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もうこの業界の自給自足は無理なのかと果てしなく途方にくれた話。~続編~

昨日、宿泊業界が外国人労働者に頼らざるを得なくなっていることで不安が止まらない話を書いたが、もう一つ重大な業界のあることを思い出した。

介護業界だ。

私にはまだ介護・介護業界の経験がないが、鹿児島で一人暮らしをしている75歳の母は、現在もこの業界で働いている。

「自分が世話される側じゃないのか!」と遠方からちょっかい=ケンカを吹っ掛ける父。

だからうまくいかないんだよ

母は、60歳で介護福祉士の資格を取り、それから職場を転々としながらも、約15年間働いている。今は、お年寄りの介助などは身体がきつくなってきたこともあり、食事の支度がメインのようだ。

以前、職場にフィリピン人だったか、純朴で優しい子がいる、と聞かされた。

「丁寧だし、いい子なんだけどね」

母が思いを語り始めた。

「お母さんね、認知症の利用者さんの昔の話を聞かせてもらうんだけど、聞かせてもらいながら、ふと思い出した童謡とかを一緒に口ずさんだりね、昔やった遊びとかそんな話を聞いたりするのね。そういうの、やっぱり外国の子にはわからないでしょう。鹿児島の方言が聞き取れなくて、会話にならないこともあるしね。利用者さんの楽しかった記憶に触れたときに、わかってあげたいし、やっぱりね。介助をするだけじゃなくて、文化を知ってることもお母さんは大事だって思う」

上司とは合わずに悩むことが多い母だが、利用者さんからは「あなたじゃなきゃ嫌なの」とよく言われるという。
人生の先輩に敬意を持って、心を傾けて利用者さんに寄り添う母を、誇りに思う。

かなり手前みそな発言になってしまうが、母のような介護士にケアしてもらえる利用者さんは、宿泊業界で言えば、高級旅館に泊まる宿泊者のようなものではないか。正直羨ましいぞ。

とはいえ、実際は話し相手になることだけが仕事ではもちろんないだろう。
増えゆく要介護の日本人を支える介護業界の働き手不足のために、多くの外国人の働き手を借りなくてはいけない状況……

宿泊業界同様、いや、それ以上にいたたまれない。
自分たちの老後の尻ぬぐいを自給自足できないなんて、泣きたくなる。

自分はいったい何歳まで生きるのだろう。80代、90代まで生きたら、そのとき日本はどうなっているだろう。

「ママが、自分でトイレに行けてご飯も作れる生活ができるのは86歳くらいまでな気がするから、そのくらいで家でポックリ死ねたらなぁ」と家で話題にしたところ、まだ小学生の息子たちは「ママ死なないで!!」「100歳まで生きて!!」などと口々に言ってくれる。今はそう言ってくれるよなぁ。子どもの頃は私も母親にそう思っていたもんな。でも今はどうだろう・・・

最期をどのように迎えるのかなんて誰にもわかるはずもなく。

介護施設でお世話になるとしたら、

「あら、あなたはフィリピンから?私は一度も遊びに行ったことはないのだけど、セブ島には行ってみたかったわね。あら、あなたはスリランカから?私はね、ハネムーンはモルディブに行ったのよ。スリランカも寄って、手づかみでカレー食べたわよ。あなたはタイから来た方?昔いくつか言葉を覚えたわよ、ちょっと通じるか聞いてちょうだい・・・」

年取って急に言葉遣いが上品になるはずもないが

こんな国際交流のできるハイカラおばあちゃんになれないものか。

しかしあわよくば、そんな絵に描いた餅をのどに詰まらせて、家でポックリ幸せに逝きたい。



【ご参考まで】

厚生労働省の資料によると、2023年12月末現在、日本では5万人以上の外国人介護職員が働いています。 その中でも、技能実習と特定技能の在留資格で働く外国人介護職員が約8割(2024年3月時点)を占めており、外国人介護福祉士の割合は、2割に満たないのが現状です。

明光グローバルマガジンより一部抜粋
厚生労働省/介護分野における外国人の受け入れ実績等


外国人介護職員/日本人の介護職員数を知りたかったのですが、調べきれませんでした・・・(お粗末な検索能力)



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長橋 知子
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