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みんなで行こう、盆踊り! 盆バサダー佐藤智彦さんの体験記。踊れば踊るほど、すっかり夢中になってしまうその魅力を語ってもらいました。
僕が踊り始めたのは2011年。それまで、盆踊りには全く興味がなかったんですが、友人が突然はまりだして、なんでそんなに行きたがるのか分からなかったから、まずは行ってみようと思ったのが始まりです。
初めて行ったのは8月初めにある「築地本願寺納涼盆踊り大会」。炭坑節しか知りませんでしたが、盆踊りくらい余裕だと思っていました。そうしたら、複雑な踊りもあって、いわゆる脳トレというか、結構頭を使うんです。基本的には同じ振り付けの繰り返しですが、曲によっては一番が終わるまで通しで振りが付いているものもあって、苦戦するけれど、それが楽しい。築地本願寺は同じ曲が2回ずつかかるので、終わりの頃には踊れるようになってくる。で、次は違う曲がかかるからまた新しく覚える。そんな感じで、結局夜の9時まで2時間ぐらい踊ったら、想像以上に楽しくて。いい汗もかくので運動にもなります。そこから他のところにも行き始めて、その年は8~9月で都内20カ所ぐらい回りました。
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徹夜で踊り明かす町
僕が一番はまっているのは「郡上おどり」。毎年、7月中旬から9月上旬まで、31夜ぐらいある日本一長い期間行う盆踊りです。中でもお盆の4日間、8月13~16日は「盂蘭盆会(うらぼんえ=徹夜おどり)」。夜8時から朝4時まで(14、15日は朝5時まで)夜通しで踊ります。初めて行ったときは、あいにくの土砂降り。観光協会に電話して中止ですかって聞いたら、「いや、やってます」と。どうやら、警報が出ない限りやるみたいで、地元の人も特に天気を気にしていない。それで、濡れるの嫌だなと思いながら、意を決して踊ってみたんです。
郡上おどりは江戸時代から続いていて、地元で根付いてる10曲を踊ります。曲によって激しいものもあれば、ゆっくりした曲もあり、バリエーションに富んでいます。おはやしは踊り手を見ながら、のってないなと思ったらちょっと激しめにするとか反応を見て演奏しています。唄も生で歌っていて、唄い手の文句に踊り手も同じ言葉を返す、唄を間違えたらやじるなんていう、やりとりもあります。その一体感がすごく楽しくて、結局雨で濡れても、どうせ汗かくんだからと、浴衣の袖を絞りながら踊りました。
長時間踊っているとランているうちにその世界にどんどん入っていってトランス状態になっちゃう(笑)。もうこんなに楽しいものはないと思って、盆オドラーとして生きていこうぐらいの気持ちになり、今に至ります。
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盆踊りで日本を再発見
盆踊りに目覚めてからは、年間100カ所ぐらい日本各地を回っています。そこで、日本の良さに改めて気が付きました。それまでは海外にもナーズハイのように、無心になる時間があるんです。夜中2~3時に「古調もの」といって、唄とせいぜい拍子木ぐらいのアカペラに近いものを、2人の唄い手が掛け合いでやったりするんですが、踊っよく行っていましたが、外に目を向けるよりも、意外と自分の国で知らないことがまだいっぱいあるし、自分の国の文化を体験しながらあちこちの人と触れ合ったり、名産品を食べたり飲んだりするって、こんな楽しいことはない!と思っています。
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話:佐藤智彦さん(さとう・ともひこ)
1972年神奈川生まれ。インテリア・雑貨のPRやライター業の傍ら、全国の盆踊りを練り歩く。コロナ禍前は年間100会場以上の盆踊りに参加し、7~9月は1日に数カ所回ることも。著書『東京盆踊り天国 踊る・めぐる・楽しむ』が発売中。インスタグラム@tomohikos
写真=佐藤智彦、増井誠一郎(築地本願寺納涼盆踊り大会)