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『人間の建設』No.19 科学的知性の限界 №2
小林 アインシュタインは四次元の世界で考えていますから、時間の観念が違うでしょう。根本はその食い違いです。
岡 ニュートン以後、物理の世界でいっている時間というものは、人がそれあるがゆえに生きている時間というものと違います。それは明らかに別ですね。
小林 そこが衝突の原因なんです。
上の会話に至るのは、これに先立つ会話の中で、小林さんが岡さんに「ベルグソンとアインシュタインの衝突」という話を提示したからです。
岡さんにはその話が初耳だったようで興味をしまします。そこで小林さんはフランスの哲学者ベルグソンの著書『持続と同時性』のアインシュタイン論にまつわる出来事を説明しました。
ベルグソンがその本で、物理学者としてのアインシュタインの表現を誤解して述べたのが発端で、逆に科学者からの反対が起こり、ここが違うじゃないかと指摘されて、ベルグソンはその本を絶版にしたということを。
岡さんがその話を聞いて、「惜しいですね。それは本質的に関係がないことではないかと思いますね」といいました。
小林さんが岡さんの言葉を受けて冒頭の会話へとつながります‥‥‥。
会話を要約します。
・時間の観念が違う。根本は食い違いです。(小林)
・物理学でいう時間と、人間が生きている時間とは明らかに別です。(岡)
そして、その後につづくのが以下の会話です。
岡 そうですか。そんなところで衝突したって、絶版にする必要がないのに。
小林 だから、おれとおまえとは全然ちがうのだ、と言ってしまえばよかったのです。
おふたりの言説は明快ですね、僭越ながらその通りだと思います。ベルグソンに聞かせてあげたかったと思います。
――つづく――
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