季節行事を軽んじてきたけれど
もうすぐクリスマス。
クリスマスが終わるとすぐに慌ただしい年末がやってくる。
そして年が明けて、春の七草、えべっさん、節分、バレンタインデーと
あれこれ行事が続きます。
昨年末、患者さんからカレンダーをいただきました。
二十四節気、七十二候、月の満ち欠けと、日本の暦にまつわるお話が入った、読み物としても楽しいとっても欲張りなカレンダーです。
私が子供の頃は、和暦にちなんだ季節行事が身近だった。
それとは別に、季節に応じた暮らしの手入れも普通に行われていた。
たとえば衣類の虫干しや寒干し。
床の上敷きを季節によって変える。
風鈴を吊るしたり、仕切り戸を変えたり、寝具の入れ替えも今よりずっと大掛かりだった。
そういった暮らしの手入れが多々あって、家電は普及し始めていたとはいえ、まだまだ家事は手間暇がかかるものだったし、
今のような「共働き」なんて言葉で表されない小仕事、繁忙期に店や工場の手伝いに行くとか、縫い物をするとか、畑仕事だとか、なんだかんだと母親たちは家事以外の労働もしていて、忙しかった。
子供達も普段から家事を手伝うのが当たり前。
そして大きな季節行事の際は、子供達も「働き手」として動員される。
年末は、季節行事の中で最大のものだった。
なにしろ年末年始、商店は営業しない。
約1週間はどこもお店が開かない。コンビニも宅配もないし、自販機すら少ない時代。
おせち作りは必須です。
年末の大掃除は家族総出で行うもの。家具を動かし、日頃掃除できない家具の裏まで雑巾掛けをし、畳を上げて床下まで掃除する。
照明器具も一つずつ拭き上げ、仏具も磨く。
餅つきも家族でやってた。
そんな大量にやることのある年末。
当然ながら母親の機嫌はすこぶる悪い。
そりゃ親戚付き合いに舅姑の世話もあれば、集金人も来るし、まー大変やったと思う。
機嫌が悪くなって当然やと思う。
子供達はちょっとでものんびりしてたら、あれしろこれしといろいろ言いつけられる。
もちろん八つ当たりもかなり入るので、ドジると罵られぇの怒られぇので、
本当っっっに、年末は大嫌いだった!
機嫌悪くなるのも仕方ないよね、と理解したのは大人になってからだ。
10代の頃の私は、
「あんな不機嫌になるような季節行事、時に年末の大掃除とか迎春準備とか、そんなのやらん家庭でいいわ」
と思っていた。
将来、自分が家庭を持ったら、季節行事はカジュアルに適当にすると決めていた。
そして、ほぼ実行した。
子供が小さい頃は、クリスマスとか雛祭りとか、子供が喜ぶイベントごとはやったけれど、おせち作りはしなかったし、年末の大掃除も無理のない範囲で済ませた。
合理的に暮らすのが楽で良かった。
でも、時が経って、
子供もとうに成人した今、
もうちょっと季節行事を大切にしても良かったかもな、と
和の暦カレンダーを眺めながら思う。
二十四節気や七十二候、
それに使われている言葉が美しいなと思うのです。
「乃東生・なつかれくさしょうず」とか、素敵やん。
これらを暮らしの中に取り入れて、子供に伝えるべきだったなと、
反省しつつ思うのでした。