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【乙庭植物図鑑】20230309 アスプレニウム ニドゥス (= シマオオタニワタリ) エメラルド (Asplenium nidus 'Emerald')

これまで、著書や歴代ブログやwebメディアなど、さまざまな媒体に植物の解説を書いてきましたが、結構情報が散逸している状態になってきたので、マイペースではありますが、note.に私の植物や植栽に関する知識をまとめていきたいと思います(ライフワークにできたらいいな😊)。

今日は、地球規模の気候変動による温暖化で日本の温暖な都市部でも屋外越冬が期待できると思い乙庭でも注目しているシダ植物、 アスプレニウム ニドゥス (= シマオオタニワタリ) エメラルドを紹介します。

ホンコンカポック(Schefflera arboricola)の斑入り品種と併せて耐寒試験中です

アスプレニウム ニドゥス (= シマオオタニワタリ) エメラルド は、
シマオオタニワタリという和名でも知られる、沖縄〜台湾、東南アジア原産の着生シダ シマオオタニワタリの、ラッフル葉品種です。

ヒダヒダとラッフルがかった厚手で照りのある細長葉が織りなす大型のロゼット姿がたいへんオーナメンタルで魅惑的な大型のシダ。着生でも鉢植え、地植えでも栽培でき、沖縄などの亜熱帯地域ではなく、日本の本土温暖地でのガーデニング素材としてはとても新感覚だなととても注目している植物です。

アスプレニウム ニドゥスは、シマオオタニワタリという和名でも知られる、チャセンシダ科の大型のシダ植物です。

基本種のニドゥスは、沖縄〜台湾、東南アジアなどに分布し、自生地では森林の森林の樹上や岩上などに着生しています。葉長1m程度にもなる大型のシダでタニワタリという和名は本種が谷間の森林で樹上や岩に着生している姿が「シダが谷を渡っている」ように例えられたといわれています。

地域によっては食用にもされており、沖縄では葉先の部分をお浸しや天ぷらなどの料理にして食されています。



本種 エメラルドは、シマオオタニワタリのたいへん魅惑的なラッフル葉品種です。アスプレニウム特有の厚みと照りのあるダイナミックな草姿に加え、葉全体がヒダヒダとラッフル状になり、地上の植物というよりは、海藻の造形を連想させるようなファンタジックさも兼ね備えたオーナメンタルプランツです。

同属のオオタニワタリ(Asplenium antiquum)は比較的耐寒性があり、関東平野部以南の温暖地では北風や強い霜や凍結を避けられるあたたかい場所を選べば屋外での越冬も可能ですが、シマオオタニワタリ系統の本種の耐寒性は乙庭でもまだ耐寒試験中で、冬の間は屋内で観葉植物として楽しむとよいでしょう。

直射は苦手ですが、生育期は空気中の湿度を好むので高温多湿な日本の温暖期には屋外の半日影で栽培すると環境に合い育てやすいです。

東京都心部などは温暖化の影響でストレリチアやシェフレラ、クワズイモなど従来は屋内観葉植物として栽培されていた植物が南向きの屋外で越冬し新しいガーデン植栽風景を作り出している事例も多く見られるようになってきました。

そのようなセミトロピカルな雰囲気の植栽の中に本種のような大型のオーナメンタルなシダ植物を温暖期には組み込んでみるのもとても面白いのではないでしょうか。

本種 エメラルドは、耐寒性が実地で確認とれておらず概ね耐寒性が3℃程度、氷点下の気温や霜には耐えないと考えられます。

オオタニワタリの照りのある、厚手のダイナミックな細長葉はややプラスチック製のアーティフィシャルプランツのような葉の造形やテクスチャーで、ある意味、自然界のものとは思えないような不思議さとワイルドさが共存するところが魅力です。

オオタニワタリの葉は生け花の花材としても印象的なオーナメンタル造形素材として用いられリーフプランツとしてもたいへん観賞価値が高いです。

巨大で装飾的な照りラッフルが作り出す大きなロゼット姿は非常にインパクトがあり、造形的な植栽空間を作ることができます。

とてもオーナメンタルで目立つ植物ですので植栽効果は驚くほど高く、夏庭の絶好のフォーカルポイントになること間違いナシですよね!

クワズイモやテトラパナックスなど熱帯の雰囲気のあるダイナミックプランツやタマシダやヒトツバシダなど着生シダの世界観を感じさせる大きさ形の異なるシダ類などと組み合わせても面白いでしょう。

0℃近辺の耐寒性は確認取れていませんので、屋外での植栽にチャレンジする場合は耐寒性を確かめながら導入されると安全と思います。

大株になると脇芽ができますので、分けた子株で屋外越冬を試しつつ、親株を屋内で越冬させると、耐寒性の確認チャレンジをしつつ、株を維持することができます。


■アスプレニウム ニドゥス (= シマオオタニワタリ) エメラルド
■ 学名 : Asplenium nidus 'Emerald'
■ 科名等 : チャセンシダ科 非耐寒性宿根草(推定3℃程度)
■ 花期 :
■ 草丈 : 1m程度
■ 耐寒性 : 弱い
■ 耐暑性 : 強い
■ 原産地 : 日本 (本州以南)~台湾、中国にかけての東アジア


最後に私 太田敦雄の著作や掲載誌をいくつかご紹介します。
2024年1月16日発売(本記事執筆時点では発売前)のガーデニング雑誌「Garden&Garden vol.88 (Spring 2024)」。
巻頭特集「風景ガーデニング」にて、私 太田敦雄 / ACID NATURE 乙庭 を8ページにわたり掲載いただいています。私の設計案件の中でもこれまで一般誌で解説紹介していない2つの住宅を実例に写真豊富に、自分が思い描く植栽風景を形にしていく思考のコツなどについて解説しています。私のページ以外も人気ガーデナー、ガーデンデザイナーさんの多様な植栽事例をお楽しみいただけます。

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私と、おぎはら植物園の荻原範雄さん、フローラ黒田園芸の黒田健太郎さん・和義さんご兄弟との共著作「グリーントータルプランツブック」。前半の1/3を私が執筆担当しており、実例も交えた植栽論と植物の解説をしています。

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私の最初の著作本「刺激的・ガーデンプランツブック」は、出版社のご都合で現在絶版となっていますが、この本に書いた内容も含めて、今後の出版物に盛り込んで、なんらかの形で情報としてこれからも手に入るようにはしていきたいと思っています。

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noteの「乙庭植物図鑑」では、これまでの著書では解説していない植物も積極的に取り上げていく予定です。
自分だけの特別なお庭造りの参考になれば幸いです😊✨




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