やる気が出ないをAIデータ分析で解決した話。ドーパミン中毒脳をマネジメントする
こうした悩みを抱え、人生に満足できていない人は多い。
僕も、20代である程度の資産を築き、目標達してしまったことでバーンアウトしたような感覚に陥った。noteでも書いたように、数年間ほとんど何もせずに過ごしていた。また「経済的自由」の著書でも書いたように、やりたいことを追求し、気になることを次々と試し、多くのビジネスを立ち上げた。ただ、何をするにもやる気が続かず、困惑していた。
やる気を取り戻そうと、運動に力を入れて毎日1万歩を歩いたり、行動が足りないと感じて世界各国を旅したり、知識が不足していると思い、あらゆる本を読み漁った。それでも、20代の頃にビジネスに熱中していたあの頃のやる気は戻らなかった。
同じように、20代で燃え尽き症候群に陥っている人や、30代で人生を諦めたように見える人、40代でミッドエイジクライシスに直面している人たちの解決策を試してみたが、どれもしっくりこなかった。
といったアドバイスは正直、全く役に立たなかった。
■ 解決策は自己コントロールにあった
結果として、「自分自身で試行錯誤しながら答えを見つけるしかない」と悟り、とにかく試す数を増やした。そしてたどり着いたのが、「脳をコントロールする」という方法だった。やる気の浮き沈みを脳内の神経伝達物質の働きによって管理するのだ。
「やる気が出ない」「何をしたらいいかわからない」という気持ちは、脳内の神経伝達物質であるドーパミンの働きに関係している。ドーパミン活性が強い人ほど行動力や実行力が高く、短期間で成功を収めやすい。ただし、一度目標を達成するとドーパミンの分泌が止まり、それまで感じていたやる気やモチベーションが一気に消えてしまう。
「もっと!愛と創造、支配と進歩をもたらすドーパミンの最新脳科学」の著者ダニエル・Z・リーバーマンらによると、ドーパミンは、他のすべての化学物神を横領するほど強い支配力を行使するという。
さらに、ドーパミンは欲する力があるといいます。「できるのは欲することだけだ。ドーパミンにはきわめて明確な仕事がある。未来に手に入れられる資源を最大化し、より良いものを追い求める。それがドーパミンの仕事だ」というように、より良いものを、ひたすら追い求め続けてしまう。
要するに、ドーパミンを活性化させすぎると、かえってやる気を失いやすいという矛盾がある。
■ ドーパミン中毒はバーンアウトやミッドエイジクライシスに共通する
ドーパミン中毒は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンが過剰に活性化されることで引き起こされる状態で、「やる気」や「達成感」をもたらす一方、過剰な刺激を求め続ける性質がある。
要は、刺激に対する耐性が高まり、以前のような満足感を得られなくなり、「もっと!」と青天井に欲求を増やしてしまう。
燃え尽き症候群(バーンアウト)やミッドエイジクライシス(中年の危機)は、いずれもドーパミン中毒と共通する特徴を持つ。燃え尽き症候群では、目標達成によるドーパミンの一時的な分泌とその後の急激な減少が無力感や虚無感を引き起こす。
ミッドエイジクライシスでは、人生の中盤において過去の努力や成功が「本当に意味があったのか」と疑問を抱き、さらに刺激を求める欲求と新しい挑戦への不安が矛盾し、結果としてドーパミンが活性化しづらくなることで無気力に陥る。
これらはいずれも「過度な目標追求」「刺激に対する耐性増大」「期待と現実のギャップ」「持続的な満足感の欠如」といった共通点を持ち、脳内の報酬系が破綻することで引き起こされる。
だからこそ、乗り越えるための鍵は、「ドーパミンを適切にコントロールすること」にある。
事実、僕自身も見に覚えがあって、20代はドーパミンを活性することに必死だった。フリーランスになった時はやってみたいことをひたすら試したし、数字を追い求めることに必死だった。いつしかその目標に満足してしまい、資産を築いても幸福度は高くなかった。実体験があったからこそ、とりあえず試行錯誤してみることにした。
■ ドーパミンをコントロールし、セロトニン・オキシトシンに切り替える
