
ビタミンC
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、イヌやネコ、ヤギなど多くの動物は体内で合成できますが、サルやヒトでは合成できない必須栄養素です。抗酸化作用、コラーゲンの生成、免疫機能の維持、鉄分の吸収促進など、多岐にわたる重要な役割を果たしています。近年の研究で、生活習慣病予防との関連も注目されています。
【基礎知識】
化学的特徴

・化学名:アスコルビン酸
・水溶性で尿から排出されやすい
・熱や酸化に弱い特性を持つ
体内での分布と特徴
高濃度蓄積部位
1 リンパ球(免疫細胞)
2 目の水晶体
3 脳下垂体
4 副腎

代謝特性
・水溶性のため体内に長期保存されない
・過剰摂取しても尿として排出
・こまめな補給が必要
主な生理作用
抗酸化作用
・活性酸素(ヒドロキシラジカル)を水に変換
・酸化ストレスから細胞を保護
・がん予防効果の可能性
・コラーゲン生成
・プロリンからヒドロキシプロリンへの変換に必須
・皮膚や骨、血管などの結合組織の形成維持
・創傷治癒を促進
免疫機能強化
・リンパ球への高濃度蓄積により免疫力向上
・感染症への抵抗力を強化
・風邪予防効果
栄養素の利用促進
・鉄分の吸収を促進
・特に植物性鉄の吸収率を向上
・貧血予防に寄与
その他の機能
・神経伝達物質の合成に関与
・ホルモンの生成を補助
・解毒作用の促進
【最新の研究知見】
世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)の研究
2003年の「食事、栄養と生活習慣病の予防」報告で、果物・野菜に含まれるビタミンCが循環器疾患やがんの予防に効果的と認定
医学的研究
・アメリカ食品医薬品局(FDA)により、がんのリスク低減効果が認められる ・野菜や果物からのビタミンC摂取は疾病予防に有効と確認
【相互作用】
栄養素との相互作用
鉄分との関係
・鉄の吸収を促進
・特に植物性鉄の吸収率を向上
コラーゲン合成
・プロリンのヒドロキシプロリンへの変換に必須
・コラーゲン形成に不可欠
阻害要因
シュウ酸
・ほうれん草などに含まれるシュウ酸がビタミンCの吸収を阻害
・茹でて絞ることで対処可能
加工・調理による損失
・加工食品の増加による摂取量の低下
・コンビニやスーパーの加工食品依存でビタミン不足のリスク上昇
生活習慣との関係
・喫煙や飲酒による消費増加
・ストレスによる必要量の増加
【機能】
抗酸化作用
・活性酸素(ヒドロキシラジカル)を水に変換して無害化
・体の錆び付き(酸化)を防ぎ、老化予防に貢献
皮膚・骨・血管の健康維持
・コラーゲン合成に必須
・プロリンをヒドロキシプロリンに変換する過程で重要な役割
・傷の治癒を促進
免疫力強化
・リンパ球に高濃度で存在し、免疫システムを強化
・風邪予防や感染症への抵抗力を向上
鉄分の吸収促進
・特に植物性の鉄分の吸収率を向上
・貧血予防に効果的
がん予防作用
・WHOとFAOにより認定された効果
・果物や野菜からの摂取が推奨される
【不足すると…】
重度の欠乏症(壊血病)
・疲労倦怠
・皮下や歯茎からの出血
・貧血
・筋肉減少
・呼吸困難
日常的な影響
・風邪をひきやすくなる
・傷の治りが遅くなる
・歯茎からの出血が増える
・肌のトラブルが増加
長期的な健康リスク
・免疫力の低下
・抗酸化作用の減少による細胞損傷
・コラーゲン形成不全による組織の脆弱化
・鉄分の吸収率低下による貧血リスクの上昇
歴史的事例
・大航海時代には、新鮮な野菜や果物が摂取できない環境下で、約200万人の船乗りが壊血病で命を落とした記録がある
【摂取した方がいい人】
免疫力強化が必要な人
・風邪をひきやすい人
・疲れやすい人
・ストレス過多の人
生活習慣による必要性が高い人
・喫煙者
・飲酒習慣のある人
・加工食品中心の食生活の人
・運動をよくする人
特定の健康状態の人
・貧血気味の人(鉄分の吸収促進効果)
・美容のケアをしたい人(コラーゲン合成促進)
・創傷治癒促進が必要な人
【どんな食材に入ってる?】
高含有食品と含有量(100g当たり)
果物
・キウイ
・イチゴ
・みかん
・レモン
野菜
・ブロッコリー
・パプリカ
・トマト
・ピーマン
・芽キャベツ
調理・保存のポイント
加熱調理の注意点
・できるだけ手早く調理
・ゆで汁も活用
・電子レンジ加熱は比較的ビタミンCの損失が少ない
保存方法
・新鮮なうちに消費
・適切な冷蔵保存
・カット後は早めに使用
効率的な摂取方法
・生食できるものは生で
・加熱する場合は手早く
・他の野菜や果物と組み合わせる
【摂取量】
レモン 5個分
赤ピーマン 60g
ピーマン 140g
モロヘイヤ 150g
ブロッコリー 200g
ハム 200g
ゆず果皮 75g
柿 140g
キウイ 140g
いちご 160g
みかん 250g
・水に溶けやすく尿から排出されやすい
・こまめな摂取が必要
・過剰摂取のリスクは低い
摂取量が増える条件
・ストレス時
・激しい運動時
・妊娠中
・授乳中
・喫煙者
・飲酒習慣がある場合
【摂りすぎると…】
水溶性ビタミンの特徴として、過剰摂取のリスクは比較的低いとされています。
通常の食事からの過剰摂取のリスク
・一般的な食事からの過剰摂取の心配はほぼない
・余分は尿として排出される
サプリメントでの大量摂取時の注意点
・下痢などの軽い胃腸障害の可能性
・腎臓結石のリスク
・吸収阻害による他の栄養素との相互作用
特別な配慮が必要な場合
・腎臓病の人
・特定の薬剤を服用している人
・妊娠中の人 →医師に相談の上で適切な摂取量を決定することが推奨されます。
【効率の良い食べ方】
調理方法のポイント
・生食できるものは生で摂取
・加熱調理は短時間で
・電子レンジ調理が効率的
・切った後はすぐに調理
組み合わせの工夫
・油との組み合わせで吸収率アップ
・鉄分を含む食材と一緒に摂取
・シュウ酸を含む食材は茹でてから
タイミング
・こまめな摂取を心がける
・食事ごとに摂取する習慣をつける
・ストレス時は意識的に増やす
【専門用語】
・アスコルビン酸:ビタミンCの化学名
・抗酸化作用:体内の酸化を防ぐ働き
・活性酸素:体内で発生する有害な酸素
・ヒドロキシラジカル:活性酸素の一種
・プロリン:アミノ酸の一種
・ヒドロキシプロリン:コラーゲンの構成成分
・シュウ酸:ビタミンCの吸収を阻害する物質
・水溶性ビタミン:水に溶けやすいビタミンの総称
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