真冬の美容養生ドリンク~中医学の知恵
2021年1月20日は一年で最も寒くなるといわれる「大寒」です。昔に比べて近年の冬は暖かいといわれますが、それでも身体には厳しい季節です。
中医学の養生法の書籍を読んでいたら、この季節にぴったりの「美容養生ドリンク」が記載されていたので紹介します。
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枸杞棗茶(くこなつめちゃ)の作り方
<材料>
クコの実 1さじ
棗 3~4個
(好きであれば)菊の花 1~2個
<作り方>
1. ポットにクコの実、棗、菊の花を入れる
2. ポットに沸騰したお湯を入れる
3. しばらくそのまま抽出させる。
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冬に忘れがちなシミ、肝斑対策
この季節、非常に乾燥していて、保湿に気を遣う方も多いと思います。
また、室内では加湿器を使って、なるべく乾燥をしないように対策を立てている方も多いのではないでしょうか。
乾燥にプラスしてあともう一つ、この季節に注意をしておきたいのが「シミ」「肝斑」対策。
この季節は、冬至を過ぎたあたりから陽気が少しずつ増え始め、季節も少しずつ春に向かい始める、という特徴があります。
この時期に中医学として重視したいのが、五臓の「肝」と「腎」を補っておくこと。
なぜ肝腎を補うことが大切なのでしょうか。
この理由は、中医学の五臓それぞれの働きがシミや肝斑ができてしまう要因と非常に密接に関係しているためです。
「肝」や「腎」、身体の働きを担う「五臓」
いきなり「肝」「腎」という言葉が出てきてしまいましたので、まずこれらが何かをここでは簡単に説明します。
中医学では、身体の中の臓器を五臓六腑に分類しています。
五臓は「肝・心・脾・肺・腎」を指し現代解剖学的に実質臓器のことです。六腑は「胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦」で現代解剖学的には腹腔臓器を指します。
五臓は、それぞれ働き(機能)があると考えられています。
その働き(機能)が
肝は、「巡らせる」役割
腎は、「代謝調節」の役割
とされています。
ピンとこない方がいらっしゃるかもしれませんが、赤ちゃんの疳の虫、ヒステリーなどは「肝の機能が不調をきたしている」と考えます。
巡らせる機能が不調を来し、頭に巡らせすぎた状態、と考えます。そのために「キー!」っとなったりする、と考えます。
「気」「血」「水」、身体をめぐる3要素
中医学では、身体をめぐる3つの要素として「気」「血」「水」があると考えます。
鍼灸acumitでは、
「気」とは、身体を動かすためのエネルギーのようなもの
「水」とは、身体の水分(うるおい)、リンパ液
「血」とは、血液、栄養分
などと説明しています。
中医学ではこの3要素がバランスよく体内に存在していないと、病気になったり、不調が起きたりするという考え方をします。
シミ、肝斑ができる中医学的要因
さて、本題ですが、この季節に気を付けておきたい「シミ」と「肝斑」。これらは、中医学では、「気」と「水」が体の中にバランスよく存在していないからできてしまうと考えています。
五臓の働き(機能)と身体をめぐる3要素の考え方を足し合わせて考えると
「肝」の働きが弱る→「気」がうまく回らなくなる
「水」もうまく回らなくなる
「腎」の働きが弱る→「水」が足りなくなる
つまり、エネルギーや水分が体内をうまく巡らなくなり、あるところには多く、あるところには少なく存在するようになる。その結果、乾燥したり、余計な物質が余計なところにたまってしまうことになります。
「肝」の巡らす働き、「腎」のもつ栄養分、がちょうどよく働くことでシミや肝斑などができにくくなる、と考えています。
枸杞の実や棗の効能
クコの実は「ゴジベリー」として記憶されている方もいるかもしれません。少し前に「スーパーフード」として脚光を浴びた食べ物です。
クコの実は、「気」や「血」を補ったり、水の偏りを調整したりする役割がある食べ物とされています。
棗には、気を補ったり、血を補い精神を安定させる働きがあるとされています。
シミや肝斑ができてしまう要因となる要素と機能をうまく整えてくれる食べ物の組み合わせが、クコの実と棗であり、それをお茶にして飲むとよい、ということになります。(了)
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参考文献
李志敏、『二十四節気養生法』、高寶書版、2016
(註)前回の記事では「東洋医学」、本記事では「中医学」という言葉を使っています。「東洋医学」と「中医学」は正しくは少し異なる理論を用いています。
本稿では、中医学の書籍を基にしているため、「中医学」で統一しました。
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