バーンアウトやミドルエイジクライシスには、自分が描いていたゴールにある程度到達したときに起こる共通点がある。これらは、ドーパミンをマネジメントせず、欲望のまま行動を続けた結果として現れる症状だ。
だからこそ必要なのは、ドーパミンを適切にマネジメントすることだ。
「ドーパミンの本質は期待物質である。未来の可能性に焦点を当てるものであり、いま手にしているモノを楽しむには、未来志向のドーパミンから現在志向の化学物質へ脳を移行させる必要がある」という考え方があるように、ドーパミンは未来に期待する性質を持つ。しかし、一度目標を手にすると、その欲求はすぐに消えてしまうのだ。
例えば、多くのカップルがドーパミン的な熱愛から、時の経過とともにオキシトシンやセロトニンによる友愛的な関係に移行するのと同じだ。
要するに、ドーパミン優位の分泌を抑え、セロトニンやオキシトシン、エンドルフィン、エンドカンナビノイドといった、幸福感を継続して得られる伝達物質の分泌へ切り替える必要がある。
確かに、僕もセロトニンやオキシトシンへの切り替えを意識したことはなかった。学生時代の恋愛は、長く関係を続けることよりも、新しい関係を作ることに気持ちが向いていたし、社会人になってからも次々と新しいビジネスを始めることばかりにフォーカスしていた。結局のところ、ドーパミンを活性化させることが人生を楽しくすることだと信じ込んでいたのだ。
ドーパミンをコントロールし、セロトニンやオキシトシンの分泌を促すスキルを身につけることで、より長期的に目標を追求しながら、自分自身をマネジメントできるようになる。
■ ドーパミンをマネジメントする具体的な方法
だからこそ、これらのアプローチを取り入れることで、ドーパミンを適切にマネジメントし、長期的な目標を追いながら自己を管理する力を身に付ける必要がある。
ただ、実際のところドーパミンをマネジメントする事は抽象的すぎてイメージしづらい。だからこそあらゆるデータを収集して、自分自身を俯瞰することを始めた。
最も効果的だったのは、あらゆる身体データを収集し、それを数字で俯瞰しながら分析することでメタ認知を高めたことだ。以下が具体的な取り組みだ。
最新のスマートウォッチや検査デバイスを活用して、心身のデータを毎日測定し数値化する。また、血液栄養解析をはじめとしたデータを基に、自分自身がどのようなタイプなのかを客観的に把握する。
さらに、収集したデータをAIに読み込ませて分析することで、データを客観視し、指摘を受けながら改善に結びつける。要するに、データを基に生活習慣を変えていくアプローチだ。この方法により、自分自身の状況に気づき、より効果的な行動が取れるようになった。
■ 自分のデータベースをライフログとしてAI分析して俯瞰する
今や、自分に本当に必要な栄養素を多角的に俯瞰し、適切に補える時代になった。過去のデータに加え、現在の情報を徹底的に収集することで、自分自身の「ライフログデータ」を構築し、より精度の高い分析と最適化が可能になるのだ。
世の中には、無責任でありがた迷惑なアドバイスで溢れている。「疲れている人にはこの栄養素が足りない」「このサプリは効果があった」といった情報が流れてくるが、実際、それが自分自身に効果があるかは人によって異なる。サプリメントひとつとっても、個々に必要かどうかは体の反応を分析する必要がある。
だからこそ、あらゆるデータを分析して、データをもとに必要な栄養素を補う。さらにAIを使えば、個人に必要な栄養素を俯瞰して分析してくれる。必要な分だけ摂ることができる。
これまで「なんとなく効果がありそう」といった感覚や、他人に勧められたモノに頼っていたサプリ選びも、データを基にした分析が可能になった。
やり方は簡単だ。これまでの健康に関するデータをAIにすべて読み込ませるだけでよい。
■ 実際にAIに読み込ませたライフログデータ
これら過去に受けた検査データをAIに統合的に分析させ、足りていない栄養素を明らかにし、サプリメントで補うべきか判断する。
僕の場合、15年前の睡眠ポリグラフ検査や10年前からの健康診断の血液検査 、5年前に受けた血液栄養解析やSNIPs検査、アレルギー検査など、年代ごとの変化を踏まえて様々な検査を全てAIに読み込ませた。
ChatGPTを活用すれば、これらのデータを基に最適なアプローチを提案してくれる。執筆現在、ChatGPT Projects ではデータを蓄積して読み込むことができる。要は全てのパーソナルデータをもとに分析できるようになった。
