「流行」「不思議な鏡」―鴎外の「軽み」
鴎外の「軽み」と言ったが、早速問題がある(ネタバレ)
どちらも「夢オチ」なのだ。
「流行」はなぜか自分が使用したものが「流行」するからと言って方々から贈り物をもらう主人に、己が不愉快を感じる―そんな話だ。
結末としては
本のタイトルは「ドルゼイすなわち完全な伊達者」。
つまり話としては「伊達者と言ったところで、所詮は流行に追い回されるだけなのだ」という鴎外の皮肉を読むべきか……そんな話だ。
「不思議な鏡」は「杯」を思わせる話。鴎外本人を思わせる己の魂は体を抜けて外に出た。」
幽体離脱である。ところが、「己の魂は(略)鏡へすうと吸い込まれた」。そして、田山花袋、島崎藤村、島村抱月、徳田秋声に「『きょうは君に近作を一つ朗読して貰いたいのだがね。』」と詰め寄られる。
彼らは全員「自然主義文学」の作家で、鴎外と漱石は「高踏派」「余裕派」と嫌われていた。
最後の
このシュールな笑い。佐々木倫子氏の「動物のお医者さん」を思い出すではないか。