の陶磁器です。400年以上の歴史を持つ伝統工芸で、かつては高級品として一部の富裕層が愛用していましたが、生産数を増やすことで価格を抑えたことで日用遣いとして一般的に普及していきました。
波佐見焼には形やデザインの縛りがないこともあり、現代的なデザインも取り入れやすく、若者の間でも人気を博しています。
ADDressでは、有限会社マルヒロさん(長崎県有田町)のブランド「HASAMI」を仕入れています。
プレートは大小2サイズあります。通常サイズのプレートは、食べ物を切り分けやすい平らなお皿です。食器洗いの際に指がかかるように同心円の高台になっています。
カラーの種類もさまざまに取り揃えているので、その日の食材や気分に合わせて、選べます。
模様のないシンプルなお皿ですが、食べ物をより一層引き立ててくれます。
こちらはブロックボウルのミニサイズ。取り分け用の小鉢やサラダボウル、デザートカップにちょうど良いサイズです。
こちらもカラーバリエーションが豊富なので、プレートと併せて使う際の色の組み合わせを考えるのも楽しいです。
マグカップの8分目で約50㏄入るエスプレッソ用のデミタスカップもあります。ソースやちょっとしたおつまみ、一口デザートを入れる「豆鉢」としても使えます。
ADDress会員さんは、エッグスタンド代わりにゆで卵を置いたり、サラダドレッシング入れとして使ったりしているようです。可愛らしい小さなカップですが、用途はさまざまです。
ADDress食器として使っている「SEASON 01」シリーズ食器の窯元は、光春窯と太一窯です。「SEASON 01」のデザインコンセプトは、50~60年代アメリカのひなびたローサイドのカフェで使われていた大衆食器をイメージしたもの。機能的で洗いやすく、丈夫で実用的なデザイン。色を組み合わせて楽しめるカラーバリエーションが特長で、遊び心のある食器です。
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波佐見焼ブランド『HASAMI』の食器は、2019年にオープンしたADDress直営(宿泊施設連携以外)の多数の拠点で導入しています。
川尻製陶所「益子邸」の益子焼
東京から一番近い陶芸村であり、ADDress益子の家にある益子焼の食器を紹介します。
ADDress益子拠点は、オーナー兼家守(やもり=管理人で地域と会員を繋ぐコミュニティ・マネジャー)は、益子焼の陶芸作家である川尻さん家族。ADDressの家の隣に、現役の登り窯があり、年に数回の窯焚きをします。
だから、この家に揃えている全ての食器は、家守である川尻さんが作陶した益子焼なのです。陶芸に惹かれて益子を訪れた先代が1974年に窯を築いてから、現在は2代目の琢也さん(写真上)が主に制作しています。
琢也さんは、幼い頃から両親が作る登り窯で焼いた器を使って育ちました。沖縄・北窯で土作りから登り窯焼成までの技術を学んだ後、全ての器を登り窯で焼くことにこだわり、2010年より年6回のペースで窯を焚き続けています。
川尻製陶所の益子焼食器は、物静かで優しい眼差しの2代目の人柄を反映したような、見た目も肌触りも心地良いシンプルかつユニークな形が特長です。
内側に釉薬、外側には上部に釉薬を掛け、下部は土そのままの焼締めで仕上げています。焼締め部分が薪窯ならではの火色が付いています。
まるく飛び出た取っ手が意外と持ちやすいです。
川尻製陶所の焼き物は、釉薬を掛けずに焼く「焼き締め」がポイント。革製品のように、使っていくうちに質感の変化も楽しめます。
ここでは2種類のみ紹介しましたが、コップのデザインも豊富です。新しい作品も随時追加されるはずなので、行く度に新しいアイテムを体験できるのも魅力です。
お皿の種類も選べないほどさまざま揃っているので、料理に合わせて選ぶ作業も心躍ります。
益子邸に滞在時はお気に入りの食器を見つけて、「焼き締め」の作品の”土感”をたっぷり感じてほしいです。
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ADDressアメニティの「伝統食器」は、瀬戸焼、波佐見焼、益子焼の3種類ですが、今後は導入拠点の拡大や、新たな窯元作品の導入も検討しています。ADDressの想いとしては、その地域の素材を用いた一流の職人による「手づくり」の食器を多くの人に触れてほしいと思っています。
食べ物や飲み物を入れる器は、プラスチックや紙製品も含めて世の中に溢れています。使い捨てできる食器でも、「食事をする」という行為そのものには何も不便はありません。
しかし、「食の深みと味わい」をもっともっと感じてもらうために、地域のスペシャリストが丹精込めて作る地域の工芸品を用いて、食事時間をより豊かなものにしてほしいと思っています。食器に親しみと愛着を持ってもらえれば、それは巡り巡って、地域の生産者を応援することにも繋がります。
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