データを基に栄養を解析して、あらゆる知識を包括的に持っているAIで解説してもらうのはかなり役に立つ。
数年前の身体データを経年で読み込ませることで、過去から現在までの変化を俯瞰することができる。食生活の偏りや環境の変化がどのように身体に影響を与え、移り変わってきたのかを明らかにし、いわば身体の「ライフログ」として、あらゆる角度から分析できる。またSNIPs遺伝子検査による遺伝子から見たなりやすい病気の傾向を踏まえ、現在の血液や採尿による栄養解析で危険度合いをAIによって把握することもできる。
さらに解説のなかで西洋医学的なアプローチや東洋医学的な漢方の視点もAIに解説してもらうこともできる。
どうすれば自分のパフォーマンスを向上することができるのか聞くことができる。また納得いくまで質問を重ねられるため、腑に落ちるまで深く考えることができるのも大きなポイント。あらゆるデータをもとに気が済むまでAIに分析解説してもうことができる。
もちろん、医師によるカウンセリングを受けることも必要だが、その人自身の知識の深さや限られた時間で質問しなければならない側面もある。最新AIの包括的な情報をもとにセカンドオピニオンのような感覚で知識を得る選択肢になる。
■ 栄養の偏りが睡眠のパフォーマンスを低下させていた
あらゆるデータをAIで分析した結果、慢性的な栄養の偏りがドーパミン分泌に影響を与え、やる気や睡眠のパフォーマンスを低下させていたことがわかった。
具体的には、栄養解析の結果、ドーパミン分泌に関与する鉄が不足していたほか、幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンや睡眠ホルモンであるメラトニンの生成に必要なトリプトファンが欠乏していることが明らかになった。
普段から食事には気をつけていたつもりだったが、毎日の食事で摂取している栄養素を具体的に数値で分析したことはなかった。しかし、栄養素を数値で可視化し、それを基に改善を進めることで、日々の食事から不足分を補えるようになった。
結果として、ドーパミン活性が優位に働きすぎていたため、セロトニンやオキシトシンの分泌が劣性になり、それが睡眠の質を低下させていたことがわかった。また、慢性的な睡眠不足が脳のマネジメント能力を弱め、やる気やパフォーマンスに悪影響を及ぼしていたのだ。
データを俯瞰して分析できるようになったことで、必要なときに「やる気をコントロールする」スキルを身につけることができた。
具体的には、ドーパミンを適度に放出しながら日中の活動を活性化させ、遺伝子的に不足している鉄や亜鉛、マグネシウムをサプリメントで補うことで、睡眠の質を改善した。Apple Watch Ultra 2の睡眠スコアをサプリごとに1つずつABテストをしながら検証した。数ヶ月かけて検証していくことで、必要なサプリが本当に効果を発揮してるのかわかる。またサプリそのものが細くでないかもチェックしながら判断することができる。
そして、セロトニンやオキシトシンといった神経伝達物質を適切に活性化させるため、早朝に太陽の光を浴びることや、メラトニンの分泌を促進するためにトリプトファンを摂取するなど、生活習慣を見直しつつ必要な栄養を補うことで、心身のバランスを整えられるようになった。
バーンアウトやミッドエイジクライシスなどのメンタル不調を、データに基づいて俯瞰的に管理・改善できるようになった。
■ 一人一人に寄り添った個別化時代のマネジメント
これからの時代は、個別のデータを基に答えを導き出すことが主流になる。いわゆる「個別化」と呼ばれるこのアプローチは、個々の状態を分析し、自分自身でアプローチしながらメンタルを整えることが可能な時代を指す。「パーソナルライフデザイン」をAIを使って整えていく。
自分のライフログから俯瞰するスキルを身につければ、ドーパミン中毒から脱出でき、バーンアウトやミッドエイジクライシスといったメンタル不調さえも効果的にマネジメントできる。
実際に僕が使用したデータ分析アプリや血液栄養解析、AI分析の具体的な方法やその活用法については、需要があればまとめて公開する予定。気になった方はフォローしてください。
続く。