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辞書での意味とはまた違う私達が考える母性とは

「これが書けたら作家を辞めてもいい」

私が湊かなえさんの母性という作品に出会ったのは、上に書いた衝撃のフレーズを見たのがきっかけです。
あの頃は、私が湊かなえさんの小説が好きになっていろんな作品に手を出している時でした。
そんな、湊さんが「作家を辞めてもいい」と思って書いた作品が気になりすぐ購入しました。

初めて読んだあの時は、まだ中1になったばかり。
1回読んだだけでは、本当に理解できなかった
作品です。
そもそも、湊さんの作品は、1回目読むのと2回目読むのでは、いい意味で違う結果が得られます。
今回の母性もそうでした。
自分はまだ育てられる側。言えばさやか側です。
当然、自分は愛されているものだと思っているし
愛されています。
この世の中に児童虐待やネグレクトのニュースが
飛び込んできても私とは住んでいる世界が違う
そうやって過ごしてきました。
でも、読んで気づいたことは、母性のような家族関係もあり得るということです。
児童虐待やネグレクトとはかけ離れていますが、
愛されていない と感じる心は変わらないのではないかと考えます。
私が愛されていること、それは当然のようで当然ではない、その大切さを知った作品でした。

そんな、とても思い入れのある作品が、
来秋映画化すると聞いたのは今年の5月頃

正直、原作と同じクオリティーの実写作品ができるのかは不安でした(勝手になってました)
湊さんの作品は数々、映画やドラマになっているのを知っています。例えば「告白」などは、
最初に見たときにかなりの衝撃をくらいました。
「告白」は実写作品から知って本も読みましたが、原作のイヤな感じいわゆるイヤミスの骨頂と言えるほどに後味が悪い作品だなと思ったのが
第一印象でした。
原作のイヤな感じが映画にまで入っていることに感動もしました。
だからこそ、母性が映画化されると聞いたとき
イヤなというより、母性の本質について
映像で表現できるのかなと興味を持っていました。

結果的にとても感動させられました。
戸田さん演じるルミ子と
永野芽郁ちゃん演じるさやか
原作のままであったように感じます。
原作を読んで、思った感想と、映画を見て思った感想が同じだったので本当に原作のままで実写されているんだと感じました。
劇場に座って、見て、
私と同じ気持ちになるかわかりません。
この作品についてわからなくなる方も
いると思います。
わからない方はわからなくていい
わかる方だけわかればいい
原作を読んだときの感想です。
でも、映画を見て、この世に生きるみんなに
悩んでほしいと思いました。
母性とは何なのかということに。

「女性には母と娘が存在する」
原作にも映画にも出てきている文です。

普通に考えれば、最初は娘であったけれど
後に母になるそういう世の中での
思い込みがあります。
でも母親よりまだ娘でいたいと思う心が
ある人もいる
それについて悪いわけではないと感じます。
ただ、母に愛されたい、
そんな単純な思いも悪くないと感じます。
どちらも悪いといえないそんな事実が
この母性という作品を覆っていて、
読んだ、見た、私達を
ぐるぐる閉じ込めている気がします。
どっちが悪い!と決めつけられない
考えれば考えるほど悩む作品だと思います。
そして、まだ、母には遠い年齢層の私でも
苦しくなります。
娘、や、母、という概念にとらわれるこの世の中が急に不条理になります。
自分に母性があるのか、
そもそも母性とは何なのか
私が、映画を見終わったあと思ったことは
辞書に載っている意味ではなく、それぞれ個人の
人生経験によって、その意味は、作られていくのではないかということです。
人と母性について話してみても、
年齢によって、人によって変わるものだと思います。

そしてこれからもその意味は変わっていくと思います。
自分が子供を持ったりするときの
私の母性とは
そんなことを考えると
とても将来が楽しみでまた複雑な気持ちになります。

湊かなえさんの母性(本)
映画母性
どちらもとても素晴らしいです。
もう2回目見に行きたいです。

最後になりましたが公開おめでとうございます。


#映画感想文
#映画母性

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