「眼にて云ふ」という詩
眼にて云ふ。という詩がありまして、私はこの詩が大好きなのです。
今回はそういう話がしたい。着いてこい。
眼にて云ふ。という詩は宮沢賢治の詩であり、彼が病床で書き上げたとされる「疾中」という作品の中のひとつである。宮沢賢治の詩といえば言わずと知れた「雨ニモマケズ」や、彼の妹の死後作られた「永訣の朝」という詩が有名ではあるが彼の数々ある詩の中で、というよりも彼の作品の中で私がとりわけ好きなのが眼にて云ふなのだ。
御託はここまで。まずは読んでほしい。
落ち着きすぎじゃない?
どう考えてもおかしい。死ぬんだよ?自分、死ぬんやで?
読者諸君はどう思っただろうか。"案外死ぬ時は落ち着いてるものなのかもな"と思ったかもしれない。でもそこでこの詩を終えないで欲しいのだ。
まず彼は肺炎で病床に伏せっており、死についての想像は健康な時に考えるそれとは違ったものなんじゃないだろうかと私は思う。
この詩は宮沢賢治の祈りだと思うのだ。苦しみの果てに彼は祈る様に死は涼やかであるように。と願っていたのだ。
同著に強く生を願う詩もあるがそのせいもあって私はこの詩にひどく惹かれるのだ。
どうしても強く惹かれるのだ。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?