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詩宇宙

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私の詩および超訳詩です。
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記事一覧

生きていることは愛を伝えられること

【生きていることは愛を伝えられること】 息を引き取る 臨終 目を閉じて 息を吸って 吸って …

長澤靖浩
2週間前
7

私といふ存在

蝶 蝶  蝶 蝶 蝶 蝶  蝶  蝶 もう会うことはない 同じ君には だって ほら 光の粒子…

長澤靖浩
1か月前
7

鳥の歌

小鳥は目的地を知らない 飛びつづけること自体が生である 森にはとりどりの花が咲く 森の向こ…

長澤靖浩
1か月前
4

扉の向こうには新しい扉があり、奥へ奥へと無数に開きつづける。眩暈を誘う無限連鎖。長い時の…

長澤靖浩
1か月前
3

滝の上で佇む

滝の上の岩場から滝壺を覗き込むと 落下していく水とともに心身が脱落していく 生きていても…

長澤靖浩
2か月前
5

あらゆる事物が原初より/同時並行的に/一斉同列に/共同して成立し/変異しつつ消滅しながら誕生しつつ遷移していることを想うと、「自分だけが〜」という諸々の我念が、経験という固定観念に縛り付けられた咎人のように思えて切なくなるような、徒然なる技術職員の日記をいつも読んでくれてありがと

「またな」という嘘

今まで、すべての死別の際、最後に交わした言葉は、「またな」だった。 初めて肉親を喪ったのは祖母。三年間の米国赴任を前に見舞いに来た僕に、人工呼吸器で話せない祖母は、指を1本立てて、何か必死で聞いていた。 意味がわからず、僕はその指を握りしめ、「大丈夫」と言っていた。 祖母は、「ああ、伝わらない」と言うように、自分の額を軽く叩いた。 僕は三年後にも祖母は生きていてまた会えるという以外の考えをすべて頭から追い出して「またな」と言った。 飛行機が滑走路を走り離陸した瞬間、僕は忽

息を引き取る=臨終
息を吹き返す=蘇生

一呼吸ごとの生と死

長澤靖浩
5か月前
3

吸う息を引き取る先の天の河

吹き返す息の染み入る山河かな

長澤靖浩
5か月前
3

変わってしまった君へ

君が一人で韓国に行くといったとき 微かにイヤな予感がした 素敵な韓国の男性とでも仲良くな…

長澤靖浩
7か月前
5

鈴蘭の揺れて淋しい胸が鳴る

長澤靖浩
8か月前
2

夏の日に砂地揺らめく波紋かな

長澤靖浩
9か月前
3

囀りの朝

広い木立の中の たったひとつのテント 屋根の黄色いシーツに 朝の木漏れ日が揺れて 萬の種類の…

長澤靖浩
10か月前
6

遊煩悩林

光の波紋 きよらに 静寂に やすらかに どこまでも広がり 果てのない 気づき 透明な光の水面(みなも)に 流星のように 走馬灯のようにきらめく 赤ちゃんの笑い声 爆撃音と叫び声 愛のいとなみに披いた唇 飢えと凍えから救われて走り回る子犬 行き倒れて空を見上げる瞳孔 あなたの背中に もう一度そっと手を置くため 静寂を破り 細胞を震わせ 息を 息を 息を 吹きかえして戻る 煩悩の林 私の大好きな 青い星