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ハプニングス

「HAPPENINGS」 「ハプニングス」

「出来事」

日常に潜むさまざまなハプニング。

それは個人の軌跡に他ならない。

その出来事が自分一人だけのものならば、特に何も言うことはあるまい。

その人、そのバンドにとって「ハプニングス」はどのような意味をもつのか。

その答えが12曲(ボーナストラック入り)31分34秒という、コンパクトな世界の中で流れている。

ハプニングは目の前をあっという間に過ぎ去っていく…。

ビートが効き、エレクトロニカの無機質さが帰って人間の有機的な部分を鷲掴みにし、ダンサンブルに疾走していく。

ヴォーカルのサージ・ピッツォーノの甲高い声に合わせた楽曲群は、カサビアンの心臓を激しく鳴らす。

聴いてるこっちも、そのノリの良さに振り落とされないようにしないと。

なんつって。

10月7日~10日から来日公演を行うカサビアン

カサビアンの過去記事たち…

こうやってみると結構書いてんな。

好きなんでしょうね。

ええ、好きなバンドです。

そんなバンドが10月7日から来日公演をおこなうそうで。

10月7日…

って今日じゃん!

まあ、前振りはこのへんにしておいて。

今年の7月に出たカサビアンの新作「HAPPENINGS」

バンド創設時からのメンバーで、サージの幼馴染みでもあったトム・ミーガンというフロントマンが脱退してから2作目となる作品だ。

バンドの経歴やら何やらは過去記事で触れてたりしてるので、省略するが…

まあ、簡単に言うたら「ご機嫌」なバンドだ。

ええ、個人の見解ですよ。

悪しからず。

ただご機嫌なんですよね。

やっぱり一聴してとっつきやすいんでしょうね。

だが、その「とっつきやすさ」に身を委ねると、ものの見事に沼っていくんですよ。

そこからカサビアンの不穏さや、クセになるビート、トムがいた頃はUKラッディズムの正統後継者たる風格も放っていたわけで。

ロッキンに踊らせて、マッドなビートをまき散らせ、だけど確実に地に足がついたバンドなんですよね。

それがヴォーカルのトム脱退という「ハプニング」が起こり…。

カサビアンはそのハプニングに、バンドのソングライターとギタリストを担当していたサージを中心に据え、新たに活動を再開するという構造改革を行った。

ちなみにサージは2019年にソロ作品をリリースしている。

そしてサージをメインに迎えての2作目の作品。

「ハプニングス」

大体一曲が2~3分で終わる。

ぼやぼやできねえよ。

なので、聴いているとあっという間に作品達が過ぎ去っていく。

いい意味で。

何だ、この疾走感は。

そして昔のカサビアンとはまた違った「とっつきやすさ」は。

トムの時とは違った雰囲気。

単純にヴォーカルが違うわけだから雰囲気が変わるのは間違いないが。

トムの時にあった、ラッドな泥臭さはそこそこに。

サージの声に合わせたかのような新生カサビアンのサウンドはヌケ感が良い。

そしてギャンギャンに響くエレクトロニカが、サージの少し甲高い声の逆をいっていてカサビアンならではの中毒性を放っている。

何よりもドラマーのイアン・マシューズが放つ、カサビアンのコアとなる部分、ビートをドシドシ刻んでいて突き動かされるような感じになる。

特にハイハットの音がやたらと耳に残る。

個人の見解ですけど。

バンド全てがリズムを刻むことに終始し、シンセやエレクトロニカのノイジーな生命感がサージの声をさらに躍動させている。

気付けばあっという間に「ハプニング」は過ぎ去っている。

そして12曲は終わっている。

無機質な獰猛さを保ちつつも、生命の躍動感にあふれた、ダンサンブルな作品。

サージの声がその「ヌケ感」を演出しているのだろうか。

いや、分からんがとりあえずご機嫌なアルバムであることは間違いない。

非常にコンパクトな作品。

なので1枚通して聴くのがしっくりくる。

あっという間にすぎ去っていく「ハプニングス」。

人生色々な事が起きるけど、ハプニングは目の前を一瞬で過ぎていくものなのかもしれない。

そしてそのハプニングをしっかりと自らの血肉としたのが、まさしく今回の「ハプニングス」なのかもしれない。

知らんけど。

まあ、何にせよ新作を引っ提げての来日公演はムチャクチャ楽しみで仕方ない。

カサビアンのサウンドはとてもライブ映えするので。

「ハプニングス」も間違いなく映えるんでしょうね。

少しだけ、アルバムを聴いていて気になった楽曲の感想を…。

