韓国ドラマを見るための医学知識(4)~「診断」について、「ホジュン~伝説の心医~」から~
なかなか無料で全話を見られるものがないのが残念です。第3話まで無料で見られる「ホジュン~伝説の心医~」を見つけました。実際に鍼灸治療が出てくるのは第8話以降となりますが、伝統医学を知るよい題材でもありますので、このドラマを取り上げます。
ポニーキャニオン ホジュン 第3話まで無料(http://hurjun2.jp/)
「伝統医学的診断」と「五行」について記載します。
伝統医学も診断には観察力
第8話で、体調を崩した母親をホジュンが町の名医に連れていく場面があります。
この名医は本当に優れていて、見ただけで患者の医院に来る数日前の生活などを言い当ててしまいます。
さらにその息子であるドジュンも、手首の「脈診」と患者の状態を見て的確な判断をしています。
このシーンは伝統医学の診断を非常によく表しています。
伝統医学の診断では、「望聞問切(ぼうぶんもんせつ)」と呼ばれる重要な診断のための作業があります。
「望聞問切」とは、「目、耳を使って患者の状態を把握、問診で質問する、実際に患者に触れる」を表す言葉です。
ドラマでは名医ユ・ウィテが6日前の患者の行動を言い当てていました。これも「望聞問切」で判断したと考えられます。船旅、葬儀などもそれぞれ塩のにおいや煙の匂いなどがあることから、それらを踏まえた診断だったのでしょう。
同じ場面ではドジが患者の手首の脈をみて、診断を下しています。
脈診は診断を下すのに非常に重要となります。
伝統医学では、「五行」と呼ばれる分類があり、伝統医学的見地から臓器を5つに分類、五行に配当(あてはめて)しています。(伝統医学の臓器は、現在の臓器とはことなる働きになります。詳細は別の機会に説明します。)臓器なので身体でそれぞれ重要な役割を担っています。
脈を診る手首には、伝統医学的臓器がそれぞれ配当されている箇所があります。脈を診ることで、身体の臓器の状態を確認していて、脈の状態により「弱ってる」「元気すぎる」などの判断をしています。
実際の伝統医学の診断で、医師や鍼灸師が3本の指で手首の脈を診ることが多いと思います。それはそれぞれの指の場所が伝統医学的臓器の場所にあたり、その脈を診ているためです。
五行とは
「五行」は自然万物を5つに分類する考え方です。初めて「五行」の分類を習ったとき、まったく意味が分からず理解に非常に苦労しました。
「五行」は「哲学」「思想」に通じる概念になります。こう言われると「そういうものなのだ」と納得できるのかもしれません。
「五行」では一番初めに基本として「木・火・土・金・水(もく・か・ど・こん(きん)・すい)」と習います。五行ではこの5つの分類に様々なものをあてはめて整理しています。
この五行の基本は非常によくできています。
「木」が燃えて(「火」)「土」になり、土の中から金属(「金」)が生じるようになる。その金が集約すると「水」を生む
という考えを導き出しており、この「生む」という互いの関係性を非常に重視しています。(下記図における「実線→」の関係)
さらに
木は土から養分を吸い取る
火は金属を溶かす
土は水を吸い込む
金属は木(木製物)を壊す(切る)ことができる
水は火を消すことができる
という考え方も導き出しており、一つ置きの関係が「痛めつける」という関係性にあることを導き出しています。(下記図における「点線→」の関係)
伝統医学を学ぶ人たちはこの5分類を「五行色体表」として暗記します。
中には現代的にちょっとおかしな、理解不能な分類になっているものもあるのですが、それを置いておいてもこの表はかなりよくできていると感じます。
さて、診断に利用される脈診の配当はどのようになっているのでしょうか。木=肝
火=心
土=脾
金=肺
水=腎
となります。「肝・心・脾・肺・腎」それぞれが身体を動かすための重要な役割を担っています。そのためこのどれか一つが弱ったりすると、不調が表れると考えています。
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