沖縄で日本に居ながら異国を味わう
今まで沖縄に興味を持ったことがなかった。
いや、持つ機会がなかったのかもしれない。
強いて言えば、高校の修学旅行の行き先が「北海道」と「沖縄」での決選投票となり、少し調べる機会はあった。
私は迷わず「北海道」に投票した。
東京は桜も散り、木々が緑色に染まり始めた2021年春
突然その時は訪れた。
「来週ちょっと沖縄に行ってきてくれる?」
上司の一言で、人生初の沖縄行きが決まった。
沖縄と言えば、那覇市!離島!石垣島!
勝手なイメージである。
普段の生活やテレビ番組などからインプットされる沖縄のイメージはそんなものである。
ここ最近のトピックと言えば、首里城が大火に見舞われたことだろうか。
でも、先発隊から告げられた宿泊先の地名は・・・
「沖縄市だよ〜」
はて、沖縄市には何があるのかな?
沖縄県第2の都市 沖縄市は嘉手納基地の街
地図で調べてみると、沖縄市は本島の中央部に位置しており、地図の大部分をグレーで塗りつぶされて地名が書き込まれていない。
よくよく調べてみるとこれが「嘉手納基地」らしい。
泊まる宿は嘉手納基地の第二ゲートのすぐ前のホテルだった。
飛行機から見える南国の島
さて、人生初の沖縄への飛行機の旅
まもなく着陸のアナウンスと共に窓の外に見えてきたのは青い海
今まで、四国や九州など東京からすれば比較的「南国」に属する地域へのフライトは経験しているが、これはかなり青い
さらに空港が近づくと、もう海の色は「青」というよりは「緑」
よく言う「エメラルドグリーン」そのものだった。
アメリカのレストランを体験?
到着日は上司の計らいで少し外食へ出かけた。
宿から海を目指して走るとこの街のかなりの部分を嘉手納基地が占めることを改めて実感する。
基地はもちろん厳しいチェックを経なければ入ることはできないが、海に面した一部分はこのチェックを必要とせずに入ることができる。
ここにあるのが「シーサイドレストラン」
詳しくは知らないが、どうも米国の経営するレストランらしい。
慣れない雰囲気にオドオドしながら店内に入ると、食事しているのはほとんど基地関係者と思われる方々。
もちろん入り口で対応してくれる店員さんもアメリカ人?
コロナが流行っている時期なので、店内ではなく風通しの良いテラス席に通してもらうと・・・
「おぉ〜」
思わず声が出る。
もはや沖縄の風景というよりは外国の、それも映画のワンシーンに飛び込んだような景色が目の前に広がっていた。
メニューは日本語表記こそあるが、価格表示は「ドル」である。
どんなボリューム感で出てくるのやらと思っていたら上の写真だ・・・
かなりお腹を膨らまして最初の夜が終わった。
宿からコザゲート通りを散策
ウィークデイは予想外に仕事が忙しくて出歩く気になれず。
週の後半で季節外れの台風が来たおかげで仕事が中断となり少し体力が回復したところで、夜の散策に出かけることにした。
宿泊していたのは「ホテルクラウン沖縄」
フロントの応対がフレンドリーで、部屋も古いながら綺麗に保たれとても快適な宿だった。
何より、ホテルに入っているレストランの料理がとても美味しく、コロナ禍で外食が出来ない時世にとても助かった。
ホテルからすぐに今は観光通りとなる「コザゲート通り」がある。
その名の通り、嘉手納基地のゲート前の通りでかつては(今も?)軍関係者をターゲットとした商店や飲食店が軒を連ねている。
ゆっくりと歩いて目に飛び込んでくる景色は、もう私の知っている日本のそれではなく、もう異国だ。
日本語の方が少ない。
しかし人が少ない。
ちょうど「蔓延防止措置」が発令されていた時期であったため、飲食店は早々に営業と終えてしまう。それどころか、この時期は店を開けている気配がなくひっそりとしていた。
コンクリート製の古い建物が並ぶ通りは、そのせいかかなり「不気味」に感じた。
道を歩いていてよく目についたのが「TATOO」の文字
中にはシャッターの閉まった店内から大音量でBGMが流れているところもあり、暗い街灯と相まって異様な雰囲気を醸し出している。
かなり年季が入っている、まだやっているのだろうか?
ここは日本なのに、「日本人大歓迎」と書かれているところにこの街の歴史を感じる。
ゲート通りを基地側から歩いて行くと、大きな交差点にぶつかる。
その横にどうもこの街のシンボルだという「コザミュージックタウン」が静かに佇んでいた。
ゲート通りから逸れて路地を行く
ゲート通りを離れて路地を歩いて行くと商店街に入る。
もちろんここもほぼ全ての店がシャッターを閉めていて閑散としている。
所々シャッターが半開きになっているお店の中から、宴会の声が聞こえていた。
アーケードを抜けると街は更に違う顔を見せる。
両脇に露店でもあれば、東南アジアの雰囲気かもしれない。
こちらもメイン通り?中央パークアベニュー
東南アジアな通りを抜けると、不思議な形をした屋根を持つ通りに出る。
こちらは日本人向けのショッピングモールとしての位置付けである「中央パークアベニュー」なる通りらしい。
確かに先ほどのゲート通りと比べると”日本”感はあるのだが、でもそれでも日本ではない雰囲気が漂う
開いている店や飲食店などは観光向けだったりするのだが、ちらほらとそうではない店が点在している。
中には歩道にバーベキューコンロを展開し、横にはハーレーが並べられて宴会を開いているところもあった。
話は変わるが、休日の昼間は街の至る所でバーベキューを楽しむ沖縄の人の姿が見られた。そういう文化なのだろうか。
通りの端まで歩いてきた。
不思議な雰囲気のアーケードは突然終わりを迎える。
一通り歩いてみると、ほとんどの店がシャッターを閉めて人の気配がほとんど街に感じられなかった。
ただ、店の看板などをみると興味をそそられるものも多く、コロナによる普通じゃない時期でなければ相当に楽しめそうな街だった。
こんな時期の出張であったことがつくづく悔やまれる。
またいつの日か、観光客で賑わい、店が開いているこの街の通常を感じてみたい。
きっと、恐怖感など感じない、楽しい街なのだろう。
初めて訪れた嘉手納基地の門前町は、使い古された”異国情緒”な街ではなく、もうそれは”異国”の街だった。