1曲目のインストナンバー「ア・ハプニング」で厳かにスタートしつつも、2曲目の「ダーケスト・ララバイ」。

何てドラマチックな歌声なんだと思ってしまった。

サージの第一声からしてそんな感じ。

やっぱりサージの声は印象に残る。

んで、ドラマチックさはトムより上かも。

だが、トムより野太い感じが薄いので下手したら宙に浮いた感が強くなってしまう気もする。

そこはやはりバックで響くバスドラとベースの腹に響く、バンドの「鼓動」の部分が重心を支えているわけで。

腹の底に響きますね。

んで、ハイハットのシャリシャリした音が抜群に効いていて。

シンセも効果的に絡んでいて、よりUKの歌謡曲的な部分を演出してるように思う。

凄いやっぱりリズムがクセになる。

うん。

何ともドラマティックな一曲だ。

「ダーケスト・ララバイ」からの3曲目の「コール」。

前にも書いたけど作品の流れの中で外せないと思ったので、今一度書いてみよう。

やっぱりカサビアンらしさを解き放ってますよね。

今までのらしさと、新生カサビアンのらしさも。

それを作品の流れの中で3曲目でぶち上げているんですよ。

「アイ・アイ・アイ・イェ!!」

分かりやすい掛け声で盛り上げていき、サビの部分でぶち上げるという、まさしく王道カサビアンサウンド。

エレクトロニカをふんだんに駆使し、キャッチ―なダンス・メロディと掛け声、そしてやっぱりドラムのイアン・マシューズのキックとハイハットが耳に残る。

良いリズム感を作っているとうか。

何にせよサージのヴォーカルと共に放たれる「コール」はライブの一つのハイライトになるんじゃなかろうか。

「アイ・アイ・アイ・イェ!!」

会場からそんな掛け声が聴こえてきそうだ。

3曲目の「コール」でぶち上がった流れからの5曲目の「カミング・バック・トゥ・ミー・グッド」

エコーがかかったサージのヴォーカルが響き渡ってますね。

8ビートで軽快なダンサンブルなお気に入りのナンバーだ。

季節は終わったけど夏のドライブにピッタリな感じかも。

シンセやらが楽曲のキラキラ感を統制してますよね。

バック・コーラスも効果的に入っていて。

どうもスペイシーでいて、サイケ感にも溢れてんだけど、海岸線沿いをドライブしてるようなディスコ感もあり。

オゥル・シティとかに近いような。

このヌケ感漂うサウンドはサージの声にピッタリなんでしょうね。

トムの時とは違う感じに。

ライブ映えしそうだ。

っにしてもドラム。

四つ打ちのビートが効いててたまらない。

キック・スネア・ハイハット。

時折入るタムのフィル・インとか良いですよね。

「ドドスコドンドン!」

表現が稚拙ですんません。

まあ、何にせよライブで聴いてみたい一曲だ。

それまでのアップテンポな流れからスローな一曲を挟む…。

結構作品にある流れの一つなのかもしれない。

6曲目の「G.O.A.T.」。

ベースとドラムスの重低音を効かせたゆったりとしたテンポからスタートする一曲。

そんな序盤にサージの声は余計に映える。

サイケ感に満ちたシンセと、単音で響き渡るキーボード音が何か一種の切なさを生んでいる。

作品を通してあまり聴かれないギター・ソロが「G.O.A.T.」ではラストで鳴り響いている。

これが抜群にカッコいい。

ノイジーに。

破裂音にも近いようなギターの「いななき」が楽曲をしめてますよね。

最高にご機嫌な一曲だ。


作品ラストを飾るナンバー。

「アルゴリズムス」

アルゴリズムは、問題を解決したり目標を達成したりするための計算方法や処理方法のことをさす。

曲はコーラスも入った、ビッグなハッピー・チューンになっている。

こういった曲調だと余計にサージの声はいい感じだ。

アルゴリズムが支配権を握るまで
ロボットが自分に魂があると信じ込むまで
ヤツらがこんな愛を信じることは不可能だから

Lilics

そんなことを訴えている。

自分達に与えられた時間は長くない。
ただ楽しくやっていたいんだ。

そんな具合でフィナーレを迎えるラスト。

明るい曲調とは裏腹に何かを秘めた感じもありますね。

ある意味その「二面性」こそがカサビアンの真骨頂ともいえるかもしれない。

ってな感じでカサビアンの来日に合わせて新作「HAPPENINGS」を自分なりに振り返ってみました。

コンパクトにして、聴き応えあり。

やっぱりカサビアンは好きなバンドだ。

トムの脱退の時はどうなるかと思ったが…。

ってな感じで記事を締めくくろう。

最後まで読んで頂き誠にありがとうございます!

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