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『うつは簡単にやめることができる』
うつ病は大人だけの疾患ではありません。いじめや体罰、虐待を受けると、子どもも深刻なうつ状態に陥ってしまうことがあります。厚生労働省の統計では、2023年には全国で210万人がうつ病と診断されることが多い気分障害や神経症性障害で苦しんでいるようです。
(資料:受療率)
うつ病を含む無気力・無関心は、実は「抑圧された怒り」が原因とされています。自分にとって理不尽な仕打ちを受けたのに、その怒りを相手に対して発散することができず、心の中に押し込めてしまった時に、そのような症状が出ると言われています。
うつ病の治療には投薬療法が用いられることが多いようですが、梯谷幸司(2018年)『なぜかうまくいく人のすごい無意識』(フォレスト出版)によると、薬を飲んでいると脳が「外から与えられているから自分で分泌する必要はない」と認識してしまうのだそうです。
同書では、うつ病の根底にあるのは、「世の中は思い通りにいかない」「自分では何も変えられない」という無力感で、「他者原因型の信じ込み」や「他者基準」があるのだそうです。
症状を改善するためには、「隠された怒りを見つけて吐き出させる」ことだけでなく、「怒りを持った記憶のやり直し」も有効なのだそうです。怒りの記憶がむかついたままで終わっているのが原因で心がダメージを受けているので、「いや、実はこういう記憶だった」と上書きし、そもそも怒りを持つ必要はなかった、と脳をいい方向に勘違いさせるそうです。
同書の中では、もっと簡単、かつ安全に、身体にアプローチしてやめる方法も紹介されています。天気のいい日に公園のベンチに座らせ、肩を開かせ、斜め上を見て、口をぽかんと明けて日光浴をしてもらうのだそうです。確かに、ドーパミンやセロトニンは日光を浴びると放出されますので、これは確実かもしれません。
うつ病の治療法のうち、心理療法の中には、過去のトラウマを追体験させるようなものもありますが、この方法でかえってうつ病がひどくなったという人もいるようです。専門家の中には、「トラウマを克服するためには、必ずしも過去に味わった恐怖などを思い出させる必要はない」という人もいて、実は私もこの意見に大賛成です。
安心・安全な環境で、日の光を浴びながら、楽しい体験や幸せな体験をどんどん重ねていくことで、「そういえば、そういうツラい思いもしたけど、今の自分には何の影響もないな」と思えるようになれるといいなと思います。