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全ての政治家に読んで欲しい一冊『あなたの知らない政治家の世界: スウェーデンに学ぶ民主主義』を読んだ感想


はじめに.

まず、端的に言って、大変非常に良い本でした。

現代の大半の日本人は、"税金は、国民が必死に働いて納めた大切なお金"だという認識を忘れてしまっていると思います。

それは、政治家・役人・国民問わず、共通でしょう。

そして、私自身も、そういう税を貴重な物だと考える価値観を忘れてしまっておりましたが、当書に出会った事で、その大切な感覚を取り戻す事が出来ました。


以下の章では、さらに、内容を深堀して、私の思った事を、述べさせていただこうと思います。


1.スウェーデン国民の税への意識の高さ

まず、スウェーデンの国会議員というのは、皆が質素な暮らしをしています。

スウェーデンの国会議員の給与については、小学校教師の2倍と言われるほど少なく、月額報酬は64万円のみで、他の金銭的手当はほとんどありません

そして、通勤や移動には公共交通機関を使い、買い物をする時は、頻繁に普通のスーパーを利用しているそうです。

また、日本の国会議員については、議員1人につき3人の秘書が、税金によって、宛がわれる事になりますが、スウェーデンの国会議員には、専属スタッフが一人も就かず政党がスタッフを雇い、そのスタッフを、各議員が共有しているそうです。

さらに、驚くべき事に、スウェーデンの地方議員は、無報酬で、働いているそうです。


そして、"何故、スウェーデンの議員達は、この事に不満を持たないか?"と言うと、それはスウェーデン国民が、税への高い意識を共通して持っている事が挙げられます。

例えば、スウェーデンの議員の待遇は、今でも、低い水準にあると思いますが、それでも、スウェーデン国民は、"まだ改善の余地がある"と考えるようです。

加えて、スウェーデンの国民は、政治家が、一般人と異なる権威的存在となる事を嫌います。

ですから、政治家が、一般人と遥かに異なるような特権を得たり、多くの報酬を得たり、一般人よりも多くの贅沢をする事を、スウェーデン国民は絶対に許しません。

ですが、スウェーデンの議員の待遇に対して、最も影響を与えているのは、"税金は、国民が必死に働いて納めた大切なお金"だという国民の共通認識に違いありません。

その価値観によって、スウェーデンの国民は、一円たりとも、税金が無駄に使われる事を許しませんし、一方で、スウェーデンの国会議員達は、公のお金で雇って貰っているのだから、質素倹約生活をするのが当たり前だと考え、世界的に見ても、決して良いとは言えない待遇についても、何一つ不満を漏らさないそうです。


2.今の日本への危機感

やはり、日本人の税の無駄遣いに対する意識の低さと言うのは、主に、慢性的な赤字国債の発行に起因すると思います。

世界的に見ても、日本のように、好き勝手に赤字国債を発行して、財源に充てるような国は存在しないので、世界各国の国民は、共通認識として、税を尊重する志を持っている訳です。

ですが、日本も、いつまでも、赤字国債に頼った政治を行える訳ではありません。

実際、歳出を占める国債費(元本返済費や利払い費)は、年々増加しております。

ですから、やがて、いつかは、赤字国債に頼った政治を行えなくなり、他の海外諸国のように、赤字国債に頼らずに、国家を運営しなければならない日が来るでしょう。

そして、その時に初めて、日々税金を倹約して、国家を運営しているスウェーデンのような国と、同じ土俵に立って、勝負をする事になります。

しかし、普通に考えて、日本の国会議員達が、身に余る報酬を受け取っていたり、政府の度重なる無駄遣いを見て見ぬ振りをしたりしている現状では、まず、勝ち目は無いでしょう。


3.政治家はただの公務員

勿論、法律的には、特別公務員という枠組みになりますが、根本的には、市役所の一職員と変わらぬ公務員に過ぎません。

社会で厚遇を受けるべきなのは、雇用を産み出し、雇用を守っている民間企業の社長達であり、それを支える従業員達です。

仮に、公務員がいなくなっても、日本は回る余地がありますが、日本の民間企業がいなくなったら、日本は確実に滅亡します。

ですから、現状の日本の国会議員の行き過ぎた特権階級のような議員報酬や各種手当ては、一切必要無いと思う訳です。


まとめ.その税金の使い道は、本当に国民のためなのか?

"税金は、国民が必死に働いて納めた大切なお金"という認識は、政治家であれば、必ず持つべき認識だと思います。

その認識が欠けているから、最近の国会議員は、国民の代弁者にもかかわらず、官僚や役人達の利権拡大や天下りについて、見て見ぬ振りをするんです。

それは、同様に、よく考えもせず、海外への過剰なバラ撒きを行ったり、最近では、マイナンバーカードへの保険証一体化に際して、高齢者への配慮のためという名目で、234億円もかけて、資格確認証などと言う新しい証明書を発行を行おうとする事にも繋がっているでしょう。

さらには、暗証番号無しのマイナンバーカードを発行するという案も出ておりますが、それにも、途方もない税金が使われることは間違いありません。

何故、現行の健康保険証を存続させる道を考えないのでしょうか?

また、暗証番号の入力をせずとも、マイナンバーカードを保険証として、利用できるようにする事は不可能なのでしょうか?

結局、この一件だけを見ても、政治家達は、自分達の保身や、支持率を上げるために、200億円以上の税金を使っているに過ぎません。

他にも、政治家達の保身選挙での票集めのために、膨大税金が使われた事例など、数え切れないほど存在いたします。


日本国憲法第15条第2項にも、"すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない"と、書かれております。

税金は、国民のために使われるべきであって、政治家達の保身のためや、一部の利害関係者のためだけに、使われて良い物ではありません。

ですから、我々日本国民も、税を尊重する価値観を持ち、政治家や役人達を良く監視し、さらには、税を尊重する志を持った議員をしっかり選び、国会に送る事が、何よりも重要だと考えます。

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