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『この本…私のトリセツですか?』〜その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれませんを読んで〜

「生きづらい」とまでは思ったことはないし、自分には「繊細」という言葉は当てはまらないと思っている。

なぜなら、自虐的なピエロ人生を送ってきた私には、そんな高尚な言葉は似合わない。

しかし私は愉快なピエロではなく、ネクラで負のループにはまりやすいピエロ。友達は少ないし、彼氏にはすぐフラれるし、厄介な性分だなと思って生きてきた。

例えばカラオケで、最初に遠慮して誰も曲を入れないときに、まず失恋ソングをしっとりと気持ちよく歌いあげて、「うぜー!」「自由すぎ!」と言わせて、みんなが曲を入れ始めたら私の作戦は大成功。状況に応じて演奏停止。

そんななか、「最初は“さくらんぼ”とか歌えよ~KYだな」などと誰かが言い出したら、その場では「うざくてごめーん」と笑いながら、帰宅後に「この気遣いがわからないなんて、心の機微のわからないやつだ。さくらんぼなんて歌ったら、ノリのいい曲しか歌っちゃいけないと思ってしまう人もいるだろうが」などと1人毒づいたりする。

これはあくまで一例だが、こんな自分の矛盾した行動や二面性は、偽善的でみっともない、とずっと思っていた。

それでも誰かに共感してもらいたくて、仲の良い友人に勇気を出して話してみても「考えすぎ」「めんどくさっ!」などと言われるので、「だよね、私ヤバいやつだよね」と思って、そう思わないように努めたり、変われない自分を否定したりもしてきた。

これが、自分をありのまま認められず、自己肯定感が低い原因の1つだったかもしれない

『でも、もう否定しなくてよい。これが私の特性なんだ。これをいかして生きていける』

水を得た魚のように心が躍り出す。そんな運命の本に出会ってしまった。

前から気にはなっていたが、私は繊細の自覚はないし、「やっぱり違うかも」となりそうで、読む勇気を持てないでいた本だった。しかし先日、偶然図書館で見つけ、取りつかれたように一気に読破した。

もうこの目次を読んだだけで力がみなぎってくる(単純)

筆者のHSS型HSP専門心理カウンセラーの時田ひさ子さんもご自身がそうであるらしく、読みながら「この面倒な特性をわかりやすく共感力たっぷりに解説してくれる人にやっと出会えた・・・」という安堵感に包まれていった。教祖様と呼ばせていただきたい。

ちなみに「かくれ繊細さん」という表現は、HSS型HSPまたは、HSEという呼び名を総称したものであり、2020年11月にこの本が出版されているのだが、これらの分類はまだ現在進行中で未決着と書かれていた。よってHSS型HSEはその名称こそ出てこないけれど、この「かくれ繊細さん」の仲間に分類されると思ってよいと思う。正直、どの分類かなんてどうでもよくなってきてしまった。

かくれ繊細さんは、HSP中30%で、全人口のわずか6%だという。100人いたら6人。日本人1億3000万人の中の6%というと780万人。愛知県の人口より少し多いくらい。

さらに同性や同世代の理解者に出会う確率も低いし、自分でも自分のことが理解できないので、自己分析を延々と繰り返しては謎を持て余していた私に希望を与えてくれたこの本の、最も印象に残った箇所を5つだけご紹介したい。

かくれ繊細さんは、自分という家の窓から外を見続けているというイメージです。ずっと自分の外に注意を向けているため、情報をキャッチするのが得意です。
だから、周りに合わせることも得意です。
ずっと窓から外を見張り続けている生き物なのです。

その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません(第1章)より

すべての感情が深くて濃いのです。
悲しみも、悔しさも、後悔も、嫉妬も、恥ずかしさも、恐怖も、そして喜びや悦び、愛もすべてが強く、深く、濃いといえます。

その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません(第1章)より

かくれ繊細さんがもれなく自覚されているのが、この「自分にはなにかあると思える才能」です。
~中略~
ご自身をなんとかこの世で活かしたいと望んでいます。「このまま何も残せずに死にたくない」と思われています。

その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません(第2章)より

かくれ繊細さんがせっかくの才能を発揮できない理由は、自分で自分を自滅させる「内なるネガティブパワーによる自滅の仕組み」を内包しているためです。

その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません(第2章)より

お金に不安があるときとない時の両方を経験したことがある人なら、身に覚えがあるかと思うのですが、かくれ繊細さんはお金がないというだけで、自分に対する信頼感、安心感が大きく変わる人たちです。
お金がない、お金が稼げないということが自己肯定感を著しく下げてしまいます。

その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません(第4章)より

また、かくれ繊細さんマウンターというフレネミー的な存在についても書かれており、非常に興味深かった。でもこれを読んで、自分を支配しようとする不快な存在からやっと卒業できる気がする。

大ファンになった時田ひさ子さんについて検索したら、カウンセリングの案内を見つけた。もう少し稼いだら申し込みたい。

そのページの下に無料メルマガ登録もあったので早速登録した。

すでにメルマガを2通受け取って読んだが、「私こそが時田ひさ子さんのどストライクの見込み客じゃないですか?」と思うだけで自信が湧いてくる自分の単純さが可笑しい。本当の「繊細さん」に笑われそう。

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長橋 知子
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