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表現者

透き通るような青空だ。

素晴らしい。

文句なしの完璧な青空。

雲一つない澄み渡るような青。(いや、雲はあったな)

穏やかな気候。

毎日がこんな日であれば良いのに。

そうは都合良くは行かないのが世の常で。

まるで人の一生のように、
曇るし
雨が降るし
暑くなるし
寒くなるし
槍が降って……
っはこない。

そう、藤原道長が、月の満ち欠けだけは自分の力ではどうにもならないと和歌を読んだように、天の諸事情は人の力ではどうにもならないようだ。

道長って凄くいい人ですよね。

勝手なイメージで「この世をば……」の和歌を知った時は凄く威丈高な人なんだと思っていたが…。

件の和歌を読むときの描写はどのように描かれるんでしょうね。

それは良いとして…。

この青空。

その空を見ていると一つの作品を連想する。

澄み切った青空に道頓堀のシンボルでもある、グリコのポーズみたいな状態でヘリに吊るされアクロバティックなポーズを披露する一度見たら忘れないであろうジャケット。

アメリカ合衆国のアーティスト、マイリ―・サイラス

そしてマイリ―・サイラスが30代を迎えてから初めてリリースした作品が、件のグリコ・ポーズ(失礼しました)のジャケットである「エンドレス・サマー・バケーション」だ。

1992年にアメリカ合衆国テネシー州フランクリンで生まれ、父はカントリー歌手のビリー・レイ。

ドラマ「ハンナ・モンタナ」などで子供の頃からスターとして、注目を浴び続けてきた。

そこから2013年に発表されたシングル「レッキング・ボール」で今までとは違う大胆なイメージ・チェンジを果たし、はじけた姿を見せていたのは記憶に新しい。

丁度「バンガーズ」が発売された頃か。

プライベートなどでゴシップ記事を賑わしたり慈善事業に熱心に取り組むなど、注目を浴びるマイリ―。

アーティストとして8枚のアルバムを発表し、ソロキャリアだけでアルバムセールスは2200万枚も売り上げているんですって。

トータルユニットとしては2億5900万枚だそうだ。

スーパースターですね。

そして30代を迎え発表した作品「エンドレス・サマー・バケーション」。

実際にヘリコプターに吊るされながらジャケットの写真を撮ったそうで、その澄み切った青空と自らの出で立ちでアメリカ西海岸をイメージしたジャケットだそう。

日本人からも今アメリカ西海岸ってホットな場所ですよね。

カリフォルニアL・Aやサンディエゴとか…。

その開放的な西海岸を彷彿するような、柔らかいバイブスが流れレイドバックしたサウンドが穏やかな空や、太陽、そして日のあたる海岸線をイメージするかのようだ。

そこにマイリ―独特のしゃがれた声がグッと大人の魅力を醸し、成熟した一人の人間として落ち着いたシティー・ポップを作り上げている。

そんな雰囲気が西海岸側のイメージと合ってるんでしょうね。

アルバム一曲目に収録された「フラワーズ」

全米6週連続1位を獲得し、2023年に最もストリーミングされた楽曲に認定されたシングルでもある。

落ち着いたテンポで進行し、かえってそれがマイリ―の声を際立たせる。

冒頭のベースラインとマイリ―の声の絡み具合が秀逸だと思ったり。

憶測で「フラワーズ」には元夫のリアム・ヘムズワースとのこじれた関係を比喩しているとも。

歌詞には「家を建てたけど焼け落ちてしまった」とあり、実際リアムとマイリ―の家はカリフォルニア州を襲った火事で焼け落ちたそう。

そしてシングルが発売された1月13日がリアムの誕生日などという偶然(?)がその憶測に拍車を立てたのかもしれない。

何にせよ、二人の関係が終ってしまってからの自らの自立を促すかような決意に満ちた歌詞は、様々な経験をしてきたマイリ―だからこそ歌えるものなのかもしれない。

迫真めいている気がする。


PVでは一人でトレーニングに励んだり、ダンスを楽しんだりと何か吹っ切れたような「強さ」みたいなものを感じもする。

このような表現が出来るのもアーティスト「マイリ―・サイラス」なんでしょうね。

2024に開催されたグラミー賞でマイリ―は「フラワーズ」で年間最優秀レコード賞を受賞している。

グラミーで「フラワーズ」のパフォーマンスを披露したのは記憶に新しい。

30代を迎え、その出で立ちは往年のハリウッド女優のようなオーラを放ち、そしてその立ち居振る舞いはあくまでもアーティスト、マイリ―・サイラスであることが力強くパフォーマンスされている。

ソウルフルで、エネルギーに満ちていますよね。

パフォーマンス終盤では矢沢の永ちゃんばりにマイクスタンドを持ち、ロッキンに歌いマイクスタンドを倒し(倒れた際の音もマイクが拾っている)、光の向こう側に髪をかき上げながらフェイドアウトしていくマイリ―。

最高にカッコいい。

本曲にはないバージョン。

グラミーというハレの舞台で印象に残る終わり方を迎えるがためのアレンジなのか。

もしくは自分自身の自立を高々と表現するがためのロッキンなパフォーマンスなのか。

リアムとの関係性をこの一連のエンディングで表現したかったのか。

終わらせて、前を向いて行きましょう。

みたいな。

まあ、分からないですけどね。

それにしてもマイクを倒して颯爽と引き下がっていくマイリ―・サイラスのその姿…。

とてつもなくロッキンで、洗練されたパフォーマンスだった。

「フラワーズ」。

良い曲です。

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