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ストレスを糧にする(ストレスとメンタルヘルス②)

このnoteは「ストレスとメンタルヘルス①」の続きです。

では、ストレスを個人の成長につなげるにはどのようにしたらよいのでしょうか?

そのためには、「選択」あるいは「判断」とはどういうことか、ダーウィンが注目したような「変化」とはどういうことかを知ることがまず必要です。難解なことかもしれませんが、自然なことで、これは真実であると言えます。

1.選択と判断

 選択や判断、つまりストレス対処の第一歩においては、心理学者フランクルの

「避けられる苦悩を避けようとしないのはマゾヒズムであり、避けられない苦悩を避けようとするのはエスケイピズム(逃避主義)である」

という記述が役立ちます。
まずは回避可能か否かの2つの選択があり、その判断があります。

避けられない苦悩には自己や他者の死や、病、そして老いること等がすぐに上がるでしょう。これを述べたフランクルは、ユダヤ人として強制収容所に入れられるという体験をしていますが、これも同様です。苦境においてとる態度の重要さを説くこの言葉は、詭弁ではなくフランクルの体験から生じています。

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2.「捨てる」と「引き受ける」 

 選択の本質は、選ぶことよりも他のすべてを「捨てる」こと、またそれらすべてを「引き受ける」ことにあります。

 過去の選択が現在に繋がっており、現在の選択はそこから繋がる未来の選択でもあります。SFでおなじみのパラレルワールドの話ですが、現在の状況において態度を決める際の重要な視点です。

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 現在の選択がどのような結果となるかは、当然知ることができません。私たちがまずできることは、願掛けのように、想いを込めてその選択をすることです。そして次に、その結果を引き受けることになります。私たちのもつ引き受ける際の力が英語で「responsibility」、つまり日本語の「責任」ということになります。

3.変化

 「変化」とは、あらゆるものに共通して起こっているものです。「諸行無常」という言葉がありますが、やがて死にゆく生き物すべても、やがて壊れる事物も、質量が保存されていたとしても、形を留め続けるものはありません。あらゆるものがあらゆるレベルで相互に作用し合いながら変化し続けています。

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 ストレスとかけ離れた話題に思えるかもしれませんが、そうではありません。刻一刻と変化する万物が全てストレスになり得るということです。それに対して私たちが何らかの判断と選択、責任の引き受けを行いながら行動を返していくということです。そして私たち人間はそこに願いを込めることができます。

 その願いを込めた判断と選択によりとられる態度こそが、人間から奪うことのできない自由であり、たとえ死ぬ間際においても実現可能性のある価値であるということを、フランクルは態度価値という用語で表現しています。その都度の状況に態度を示し、「応えていくこと」が人間の本来的なあり方です。

4.本当の「ストレスフリー」へ

 万物が変化し、ストレスになり得るので、何かが解決されたとしてもまた次の問題が生じ、それがストレスとして認知されます。したがって、ストレスは無(フリー)になることはなく、感じないようにするならば麻痺させてしまうほかにありません。「ストレスフリーは麻痺」というのは、そういうことです。また、それは死を意味するかもしれません。

 私たちはいずれ死を迎えるからこそ、苦悩もある人生を自分らしく過ごし、そして終えることを願っているはずです。いわゆる自己実現、個性化です。真に目指すべきストレスフリーは、「苦悩から解放されること」ではなく「苦悩に対する自由」であると言えます。

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