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スイス[53]アームズレングス=スイスと隣国との関係

スイス[53]アームズレングス(arm’s length)=スイスと隣国との関係

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 スイスの北部にあるバーゼル(Basel)はフランスとドイツとに国境を接する大きな都市です。歴史的に美しい旧市街だけではなく,私自身は直接には縁がありませんが世界的に有力な製薬会社(ノバルティス社(*1))や国際機関としてはBIS(国際決済銀行(*2))があることでも有名です。そんなバーゼルに旅行をして,そこに長く住んでいる私の知人(スイス人男性)と話をしたときのことです。国境の話の後に私が彼に聞きました。

私「ここはスイスドイツ語圏だしドイツ連邦共和国とも街中で国境を接しているよね。そうするとバーゼル住民のドイツに関する感情・感覚ってどんなもんなの?やっぱり言語が同じ(似ている)なのでフレンドリーなの?」
彼「うーん,微妙だな。第二次世界大戦の時のナチスドイツへの恐怖は歴史的なことになっているから,もちろん今は友好的ではある。でもそれはそれとして英語にarm’s lengthって言葉がある。そんな関係かも知れないな」

arm’s length,アームズレングス,腕の距離

 調べてみると『不平等ではなく対等な(契約)関係』などと出てきます(大雑把な言い方です。すみません。例えば(*3)など)。ただここで彼が言いたかったことは「『(対等はもちろんのこと)腕の距離くらいの適度な離れた関係』をスイスとドイツが保つ」ということだったようです。

 彼はまたスイスがEUに入らなくて正解だったと言います。
私「どうして?スイスがEU(欧州連合)に入ることに反対なの?」
彼「スイスにはスイスの固有の文化がある。EUは何でもかんでも統一したがってブリュッセルで決めたことを押し付けてくる。それに反対なんだ」

 私自身はアジアそれも辺境の東アジア(日本)に住んでいますから陸続き(他にアイルランドなど)の各国が協調する(あるいは試みる)EUは理想的ではないにせよそれに近づく方策だと思います。ただ実際にはそんなに単純ではないのでしょう。今すでに加盟しているEU国の間でも意見の違いが時々表面化していますから。

 彼はスイス人の代表ではありません。たった一人のスイス人の意見だけでスイス全体がどうだ,と決めつける訳にはいきません。しかしスイス(人)は頑固ということなのでしょうか。それとも国(地方)固有の文化を守ることと制度の共通化・協調することは両立が難しいのでしょうか。あるいはスイスが強い連邦制度をとっていることも『周りになびかない』理由なのかも知れません。
 どうにせよ,どの国とも適当に仲良くしてしかしこれ以上は入ってこないでね,という感覚がスイス人にはあるのでしょうか…

なお,(*4)にはもう少し詳しくまた信頼できる報告があります。

(*1)
https://www.novartis.com/about

(*2)
https://www.bis.org/

(*3)
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-19653.html#:~:text=アームズ・レングス・ルールArm's length rule&text=「誰に対しても,名称となっている。

(*4)


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