人を壊すストレス(ストレスとメンタルヘルス③)
このnoteは
「ストレスを糧にする(ストレスとメンタルヘルス②)」の続きです。
それでも、現実に社会には「うつ」があり、自殺があります。
そして、そういったケースを弱者とする誤解が残っているように感じます。
似た状況でも病まなかったり、克服したりする人も現実にいますが、その差は強さや弱さという個人の力のみによるものではありません。当然、精神論だけでもありません。
1.メンタル不調へのプロセス
個人が過剰なストレスに環境に置かれることで心身の不調を呈していくプロセスは、セリグマンによる「学習性無力感」という概念から理解できます。
どれだけ試行錯誤を重ねても問題が一向に解決しない場合には、諦めるという最終手段がとられます。様々な症状は苦痛を和らげるための反応として現れます。
既存の生活様式や価値観の変化を迫られるストレス状況下では、個人の試行錯誤が続きますが、そこでは緊張状態が維持され、疲弊もします。外圧に耐えかねたゴムボールが破裂するように何らかのきっかけで生じる精神症状は、緊張と疲弊を強化して悪循環を生み、無力状態(諦め)への移行を後押します。
ひとたび悪循環が生じれば、個人の精神論やスキルによる変化を解決策とすることは、次第に困難になっていきます。そして、服薬やカウンセリング等を行いながらなんとか耐えていくか、職場であれば休職や配置転換を思い切って行うかという段階に至りますが、予防に適切なタイミングは既に過ぎています。
2.職場のメンタルヘルス
メンタル不調者の退職や異動は、周囲にとっては喪失体験であり、心理的に死別と似ています。離職や休職が多い職場は、いわば病気と病死の多い環境であり、精神的に不衛生な環境と言えます。職場のストレスを組織として捉える際には、メンタル不調者の数の他に離職率や定着率に注目することも重要です。
職場におけるストレスは、純粋な業務からの負担と組織内外の人間関係の3つを想定することができます。業務の負担と組織外の人間関係からのストレスは、業種や階級により大きく異なりますが、職場内人間関係におけるストレスは、言ってしまえばコミュニケーションの問題ですので共通性の高いものです。
3.ストレスの流れ
組織内の人間関係におけるストレスは、外からの要因の影響を受けて内部に入り込み、内部においては強い者から弱い者、特に階級の高いところから低いところへ進みます。そして、個人に留まるか、個人が外部に出すかの2つの結果に至ります。職場環境におけるストレスの出入り先の好例は「家庭」です。
同様に、家庭でのストレスの出入り先が職場あるいは学校となります。
外から入って高いところから低いところに向かい、留まる場所があればそこに留まるという水のような流れ方をするのがストレスです。
職場で起こればハラスメント、家庭なら虐待やDV、学校であればいじめと名称が変わるだけです。